20日の日経新聞は、デンソーがJOLED(ジェイオーレッド)に300億円出資し、産業革新機構に次ぐ主要株主となることを伝えている。JOLEDは世界初の印刷方式による低コストの有機ELパネルの量産に目途を付け、量産を具体化するため、昨年10月に1000億円の増資計画を発表していたが、このほどデンソーの出資が決定した。既に50億円ずつの出資を決めているパナソニック、ソニー、住友化学、SCREENホールディングスの分と合計すると、500億円の増資が確定した。

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 デンソーは1月に米国のラスベガスで開催されたCES(家電見本市としてスタートしたが、近年の対象はもっと幅広い)で、JOLED製の有機ELパネルを展示している。デンソーのホームグラウンドにつながる次世代車には、大量のカメラやセンサー類が搭載されると見込まれ、大量の機器からもたらされる情報を分かり易く視認させる高性能モニターが必須である。その際形状の融通性や自由度が高く、車内の限られた空間に親和性が高い有機ELの利用範囲は幅広い。

 デンソーの有馬浩二社長は昨年秋に開催された「東京モーターショー2017」のプレスカンファレンスで「電動化と自動運転分野に、3年間で5000億円投資する」と宣言した。同期間の研究開発費が合計1兆円とのことなので、50%を電動化と自動運転分野に注ぐという計画だ。JOLEDに対する300億円には、有馬社長の熱い思いが込められている。

 難航が予想されていたJOLEDの増資計画は、やはり思い通りには進んでいない。あとの500億円を3月中に決めきれるかどうかを判断する材料を持ち合わせてはいないが、残日数を勘案すると相当に厳しいものと思われる。有機ELパネルに係る部材メーカーや商社などへの交渉が、どの程度積みあがっているのか、いずれ明白になる。1000億円の出資を見込んだ計画を立ててはいたが、500億円の出資に止まった場合でも、稼働停止しているJDI(ジャパンディスプレイ)の能美工場(石川県能美市)で、有機ELパネルの量産を始める見込みだ。日本メーカーが開発した低コストの印刷方式による有機ELパネルの量産が、陽の目を見る日は近い。

 鳴り物入りで発売されたアップルのiPhone Xが、思わぬ失速に至った大きな要因に、割高な価格設定が挙げられていた。JOLEDの「印刷方式」による有機ELパネルは、韓国メーカーの「蒸着方式」によるそれよりも、低コストでの製造が可能で、材料のロスも少ないという有利性を持っている。印刷方式とモバイルの間の相性を懸念する向きもあるが、韓国メーカーよりも2〜3割は安上がりになるというJOLEDの有機ELパネルに、妥当な価格が設定されてマーケットを制覇する日を迎えられるよう、万全の準備をして欲しい。