日本メーカーにも影響が及ぶ恐れがある(三菱電機の火力発電向け発電機)

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 日本の重電メーカーが、構造改革を進める米ゼネラル・エレクトリック(GE)、独シーメンスの動向を注視している。両社が大幅な人員削減に動く要因となったのは、大型火力発電関連事業にある。世界的な不振は今後も続きそうで、日本メーカーも対応を迫られる。またGEの構造改革は事業の分離・上場も議題に上がっており、同社と同様に複数事業を抱える日本メーカーの経営構造のあり方にも影響を及ぼす可能性がある。

 2017年11月、シーメンスは6900人の削減計画を発表。同12月にはGEが1万2000人の削減計画を公表した。背景には、従来の大規模系統電源から地域分散型電源へのシフトという流れがある。

 新興国では電力網の未整備や環境意識への高まりなどを背景に、小型火力、太陽光、地熱など複数の電源を組み合わせた地産地消型の発電が拡大する見通し。

 「大規模火力発電は先細りになる可能性があり、シーメンスとGEは前倒しでリストラに着手したのではないか」と富士電機の北澤通宏社長は指摘する。

 また三菱日立パワーシステムズ(MHPS)などに発電機を供給する三菱電機の柵山正樹社長は「当社の発電機の販売台数も落ちている。必要なら(人員の再配置など)手を打つ」と身構える。

 一方、地域分散型電源の投資が活発化すれば、再生可能エネルギー市場の伸びが期待できる。太陽光や風力などの発電機器に加え、発電量が変動することに対応するための「系統安定化のためのパワーエレクトロニクス機器のニーズは高まる」(柵山社長)と期待する。

 また高効率の小型発電の需要は、当面は底堅く推移する見込み。ただ「GEやシーメンスが小型発電分野に力を入れると、競争は激しくなる」(北澤社長)。

 GEは航空機エンジン、医療機器、電力の中核3事業を分離・上場する検討を始めた。東芝は、この事業構造改革計画の行方を見守っている。

 同社は17年にインフラやエネルギーなど4事業を100%子会社として分社化した。事業スピードの向上などが狙いだが「依然として本社部門とのつながりは強く、中途半端な形になった。将来の上場を見据え、もっと独立性を高める選択肢もある」と、同社の中堅幹部は指摘する。
(文=後藤信之)