個人情報をまったく記録しない、利用しない検索エンジン「DuckDuckGo」の使い方

写真拡大 (全7枚)

いまやネットで検索すれば何でも調べられる時代だ。
しかし、そんな利便性と引き換えに、私たちはネットの向こう側にいる企業に、自分の趣味や嗜好、商品の購入履歴……といった情報を提供している。

それが「嫌だ」「気持ち悪い」と感じるなら、
今回紹介する検索エンジン「DuckDuckGo」を活用してみてはいかがだろうか。


●便利さと引き換えに、さまざまな情報を企業に提供している現代人
インターネットの普及で、情報を調べることは圧倒的に簡単になった。
検索エンジンにキーワードを入れるだけで、天気、渋滞情報、おいしいお店の情報、旅行情報……等々、何でも調べられる。
しかも、自宅やオフィスのパソコンはもちろん、外出中にスマホで調べることも可能だ。

ただし、この便利さはタダで提供されているわけではない。
Googleで入力したキーワードは、Google側に記録され、ユーザーごとに最適化された広告配信に活用される。

たとえば、
サッカー関連の検索が多い人にはサッカーグッズの広告、甘いものを検索する人にはケーキやクッキーの広告が配信される……といった具合だ。

これは検索エンジンだけに限らない。
Amazonや楽天などのECショップで検索すれば、その検索キーワードは企業側に蓄積され、新しい商品のレコメンデーションやプロモーションに利用される。

こうして、ユーザーはインターネットを利用することで企業に行動履歴などの情報を提供し、その見返りとして利便性を手に入れている。

いまや、企業にとって「情報」は重要な資源となっている。
インターネットを通じてできるだけ多くの情報を手に入れて、ビジネスに活用することは、現在の企業にとっては重要かつ当たり前の活動なのである。


Googleでの検索履歴はすべて記録され、広告配信に利用される。便利だが、ユーザーから見ると情報を売って利便性を買っているともいえる。



●ユーザーの情報を一切取得しない検索エンジン「DuckDuckGo」
こうした状況を「気持ち悪い」「嫌だ」と感じて、自分の情報を渡したくないと考えるユーザーは少なくない。

そう考える人は、今回紹介する「DuckDuckGo(ダックダックゴー)を利用してみてはいかかだろうか。

DuckDuckGoは、以下のようなポリシーで開発・運営されている検索エンジンだ。

・ユーザーの個人情報を記録しない
・ユーザーの検索履歴を保存しない

通常の検索エンジンやECサイトでは、パソコンやスマートフォンに「クッキー(Cookie)」と呼ばれる小さいファイルにユーザーの情報を記録する。
それによって、ユーザーを特定したり、過去の行動に基づいた新しい情報を提供したりする。

しかし、「DuckDuckGo」はこうした個人に関する情報を記録しない(最小限の設定は記録するようだ)。もちろん、検索したキーワードをサーバ(企業側のコンピュータ)で記録することもしない。

単純に「検索するだけ」のサービスを提供するのが「DuckDuckGo」だ。


●DuckDuckGoの使い方
DuckDuckGoのサイト(https://duckduckgo.com/)にはじめてアクセスすると、右上に[インストール]ボタンが表示される。

クリックするとデフォルトの検索エンジンが「DuckDuckGo」に切り替わり、「DuckDuckGo」の拡張機能がインストールされる(ChromeとFirefoxの場合)。
EdgeとInternet Explorerの場合は、自動では切り替わらず、デフォルトの検索エンジンを変更する手順が表示される。


DuckDuckGo(https://duckduckgo.com/)にはじめてアクセスすると、「インストール」ボタンが表示される。


デフォルトの検索エンジンを「DuckDuckGo」にすると、以後はURLバーの検索で「DuckDuckGo」が使用され、個人情報や検索履歴が企業に提供される心配はなくなる。

もちろん、デフォルトの検索エンジンは変えないで、必要なときだけ「DuckDuckGo」で検索するという使い方もできる。

「DuckDuckGo」だが、検索エンジンとしては、普通に問題なく使える。
使い方はGoogleと変わりない。通常の検索だけでなく、画像検索、動画検索も可能で、アダルト関連のサイトを制限するセーフサーチ機能も用意されている。
右上の[設定]ボタンをクリックするとメニューが表示され、テーマや表示方法、動作を細かくカスタマイズすることも可能だ。

もちろん、広告は一切表示されないので、検索結果はシンプルだ。
さらに自分の情報が記録されない、利用されないことの安心感が最大のメリットだろう。また、iOS/Android用のアプリも用意されているので、あわせて利用するとよい。


DuckDuckGoの検索結果。広告はいっさい表示されない。



画像検索や動画検索も用意されている。



右上の[設定]ボタンを表示されるメニュー



設定画面では表示や動作をカスタマイズすることもできる。



●2018年5月25日から施行される「GDPR」に関連して注目が集まるか
今年5月25日から、ヨーロッパで「GDPR」という法律が施行される。
これは「General Data Protection Regulation:一般データ保護規則」のことで、日本の個人情報保護法にあたる法律だ。

GDPRでは、ヨーロッパ外に個人情報を持ち出すと罰金が課せられる。
しかも、その金額がかなりエグい。

全世界年間売上高の4%以下、または2000万ユーロ以下のいずれか高い制裁金とされている。2000万ユーロといったら、日本円で約26億円だ。

というわけで、その施行を目前に、日本企業は対応に追われている。
そういった観点からも、個人情報を収集しない「DuckDuckGo」のようなサービスには、今後、注目が集まるかもしれない。

DuckDuckGo


井上健語(フリーランスライター)