かつてBuzzFeedは、プログラマティック広告に対する最大の抵抗勢力のひとつだった。だが広告業界の自動化の流れを受け、ついに3月初旬、同社はプログラマティックインベントリー(在庫)を営業チーム全体に開放するに至った。

これまでプログラマティックに慎重な立場をとってきたBuzzFeedだが、昨年8月、Googleアドエクスチェンジ(Google AdX)などのオープンエクスチェンジやFacebookオーディエンスネットワーク(Audience Network)などのアドネットワーク上で従来型バナー広告の販売を開始すると発表。9月には、自社サイト上で標準的なディスプレイ広告のテストを開始した。BuzzFeed.comのGMとしてプログラマティック事業を日々統括しているダン・ウォルシュ氏によると「10月、11月には本格始動した」という。

「つい先日、私は(インベントリーを)営業チーム全体に開放した。トレーディングデスクやエージェンシーだけでなく、幅広く対話の機会を設け、クライアントと直接つながりを築くためだ」と、BuzzFeedの最高売上責任者(CRO)であるリー・ブラウン氏は語った。ブラウン氏は、プログラマティックへの門戸開放により、新たな広告主を迎えたと述べたが、その成果の具体的な数値は明かさなかった。

ブランドからは不満の声も



BuzzFeedは長年ブランドに対し、自社サイトとソーシャルメディアにおける記事や動画の高い配信能力を売り込んできた。また、オリジナルコンテンツをシェアした人々からのインプレッションを最大化できるようにブランデッドコンテンツの枠を強化。この部分については、ブランドに広告料がかからないのが魅力だったという。

だが、いまやBuzzFeedも従来型のサイト内の広告枠を販売しはじめ、自社サイトへのトラフィックを取り戻すことに財政面での関心を示したため、広告主は同社が今後もブランデッドコンテンツの拡散に前向きな姿勢を維持するかどうかに疑問を抱いている。

「付き合いの長い広告主にとっては、利益相反やおとり商法になりかねない」と、BuzzFeedとブランデッドコンテンツ契約を結んできたあるブランドの幹部はいう。「我々はBuzzFeedのスポンサードコンテンツにプレミアム料金を支払ってきた。獲得リーチにより、通常の2〜3倍のインプレッションを生み出すことになっていたからだ。だが、ウェブサイト上の広告枠を買っただけの広告主も、スポンサードコンテンツの隣で同じだけ閲覧を稼げてしまう。両者は競合関係にあり、これではやってられない」。

コアはいまもネイティブ広告



これに対しブラウン氏は、BuzzFeedの2つの広告モデルに競合はない、と懸念を一蹴した。「我々のコアビジネスはいまもネイティブ広告だ」と、彼はいい、BuzzFeedがめざすネイティブ広告とプログラマティック広告の融合について、次のように説明した。

第一に、ブランドのテレビCMの短縮版をサイト上で自動配信する新たなプロダクト、「BuzzCuts」をスタートする。第二に、スポンサードクイズなどのネイティブコンテンツを閲覧するユーザーに、プログラマティックバナーを提示できるオプションを検討している。第三に、Facebook、Google、Snapchat(スナップチャット)などが広告ターゲティングのために提供している、関心ベースのオーディエンス分類を、BuzzFeedでも実施予定だ。

「ターゲットがクイズマニアであれ、ディズニーのプリンセスのファンであれ、こういったオーディエンス分類は広告主がまさに求めているものだ」と、ブラウン氏はいう。

リスク対策も万全



またBuzzFeedは、自社サイト上で広告枠を購入し、そこからオーディエンスのオンライン行動履歴を収集して、ほかのサイトでのターゲティングに使おうとする広告主から、自社のプログラマティック広告事業を守るため、なんらかの手段を講じる予定だ。インベントリーをオープンマーケットで販売する際、プレミアムパブリッシャーはこうしたリスクに直面する。ウォルシュ氏が公言するとおり、BuzzFeedは公開オークションでインベントリーを販売する予定なので、こうした手口に利用されかねない。

BuzzFeedはインタラクティブ広告評議会のads.txtイニシアチブを採用している。これにより広告主は、どの企業がBuzzFeed.com上のプログラマティック広告の販売権を持っているかを確認できる。また、インベントリーの一部はプライベートマーケットプレイスで販売する予定であり、これについては認証済みの広告主だけが入札可能だ。

ブラウン氏によれば、こうした取引形態を確立する段階では、すでに自社のプライベートマーケットプレイスを運営しているNBCユニバーサル(NBCUniversal)やハースト(Hearst)などの出資者に助言を求めたという。実際、BuzzFeed.comの採用情報にはプログラマティック・パートナーシップ責任者の募集が掲載されていて、そこで業務内容の筆頭にあげられているのは、プライベートマーケットプレイスの設立と導入だ。

BuzzFeed参入の意義



BuzzFeedの最近のプログラマティック拡大は、今年に入ってからの顕著な変化であり、それ以前はウォルシュ氏とほか数人の社員だけが販売に関わっていたと、ブラウン氏はいう。

1月にラスベガスで開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で、BuzzFeedはプログラマティックパートナーとの会合の場を設けた。プログラマティックへの門戸開放から4カ月が経過していた当時でさえ、パートナー各社はプログラマティック担当者の少なさに驚きを隠せなかった。「チームの規模に関して、この時期ならもう少し大きいかと思っていた」と、あるアドテク企業幹部はいう。

だが、それも過去の話だ。

上述のアドテク企業幹部は、「注目すべきは、もっとも根強い、唯一といっていい抵抗勢力だったBuzzFeedが、全面的に参入を決めたことだ」と述べた。

Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)