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 「このシステムの開発はまさに“網”のように各部門がつながった」。スマートメーター(通信機能付き電力量計)通信システム「ブレンダーシリーズ」を開発した塚本幸辰電力ICT技術部長は「電力部門の独力では完成は成し得なかった」と振り返る。

 同システムは小電力で通信を中継する「無線マルチホップ方式」の通信技術とスマートメーターを組み合わせ、ネットワークを形成できる。

 完成には社内の約1000人以上が関わった。開発の着想は10年前に「研究・開発部隊とマルチホップ方式通信の活用を議論した」(塚本部長)ことが始まりだった。

 通信面などの課題が山積しており、2、3年は試行錯誤が続いた。当時、研究部門に所属していた城倉義彦ICT技術部主席技師長は「軍事用などで技術は使われていたが、マルチホップを用いて一般的な大規模ネットワークを構築すると無線通信が干渉し合うなど問題があった」という。

 一方で三菱電機には手応えもあった。ネットワーク化ができれば、スマートメーターの役割は大きく変わる。他のセンサーで検知した情報を流す情報網になるほか、電力会社などが制御網として利用する可能性もある。

 ただ、そのためには多方面の協力を得ることは必須だった。システム化に向けては事業部の営業部隊から顧客の要求を、通信部門からは知見をそれぞれ教えてもらった。

 2010年ごろに自動で最適な経路を選択する制御方法など要素技術を開発し、システムの確立につながった。加えて、16年には「電力小売りの自由化」という追い風も吹いた。

 すでに国内の電力会社、5社に納入。スマートメーター接続率99%以上、電力値の収集率は99・9%という高品質を維持している。

 23年までに既存の全電力量計の置き換え需要を見込んでいる。黒川隆久電力システム製作所長は「今後は電力量以外の検針や海外市場の展開を図っていく」と意気込む。

(文=渡辺光太)