本は理解するために読まなくていい 月100冊の読書術

写真拡大

僕は、月にだいたい100冊くらいの本を読んでいます。1日の平均は4冊くらいです。こういうと読書家だと思われるかもしれないのですが、僕は200ページの本につき、だいたい3分間ほどしか読みません。

本は最初から最後まで読まなきゃいけないと思い込みがちですが、そんなことはありません。大事なのは、読む前に「僕は何の情報を知りたいか」をはっきりさせ、目的を設定することです。

読書はまず「目的設定」から

目的を念頭において、なんとなく本をぱらぱらめくると、必要な情報だけ目につくようになります。200ページの本なら、だいたい3分くらいぱらぱら見て、一度自分の目に入ったところだけ読んでみます。

すると、それ以上この本を読むべきかどうか、もう一周ぱらぱらとめくってみるべきかの判断がつきます。だから、僕は1日4冊読むといっても、全部読み切る本は20冊に1冊あるかないかです。あとは2割くらいの確率で、”こういうことが書いてあるなら、さらにこういう情報が知りたいな”という風に目的を更新して、もう一周ぱらぱらとめくりながら、目についたところだけを読みます。

こんな調子でぱらぱらとし、だいたい2周したあたりでまだ内容が気になるようなら、ちゃんと最初から読みます。そして、思い切って、気になるページをどんどん切り取っていくんですね。あとは切り取ったページだけを残して読むんです。最近は、切り取らずにスクリーンショットをとって、デバイスに読みこむようにしています。

さらに読後、24時間後、3日後、7日後に反復して読むようにすると、人間の脳の構造上、記憶が定着しやすくなります。覚えておいたほうがいい情報は、ちゃんと精読するよりも、いったん理解不能でも未消化でもいいから、できれば寝る前、翌日、3日後……、と繰り返し見ます。するとちゃんと覚えられるようになります。

人間の脳のつくりは不思議なもので、読んでいるときは理解しきれないことでも、繰り返し情報を脳に入れることで、もはや読んだことすら忘れて散歩をしているときなんかに「あそこで書いてあったことってこういうことだったのか!」と、ある日突然、分かる瞬間がきたり、結びついたりするんです。

多くの人が「本は読むときに理解しなきゃいけないものだ」という思い込みにとらわれているのですが、それよりも脳の構造を利用して、ただ気になる文章を繰り返し読んで脳に定着させ、ある日突然理解できる瞬間がくるのを待つのも手です。

ちなみに、気になる本を買ってみたけど、その本を読むための目的設定ができない場合。そんなときは、目次とあとがきを読んでみてください。もしくは、アマゾンや楽天ブックスの購入ページに掲載されている要約や、レビューをチェックしながら内容を掴みながら、読む目的を検討してみるのもおすすめです。

また、ここまでを読んで、「たった数ページのために何冊も読み捨てるのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、僕はそれでも多くの本に目を通すことは、情報を集める上で非常に有益であると考えます。

本は平均すると一冊1000円ぐらいです。本の中には一つのメッセージで世界の見方を変えるものもあれば、誰かと繋がるための言葉や、自分を救うための言葉を与えてくるものもあります。もし三冊買って、一冊でもそういう出会いがあると思えば、飲み会一回分の費用は安いものではないでしょうか? そういったメッセージと出会うためにも、ぜひたくさんの本にダイブしてみてほしいのです。

情報分析は、”分類”である

みなさんは「情報分析」と聞くと、つい「一つの情報からあらゆることを分析する状態」をイメージすると思うのですが、実は「情報分析」という行為の8割は、分析ではなく分類です。つまり、自分が知っている過去の情報のどれかに当てはめるという行為です。情報分析のうまい人や、それを生業にしている人は、 ”分類”がうまいんですね。だから、これまで僕がお話ししてきた情報にまつわるハウツーは、全て”情報をどう分類するか”という話でもあります。

例えば、もしトランプ大統領のことを分析するなら、まず政治の歴史をおさえ、本人の生い立ちを調べ、さらに国の歴史や歴代トップの傾向などのあらゆる情報を集め、それをどんどん分類します。で、それを本人を前にして、「あなたってこうですよね」と当てはめていきます。

やっていることは情報の分類にすぎないんだけど、言い当てられた本人は「自分のことを分析された」と思うから、相手は驚きを感じたり、一目置いたりする。それで、自分のことを自分以上に知っているような相手を、取り込んでおこうと思ったりすることもあるでしょう。

少し実践的な例ですが、経営者と会うときは、その会社の歴史や、どんな選択をする傾向があるかを見ますよね。しかし、それ以上に僕が見るようにしているのは”何を捨てたか、何をしなかったか”です。本人が好きなもの以上に、これまで何を捨てたか、という情報を見ていくと、その経営者の傾向を掴みやすくなります。

なぜかというと、一つの選択を捨てる、つまり事業を切り捨てるというような行為は、経営者として非常に胆力のいることだからです。僕の場合、そこを見てから経営者とお会いすると、会話がかみ合うことが多かったです。「どうしてあの選択を捨てたのか」についての質問をすると、相手は非常に喜んでくださるし、捨て切れないからこそのこだわりもまた見えてくる。

大事なのは、情報を分類するフォルダをいくつも持っておくことです。これまでもお話ししたように、「この新聞の使い道って、何があると思う?」と問われたとき、何通りもの答えを用意できるようにする。また、ニュースを見るときも、「あの人ならどう見るだろう?」と常に多くの人の価値観を理解しておくことで、情報を分類できるようになり、分析ができるようになる、というわけです。

尾原和啓の『働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル』
過去記事はこちら>>