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昨年辺りから、「企業は、最新技術を活用して変革をもたらすべき」という機運が高まっている。この取り組みは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と呼ばれるが、NTTデータがこのほど、ITベンダーとしてのDX実現に向けた取り組みについて説明した。

○ITベンダーに変革を迫るデジタルトランスフォーメーション

説明を行ったのは、技術革新統括本部 システム技術本部長を務める冨安寛氏だ。同氏は、「市場調査の結果から、日本企業は新規ビジネスを創出することを最優先の経営課題と認識しつつも、実際には、ITの新規投資において、ビジネス成長を目的としたものは9%にすぎない。企業がデジタルビジネスにシフトしたいと考える一方、ITベンダーがこたえきれていない」と、国内の現状を指摘した。

続いて冨安氏は、DXの進展がITベンダーの工数ベースで料金を算出する受託ビジネスにも変化をもたらすと述べた。というのも、現在、ITベンダーにおいては「国内技術者の減少とオフショアの単価高騰」「高速開発の普及」「グローバル化に伴うクラウド利用の加速化」といったことが起きているが、これにDXが進展することで、変化を迫られるというのだ。

加えて、新しいデジタルテクノロジーによってシステムを構築した場合、フルスクラッチで作り込んだ場合に比べて、コストを4分の1に抑えることができるという。「4倍のコストで、同じシステムを作っていては、ビジネスが成り立たない」と、冨安氏は話す。

こうした背景から、NTTデータではDXの進展に向けて、自社が変わっていく必要性を認識し、デジタルテクノロジーを活用した取り組みを開始している。今回、国内のITベンダー全体が同じ課題を乗り越えていくヒントになるのではないかとして、同社の取り組みを紹介することにしたという。

○NTTデータが革新に向けて用いる3つの生産技術

冨安氏は、同社の生産技術を革新するにあたり、「Digital Capability」「Legacy Digital Integration」「System Lifecycle Automation」という3つの技術によってアプローチを図っていくと語った。これら3つの技術によって、ITコストをビジネス成長にシフトさせていく。

○新規サービスの創出に向けた「Digital Capability」

1つめの技術は、新規サービスの創出を目的とした「Digital Capabilityだ。現在、ITベンダーは企業のIT部門と関わりながらビジネスを進めているが、デジタルトランスフォーメーションのニーズは、顧客体験に近いユーザー部門で発生しているという。冨安氏は、このように、ビジネスとITが分断されていることがDXの推進を妨げていると指摘する。

そこでNTTデータでは、DXの主体であるユーザー部門にIT(人材、共創の場)を近づけることで、DXの推進を狙っている。具体的には、Digital Capabilityというブランドの下、システム開発のプロセスにおいて、これまでITベンダーがカバーしていなかった「サービス企画」「UI/UXデザイン」というフローまでカバーしていく。

人材については、DXと親和性が高いアジャイル開発が可能な人材を大量育成に取り組む。現在、「アジャイル人材研修」を進めているという。共創の場については、新規サービスを導入・改善できるプラットフォームでサービスを創出するプロセスを展開する。「企業は『AIを導入したい』と言うが、何をやりたいのかがわかっていない。そこで、われわれとしては、クラウドベースのプラットフォームを活用することで、こうした企業の"勘違い"をときたい」と冨安氏。

「Digital Capability」として、提供しているソリューションがクラウド提供型オープンサービス開発プラットフォーム「Altemista Cloud」 となる。説明会では、Altemistaブランドのソリューションとして、「Altemista Cloud AI Connector」のデモが行われていた。

AI Connectorは、複数のAIを即座に活用可能なAPIを提供することで、AIを利用したサービスの迅速な開発を支援する。具体的には、画像の加工など、データの前処理を行うAPIを提供する「Common Library」、パブリッククラウドやオープンソースのAPIを提供する「Multi AI」、学習モデルのデータセット管理の仕組みとクラウドストレージの機能を提供する「Data Storage」から構成される。

AI Connectorでは、グラフィカルなユーザーインタフェースによって、言語、音声、画像解析、統計などの機能を備えるAIを選択して、サービスを開発することができる

○既存のIT資産のデジタル融合を図る「Legacy Digital」

「Legacy Digital」では、「Digital Capability」の取り組みにおいてPoCを実施した後に浮かび上がる技術的な課題を解決する。その課題とは、既存のIT資産がデジタルの変化やスピードについていけないというものだ。

PoCをスケールさせるには、IT部門のリソースを本格的に投入する必要があるが、IT部門は既存のITの維持運用に追われており、対処できない。そこで、既存のITの最適化と軽量化(リファクタリング)が必要になる。

「デジタルなITは既存のIT資産につながらなくては意味がない。しかし、既存のITはサブシステムが多く、個別に最適化が行われており、デジタルトランスフォーメーションの足枷となっている」(冨安氏)

そこで、NTTデータは既存のITをリファクタリングする手法として、「Legacy Digital」を提供する。Legacy Digitalにおいては「デジタルコンサルティング」「Lift & Shift」「データの民主化」といった作業により、既存のIT資産の最適化を図る。

「デジタルコンサルティング」では、グループ内外のノウハウを融合して、既存のビジネスを生かしたデジタル化を実現する。「Lift & Shift」では、コスト削減に向けて先行的に基盤をクラウドに移行し、また、アジリティの創出に向けてアプリケーションの刷新にあわせて基盤をクラウドに移行する。「クラウドリフト」については、今年中にいくつかやるつもりだという。

「データの民主化」とは、多様なユーザーがあらゆるデータを安全に活用できることを意味する。具体的には、データと活用基盤に分けてアプローチすることで、データ活用の最適化を図る。また、レガシーのシステムを含めて、全体を包含するリファレンスアーキテクチャを作成する。

最後の「System Lifecycle Automation」は、フレームワーク「TERASOLUNA」を用いて、既存のシステムの生産性向上を実現する。