DVで悩む娘に、母が吐いた言葉がひどい!優しかった母が毒親になるまで

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 女性の人生で思いがけずおそってくる難病やパートナーからのDV。経済的にも精神的にも困った時、親なら助けてくれる…と思いきや、逆に親が“毒”になってしまうケースもあるようです。

 ペットトリマーの神川碧さん(45歳/仮名)は、10年前に患った難病を皮切りに、乳がんや恋人からのDVと、死の恐怖を3度味わったそう。でもそんな時に助けを求めた母親は、彼女の悲痛な叫びに手を差し伸べないどころか、精神的に追い詰めていきます。

◆母親の期待コースから外れたことで異変が

 大学を卒業した碧さんは、商社に就職しますが「好きなことをしたい」と働きながら通信教育でトリマーの資格を取得し、29歳で退社してペットショップで働き始めます。

 母親につらく当たられるようになったのは、この頃からだそうです。

「母親は私が小さい頃は可愛がってくれました。おかしくなってきたのは、私がトリマーという職に就いて、給料は少ないけど好きなことをやり始めてからです」

 偏差値の高い大学に入学した碧さんに母親はかなりの期待をしていたそうです。

「就職が決まると『東京でマンションを買って』とせがんできました。頼りにならない父親の代わりにしていたのでしょう」

 碧さんは、小さい頃から父親の悪口を繰り返していた母に「離婚すればいいのにと心の中で反発していました。それも母を苛立たせていたのだと思います」

 その溜まった鬱憤が、母の期待するエリートコースから外れたのをきっかけに噴出したのかもしれません。

◆父親の入院・他界で毒親ぶりがヒートアップ

 さらに毒親ぶりがヒートアップしていったのは、父親の投資の失敗でした。退職金も含めて全財産を失った父親は精神的に病んで、自分から精神病院に入院したのです。

「母親は電話で父親に対する恨み辛みを一方的に喋りまくりました。母親の愚痴を聞くのも長女の務めだと我慢していましたが、電話が終わると頭痛や腹痛が起こり、自分をケアするのが大変でした」

 父親が他界すると、母親はますますネガティブで攻撃的になっていきました。碧さんに「父親の葬式代を払えない長女なんか戸籍から除籍する。実家に帰ってくるなら20万円から30万円持って来い!」と言い放ったことも。

「他人の前では、“親切な人”を演じ、私にだけ暴言を吐く母親と距離を置こうと決めた矢先に、勤務していたペットショップが倒産。就職先を探していたところ、突然、全身の痛みで緊急入院することに…。重度の関節リウマチでした」

◆重病にDV…なんでこんなに不幸が続く?

 その難病から奇跡的に助かった碧さんですが、退院してから母親や実家で暮らす妹からは援助も協力もナシ。貯金が底をつくと生活保護を受けて、社会復帰を目指しました。

「ところが、完治した翌年に、今度は乳がんを患ってしまって。母親に知らせましたが、なぐさめの言葉もなく、保険の名義変更を命じてくるのです」

 碧さんがかけていた保険の満期が近づいていたため、返戻金を自分のものにしようとしたというのです。

「すっかり絶望していた私を奮い立たせたのは、トリマーとして復帰したいという思いでした。ところが新しい勤務先が決まってすぐに、交際中の彼から、まさかのDVを受けるように…。

 すぐに引越しをしたかったので、母と妹に連帯保証人を頼みました。もしこれで承諾してくれたら、これまでのことを水に流して家族としてやり直しができると思ったのです」

 ところがまたもや碧さんは絶望の淵に立たされてしまいます。

「電話で妹は一方的に拒否し、母は私に『そんな男を引っかけたあんたが悪い』などと言って罵倒したのです」

◆母・妹から離れることで平穏な日々に

 高卒の妹はずっと地元で暮らしてきており、進学校を経て東京の大学に進学した碧さんに羨望を感じていたそう。また「母親の愛情を独占したいために、一緒になって私につらく当たっんじゃないか」と碧さんは推測しています。

「とにかく私は、飼っている愛犬と一緒に安全な場所に引っ越したかった。家賃保証会社の審査を受けたら、幸い通って、すぐ引越しできました」

 平穏な日々を取り戻した碧さん。今では「母は病んでいるんだ。病人に罪はない」と達観したそうです。「でも二度と実家に近づきません」

 血のつながりがあるだけで親子は縁を切ることが難しい関係にありますが、離れて暮らすことがベストの親子もいるのです。

―シリーズ“モンスターペアレント” vol.9―

<TEXT/夏目かをる イラスト/あらいぴろよ>