見事な逆転勝利を飾ったコロンビアのなかで、存在感を示した背番号10。やはりハメスがボールを持って前を向くと、相手にとっては大きな脅威となる。 (C) Getty Images

写真拡大 (全2枚)

 3月23日(現地時間)、国際親善試合でコロンビアはフランスと対戦し、3-2で勝利を飾った。
 
 ロシア・ワールドカップのグループステージ初戦で日本の対戦相手となるコロンビアは、このサンドニでのアウェーマッチに4-2-3-1の基本フォーメーションで臨み、スタメンには以下のメンバーを選んだ。
 
GK:オスピナ
DF:(右から)アリアス、ミナ、D・サンチェス、ファブラ
MF:C・サンチェス、アギラール
2列目:ウリベ、ハメス、ムリエル
FW:ファルカオ

 しかし試合は、ホームの大観衆に後押しされたフランスが立ち上がりからコロンビアを圧倒。凄まじいプレッシャーでボールを奪い、速さと高度な組織でボールを敵陣に運んで、3分で早くもエムバペのジルーへのスルーパスでチャンスを迎える。
 
 10分に敵陣でのパス回しから、スルーパスで左サイドを抜け出した左SBのディーニュがクロス。GKオスピナが弾いたところをジルーが詰めて、あっさり先制ゴールを奪った。
 
 フランスのチームとしての熟成度は非常に高く、攻撃陣は変幻自在にポジションを入れ替えてコロンビアの守備陣を翻弄。なかでもエムバペはテクニックとスピードが図抜けており、マーカーが完全に置き去りにされる場面が何度も見られ、またチャンスメイクでも非凡なプレーを再三披露した。
 
 25分に追加点を彼らにもたらしたカウンターは、そのなかでも最高のものであり、右SBのジディベがスピーディーなドリブルで持ち込み、グリエーズマンへ。彼からヒールパスでエムバペに渡り、最後はルマールが左足でシュートを叩き込んだ。
 
 このカウンターで、何もすることができなかったコロンビア。成す術がないのは攻撃陣も同様で、それまで全く効果的なプレーを見せられず、MFが時折ボールをバイタルエリアに持ち込むも、味方に繋ぐことができず、逆にカウンターの脅威にさらされた。
 
 27分、アリアスのクロスにファルカオが頭で合わせようとしたプレーが、初めてのまともな攻撃だったが、直後のCKで、ハメスの蹴ったボールが逆サイドに流れたところを拾ったムリエルがクロスを入れると、これがそのままゴール内に転がるという幸運なかたちで1点を返す。
 
 その後は、組織的な守備が機能し始め、中盤でうまくボールを奪えるようになったコロンビアは、ポゼッションを高めていくものの、フランスの守備を崩すまでには至らない。頼みのハメスは良いかたちで攻撃に絡めず、ファルカオがボールに触れる機会もごくわずかだった。
 
 ハメスの好位置でのFKがクロスバーを越えて前半は終了。フランスにとっては理想的、コロンビアにとっては苦しいばかりの45分となったが、後半、最初にチャンスを迎えたのは後者だった。
 
 48分、C・サンチェスのクロスに、左サイドで完全にフリーで抜け出していたムリエルがダイレクトボレー。枠を外して決定機を活かせなかったが、ムリエルは56分にも、ボールコントロールにもたつくCBヴァランヌからボールを奪ってシュートまで持ち込んだ(ロリスが好守で防ぐ)。
 
 前半とは打って変わり、ボールを支配したコロンビア。そして61分、中盤でのウリベのボールカットから、C・サンチェスが右サイドのハメスにスルーパスを通し、エースからのマイナスの折り返しに中央のファルカオが合わせ、ワンチャンスを活かしてロリスの牙城を崩した。
 
 試合を振り出しに戻されたフランスは反撃に転じ、65分にCKからヴァランヌが惜しいヘッドを放つ。71分には交代出場のポグバが遠めからのシュートでゴール右隅にボールを飛ばすが、オスピナにセーブされた。
 
 対するコロンビアは、守備陣が要所を締めてフランスの攻撃をしのぎ、攻撃ではハメス、C・サンチェスの好パスが光る。抜け出せばビッグチャンスというプレーも多かったが、ここではフランスDF陣も踏ん張り続けた。
 
 60分過ぎからは、両チームともにメンバーを入れ替えていったため、組織プレーにおいてはそれまでのようなスムーズさは失われたが、流れのなかでよりゴールに近付くプレーを見せたのは、コロンビアの方だった。
 
 そして83分、敵陣深くまでボールを繋いだコロンビアは、イスキエルドがペナルティーエリア内でウンティティにファウルを受けてPK獲得。これをキンテーロが右隅に突き刺して、逆転に成功した。
 
 残り時間をしっかり守り切り、強敵を敵地で破ったコロンビア。前半は守勢一方で2点をリードされたが、そこから見事に立て直して結果を残したあたりに、彼らの組織、個々の強さのレベルの高さを改めて感じさせられた。日本にとって、脅威はますます増している。