メディアバイヤーたちにとって、ここ数年は厳しい年が続いた。

20%のコミッションがもらえるような時代はもう終わり、クライアントたちはスタッフの頭数をベースにするヘッドカウントモデルへと移りはじめている。そこでは、従業員の数をとにかく減らす努力が行われている。クライアントが支払う料金も下がり、これまで以上に厳しく吟味されるようになった。

今回の告白シリーズではベテランのメディアバイヤーがこのような変化によって、彼女の仕事がどのように影響を受けたかを語ってもらう。読みやすさのために若干の編集を加えてある。

――今日のメディアエージェンシーにおけるもっとも大きな課題は何か?



クリエイティブとメディアが別れたことの結果、あらゆる業務が縦割りになった。それが問題となっている。我々はそれぞれが、ひとつのことに非常に特化している。もっと大きなエージェンシーでは、すべてのスタッフが縦割り化し、何かひとつの部門のスペシャリストとなってしまった。バイヤーは全体像を見て判断しないようになった。以前であれば、我々も全体をちゃんと包括する素晴らしいソリューションを作り上げていた。

――スタッフのインセンティブはどうやって生み出されているのか?



メディアエージェンシーのスタッフは自分の部門のためにお金を作るというインセンティブで動いている。これは業界のやましい秘密となっているが、各部門がそれぞれに独自の収益と損失の集計を出している。そして自分の部門に収益を入れることが最重要な行為となっている。

たとえば、モバイルの在庫だけを買うモバイルバイヤーというのが存在している。モバイルバイヤーは、トレーディングデスクと協働しないかもしれない。しかし、トレーディングデスクもモバイルの在庫を買うことができる。そのためモバイルバイヤーたちは自分たちの価値を証明しなくてはいけない。その結果、彼らはモバイルのプログラマティックだけを購入することや、モバイルジオフェンシングの活用をプッシュするわけだ。もしくはSnapchatといった、特定のアプリ関連のバイイングをプッシュするかもしれない。

ミーティングが来ると毎回、なんでトレーディング・デスクとモバイルは協働しないのか、とストラテジー部門のスタッフに質問されることが繰り返される。そして、それに対して「自分の部門の資本を失いたくない」といった回答が出される。

――透明性の問題はどうなっているのか?



全米広告主協会(ANA:Association of National Advertisers)がレポートを発表したあと、クライアントたちはこれは現実に起きているのかどうかを尋ねてきた。そしてレポートの内容は現実だった。いまではクライアントたちは100%の透明性が欲しいという。つまり、クライアントがエージェンシーに支払った金額は、エージェンシーがメディアやプラットフォームに支払った正確な額と対応していないといけない。そのことを開示する必要があるのだ。

メディア・バイイングにおいてコミッションの存在は珍しくない。しかし、それは開示されなくてはいけないわけだ。もしも、広告提供が一定の量に達すると料金が下がるといったディスカウント契約をエージェンシーとGoogleが結んでいたとすると、それもクライアントに開示しなければいけない。

――この影響はあなたにはどのように起きているのか?



クライエントたちは何年も、コスト削減するよう働きかけてきた。手数料やコミッションといった資金のおかげで、しばしばチームのスタッフの頭数を増やすことができていたわけだ。

いまではどれだけ安くなれるか、という競争が行われている。クライアントは、エージェンシーが本当にあらゆる手を尽くしてもっとも安い値段を提示しているかどうかを知りたがっている。クライエントのなかにはかなり極端なことをするところも出てきており、すべてのバイイングの必要性や金額の正当性を説明しなくてはいけなかったりする。損益計算書がすべてにおいて完全に説明されなければいけない。

デマンド・サイドのプラットフォームにどれだけ払っているか、といったことまで、すべて知る必要があると考えているのだ。非常に極端なところまで進んでしまっている。私のクライエントのなかにはコミッションをどれぐらい受け取っているか開示しない限り、特定のパートナーとは働かないと言うところまで出てきている。エージェンシーやベンダーからの広告申込書の現物を提出することを求めるクライアントもいる。

――エージェンシーのなかには彼らのマージンを守るために連盟関係を話し合っている人たちもいる



連盟を作る話は皆がしている。けれども、それは達成されないと、私は思う。(ほかよりも)より安く済ませる方法や、どうにかして資金を得る方法を誰しもが見つけているからだ。優秀なパートナーは、ほかよりも優秀だから高価なのだということを、我々はクライアントに説明している。

――それがプロキュアメントが重要になってくるところではないのか?



いつもそうだ。そのためにも常にクライアントに学習してもらう必要がある。クライアントはなぜベンダーのなかには値段が高いところがあって、パブリッシャーのなかには値段が高いところにあるのか、ということを学ぶ必要がある。ブランドのなかにはブランドセーフティやプレミアムを要求し、すべてが閲覧できる状態にあることを要求したうえで、それに見合った金額は払おうとしないところがある。クライアントは口を挟まないといけない。

――これらの変化がどのような影響を与えているのか?



スタッフを雇うのが難しいと感じている。また人々に対する給与も良くない。そのため率直に言って、スタッフのあいだでは、タダで物をくれるベンダーを使うというインセンティブが起きてしまっている。いまだにパーティー接待はあるし、コンサートチケットを配るベンダーもいる。オスカー会場に参加できるといった特典や、有名ジムのレッスンチケットだったり、スノーボーディングを教えてもらえる3日間のバケーションなんてのもある。

そのため若いバイヤーには警告しなくてはいけない。そういった理由でベンダーを選ぶことであなたの評判が犠牲になっているのだ、と。あなたは賄賂で購入することができる人、という評価を作り上げてしまう。そんな評価は持つべきではない。

Shareen Pathak(原文 / 訳:塚本 紺)