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ー 3Dプリント技術 環境負荷軽減も
ー 3Dプリンター拡大は「当然のトレンド」

3Dプリント技術 環境負荷軽減も

来年には世界で初めて3Dプリンターによって製作されたクルマが見られるようになりそうだ。そして、このクルマのメーカーによれば、3Dプリンターによるクルマ作りは、すべての産業に影響を及ぼす「必然的な」変化の前触れだという。

中国企業のポリメーカーと、イタリアに拠点をもつ自動車メーカー、X Electrical Vehicle(XEV)が作り出す、スマートほどの大きさをもつ「LSEV」なるこのクルマは、積層によってパーツ製作を行う3Dプリント技術によってその生産のほとんどが行われる。

通常の方法で生産されるのは、シャシー、ガラス製ウインドスクリーンやタイヤといった少数のコンポーネントのみだ。つまり、多くの3Dプリンターで作られた製品同様、このクルマの生産過程で発生する廃材の量を驚くほど削減できるということであり、ポリメーカーのトップであるジャオファン・ルオは「さらに多くの自動車メーカーが3Dプリント技術の導入を検討することになります」と話している。


3Dプリント技術によって、クルマで使用されるプラスティック部品の数も、通常の生産方法で作り出された場合の2000から、わずか57へと削減可能であり、車両生産が環境に与える影響を著しく減らす手助けとなる。

LSEVのプロトタイプが明らかにしたそのパフォーマンスは、航続距離150km、最高速度69km/hとされている。さらに車重はわずか450kgであり、スマート・フォーツーの約半分だ。

3Dプリンター拡大は「当然のトレンド」

LSEVは上海にある中国3Dプリント文化博物館に展示されており、来月開催される北京モーターショーでも公開される予定となっている。

このプロトタイプの製作に要した日数は3日間だが、最終的にはひとつの生産ラインから毎年500台のXEVが生みだされることになる。販売は2019年後半から、おそらくまずは中国国内で開始され、その価格は7100ポンド(108万円)からと予想されている。

ルオによれば、LSEVに続いてさらに多くの3Dプリンターで作られたクルマが登場することになるという。彼は「より機能的なハイパフォーマンス素材によって、3Dプリンターの適用範囲はさらに拡がります」と話しており、3Dプリンターによる生産を「自動車業界における当然のトレンド」だという。

最近ではメジャーな自動車メーカーも3Dプリンターを部品生産に活用し始めている。ミニでは、完全なカスタマイゼーションに対応した3Dプリンター製トリムをオプション設定しており、ブガッティは、従来よりも2kg軽量で高強度だというブレーキキャリパーを3Dプリンターで作り出した。