10年近くにわたってパブリッシャーに関心を寄せてこなかったレディット(Reddit)が、パブリッシャーに近づこうとしている。

この1年間で、メディア提携チームの4人が、パブリッシャーのコンテンツとレディットのユーザーを結びつけるための取り組みを拡大。プロフィールページを新しくしたり、ネイティブ動画のホスティングをはじめたりするなど、新しい機能を追加した。また、レディットのプラットフォームの内外で、コンテンツにフォーカスした取り組みをパブリッシャーと共同で展開。タイム(Time)誌と編集業務で提携したり、公共ラジオのWBURと「エンドレス・スレッド(Endless Thread)」というポッドキャストを配信したりしている。

こうした取り組みの背景には、パブリッシャーが読者とより直接的な関係を構築できる新たな方法を模索していることがある。

「成果が現れつつあると感じられるようになってきた」というのは、レディットではじめての事業開発およびメディア提携担当ディレクターに就任したアレクサンドラ・リコミーニ氏だ。彼女は、パブリッシャーとの関係を構築する取り組みを指揮している。「うまくやるには、ほかの企業との連携がどうしても必要だ。パブリッシャーが最初に名前を思い浮かべるプラットフォームのひとつがレディットになるようにしていきたい」と、リコミーニ氏は述べている。

困惑させられる存在だった



レディットは長いあいだ、パブリッシャーにとって興味をそそられると同時に困惑させられる存在だった。レディットでは、自社のコンテンツをプッシュしすぎると、アカウント凍結の憂き目にあう。また、ユーザーの投稿を自社のコンテンツに利用するときに、そのユーザーの名前をきちんと載せなかったと判断されば、ユーザーコミュニティとのあいだでトラブルを抱えることになる。

そのうえ、レディットと協議したいと考えても、パブリッシャーはどうすることもできなかった。レディットにそのための窓口がなかったことが主な理由だ。2016年まで、レディットにはパブリッシャーや広告主との関係作りを専門とするスタッフがいなかった。

「当時、ニュースのネタを求めてソーシャルメディアを訪れた人の誰もが、最初に学んだことがある。それは、レディットがパブリッシャー嫌いだということだ」と、テキサス・トリビューン(The Texas Tribune)の最高オーディエンス責任者、アマンダ・サモラ氏は述べている。だが、「いまは驚くべき変化が起こっていると思う」とサモラ氏は語った。

もたらされた驚くべき変化



レディットのリコミーニ氏が最初に取り組んだのは、レディットユーザーとパブリッシャーの関係を良くしていくことだった。2016年5月には、レディットの投稿を利用するパブリッシャーが、記事のなかで出典と投稿者名を明記するよう促すツールを公開。2017年2月には、ソーシャルメディア分析企業のクラウドタングル(CrowdTangle)と提携し、パブリッシャーのコンテンツがレディット内でシェアされている様子をパブリッシャーが確認できるようにした。

ほかにも、レディットはこの1年間でさまざまな製品を改定し、パブリッシャーにレディットのさらなる活用を促している。いままでは、パブリッシャーがレディットで自社のコンテンツを広めようとすると、レディットのいわゆる「10分の1」ルールに抵触して、警告を受けたりアカウントを凍結されたりすることがあった。このルールは、宣伝を目的として自社のアカウントでシェアするコンテンツの割合を全体の10%未満に規制するものだったが、この規制は2017年春に緩和されている。さらに12月には、パブリッシャーがコンテンツをフォロワーに直接公開できるプロフィールページが公開された。これを利用すれば、投稿をスパムと見なされて締め出されてしまう心配がない。

パブリッシャーにとって、レディットはいまでも有力なニュースソースだ。だが、この1年間に行われたさまざまな変更のおかげで、パブリッシャーはレディットのオーディエンスとより親密なやり取りができるようになっている。「いまでは、当社がカバーすべきコンテンツを我々のファンが見つけ、教えてくれるようになっている」と、ナショナル・ジオグラフィック・パートナーズ(National Geographic Partners)のCEO、ケイト・コグリン氏は話す。

トラフィックは目標ではない



全体的にみると、レディットからパブリッシャーへの参照トラフィックは、全ソーシャルトラフィックの1%に達しておらず、この1年で45%減少したと、調査会社のシェアホリック(Shareaholic)は報告している。だが、レディットに時間を費やしてきたパブリッシャーにとって、その効果は控えめにいっても注目に値する。「プロフィールページのトラフィックは好調で安定している」と、ワシントン・ポスト(The Washington Post)のソーシャルメディアエディター、ジーン・パーク氏は語る。

パーク氏は、レディットでの取り組みをいまも実験段階と位置付けており、どの程度の参照トラフックがもたらされているかは明らかしなかった。また、レディットが参照トラフィックの強力な獲得源になる可能性があることを認めながらも、自身がレディットで行っている取り組みの最終目標はトラフィックではないと語っている。ただし、製品の改定によって、パブリッシャーがレディットのユーザーとコミュニケーションできるようになったことは、ジャーナリストは自分の記事について率直に語るべきというワシントン・ポストの考え方と一致するものだとパーク氏は述べている。

FacebookとGoogle以外の場所からユーザーを獲得しようとしているパブリッシャーにとって、これはとりわけ重要な点だ。「あらゆることがFacebookで行われているなか、我々はスマートなやり方でオーディエンスを増やし、彼らとコミュニケーションできる場所がほかにないか探している」と、科学技術関連のパブリッシャー、インバース(Inverse)でシニアオーディエンス開発マネージャーを務めるコナー・フィネガン氏はいう。同氏は1月、レディットでインバースのプロフィールページを立ち上げた。

フィネガン氏によれば、レディットは新しいオーディエンスに自社のコンテンツを見てもらうのに適した場所だという。「FacebookやTwitterといったほかのプラットフォームでは、注目を集めるのが難しい」と、フィネガン氏は説明する。「しかも、(レディットで)得られるフィードバックは、Facebookで通常得られるコメントよりも洗練されている」。

価値を提供しあう関係



レディットのリコミーニ氏によると、今後はパブリッシャーと連携して、動画を含むオリジナル記事を増やす計画だという。そのために、タイムやWBURとの取り組みで利用した戦略を活かしたい考えだ。また、コンテンツプログラミングのフォーラムをさらに増やし、パブリッシャーが定期的に参加できるようにする予定だ。どのパブリッシャーやプラットフォームが参加することになるのかは不明だが、どの計画もすべての関係者を支援することが目的だという。「相手から得ることばかり考えている人は信用しない」と、リコミーニ氏は述べ、「お互いに価値を提供しあうことが必要だ」と語った。

Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)