デジタル化を推進するエア・アジア(写真提供:エア・アジア)

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 世界の航空会社のなかで急速に成長を遂げているエア・アジアは時代の流れを常にリードしている。2001年、アジア圏にお手頃な空の旅を提供し始めて以来、共同創業者でグループCEOのアンソニー”トニー” フェルナンデス氏はわずか2機しか持ち合わせない無名の航空会社を、200機を超える機体と2万人以上の従業員で7,000万人の乗客(2017年12月時点)を運ぶ企業にまで成長させた。

 現在、この航空会社は改めて変革を遂げようとしている。航空会社として業界最高水準の効率経営を実現すべく、航空機にデジタル技術を投入するため、エア・アジアはGEアビエーションと4年契約を交わした。

 1年で地球上を飛行する航空機は100億データポイントを収集する。エア・アジアは、GEのソフトウェアを活用しこの膨大なデータを取り込み、分析し、燃料消費とコストを削減、徹底的に無駄を排除し、定時通りに航空機を運航させるための知見に変えようとしている。

 この重要なプロセスの一環として、エア・アジアは2,500名のパイロットに、GEが昨年発表したフライトデータ分析アプリFlightPulse(フライトパルス)を導入します。離陸前にパイロットは飛行準備として、天候や混雑状況、機体サイズや稼働状況など様々な変動要素を考慮し、最適なプランを選択するもの。

 このなかで重要な変数のひとつは、必要とされる燃料の量。 迂回することなく目的地に到着するのに十分な燃料を積むことは重要だが、一方、必要以上に多くの燃料を積むと、その分コストがかかる。

 例えば、天候や例外的に混雑した空域の場合、重い積荷がある場合や着陸するまでに旋回または空で待機する場合に備えて、パイロットは追加の燃料を積む。

 燃料を多く積むかどうか慎重な選択が必要な理由は、高価になるためだ。ハイカーが食糧を多く積んだ重いリュックサックを運ぶために、より多くのエネルギーを消費するように、機体によるが、実際には使用されなかった燃料によって約5%から15%余計に燃料を消費することがわかっている。

 この点についてFlightPulseが有効に機能する。 パイロットは、タブレットでアプリを立ち上げると、自分が関わった過去のフライトの状況、運んだ燃料の量、着陸後の残量などを示す飛行データにアクセスすることがでる。

 GEのアジアパシフィック・デジタルソリューション部門バイスプレジデントのジョエル・クルスター氏は「燃料分析と安全解析を組み合わせることで、安全性を損なうことなくパイロットは燃料を最適化することができる」と話す。

 エア・アジアは、このようにデータから得た知見を操縦室に留まらせることなく活用し、航空機全体をよりスムーズに稼働させるべく分析・解析しようと計画している。

 この計画の中心にeFOQAというシステムがある。このクラウドベースのサービスは、FlightPulseと同じ高性能なアナリティクス・プラットフォーム上に構築されている。

 FlightPulseはパイロットに関連した形式で個々のパイロットの分析を提示するモバイルアプリであるのに対し、eFOQAはより幅広く航空データを活用し、データサイエンティストによって航空会社全体を様々な観点で調べられるように、カスタマイズされた分析を行うことができる。

 クルスター氏が指摘するように、 データサイエンティストの仕事とは、「大きなモニター画面の前に座り、何年にもわたる過去のフライトの膨大なデータを活用し、航空会社の運営に重要な新たなインサイトを得ること」なのだ。

 こうした地道な観察に基づき、アナリストは独自の分析アルゴリズムを構築し、その結果を他のエア・アジアのシステムにフィードしたり、他の部門がよりよい判断を下せるような知見を提供する。

 エア・アジアは、このような「データに基づく意思決定」により、燃料コストを1パーセントでも下げようとしている。17年間のこの航空会社の指数関数的な成長を考慮すると、それは相当なメリットとなる。

 それに加え、乗客と搭乗員に、より高い満足度で、より安全な運航をもたらすことができると期待されている。すでに実証されているように、幸せで安全であれば、事業に有益な結果をもたらすからだ。