東京ガスの防災体験ツアーを取材:第3弾「火育〜身近な材料で火をおこそう〜」
東京ガスは、3月11日に「親子で学ぼう!!防災体験ツアー」と題した、災害時の対策を学べる体験会を開催しました。24名の定員に100名を超える応募があったほどの人気イベントで、「しながわ防災体験館」での体験を終えた後は、豊洲にある東京ガスの体験施設「がすてなーに」に場所を移して防災体験が行われました。第2弾で紹介した「災害時のトイレをそなえよう!」とあわせて実施された体験イベントが「火をみかたに生き抜く力を育む」です。

東京ガスが「火育」に取り組もうと思ったのは、現代に生まれてから実際の火を見たことのない、体験したこのとのない子供たちと接した経験からと言います。東京ガスでは「料理教室」も開催していますが、訪れるお子さんの中にはガスコンロの火を見て「キレイ〜」と言いながら触ろうとする場面もあったそうです。オール電化の住宅で生まれ育ち、生の火を見ることなく育った人の反応に驚くとともに、実際の火を体験する必要性、重要性を痛感し火育イベントを行うことになったということです。



まずは火について基本的なことから解説してゆきます。理科や家庭科の授業でも行われる内容ですが、火が起こる原理、燃える原理を解説し、火の起こし方と消火について学びます。また、震災時は、至る所で焚き火が行われた例を紹介。暖をとる様子や食べ物を温めている様子を見せながら、火を使うことで暖をとったり、料理ができたり、時には明かりとしての役目も果たすと火の役割を説明します。



正しく使えば便利で役に立つとわかった「火」について、さらに一歩進んだ体験が用意されました。誰もが一度は擦ったことのあるマッチですが・・・実は今回初めてマッチを触るという人も。ここで改めて正しいマッチの擦り方が案内されました。マッチを擦る際は、マッチを取り出した後、マッチ箱に収納されているマッチの火薬がついている側を上方向に向けて下方向に向けて擦り、火を大きくしてから着火。消す際は水を張ったバケツや消壺に向かって「投げるように」落とす。というのが正しい擦り方、消し方ということです。「投げるように」するのはマッチを持つ指にマッチ棒が張り付いて意図しない火傷を防ぐ意味があるとか。



一通りレクチャーを受けた後は実際にマッチを擦る体験をしました。一発で着火する人。着火したけどすぐ消えてしまう人。何回かトライして成功する人など様々でしたが、全員がマッチで火をつけることができるようになりました。



火が取扱えることになり、いよいよ簡易なカマドをつくって火を起こす体験になります。それに先立って、火を使うときの約束をとりかわします。また、非常時に焚き火をして良い場所、適している場所などはどこだろう?とみんなで考えます。焚き火に適しているのは、地面が濡れていなくて乾燥していること。風が遮られている、風の通り道ではない場所。周囲に可燃物があったり、風下に人や可燃物などがないこと。などが挙げられました。



いよいよカマドを作り、火を起こす体験です。いざという時のカマドは身の回りにあるもので簡単にできるということです。必要なのは風を防ぐ(風防)ことと空気の通り道を確保すること。今回はアルミ鍋を風防として、鍋にザルを載せることで空気の通り道を確保します。



そして、いよいよ燃料(可燃物)の設置(配置)です。用意されたのは新聞紙、牛乳パック、割り箸、木片、そして割り箸にガムテープ(布テープ)が貼り付けられた謎の旗、です。



これをどの順番で火をつけてゆくか、がワークショップの課題となりました。火のつきやすさと火持ちの良さを考慮して適切な順番を考えます。紙は火がつきやすいが火持ちが悪い。木片は火持ちが良いが火つきが悪いという性質があるなかで、新聞紙、割り箸、木片の順で火をつけてゆく組み合わせが奨励されました。



新聞紙は固く絞ることで火持ちをよくすることができます。火が下から上へ登って行く性質を理解して、下から順に燃えやすいものを、空気の通り道を作りながら配置します。そして、ガムテープを貼り付けた謎の旗は石油製品ゆえに着火剤として適しているとのこと。まず、謎の旗に着火して固く絞った新聞紙に着火。そのまま割り箸、木片へと火を移して火力を得るというのがポイントです。



実際に屋外で着火させる体験が行われました。うまく火が育たずに再着火するシーンもある中で、マッチだけで着火してお湯を作るグループもありました。



鍋とザルで作ったカマドには焼き網を載せて水を入れた鍋でお湯を沸かします。お湯が沸いたグループは暖かい飲み物を作って暖をとります。



最後に、最も大事な火の始末です。いきなり水をかけると熱せられた水が飛び散ったり、水蒸気で火傷したり、火のついた欠片が舞い散ったりするので、まずは大きな木片を火箸などでつかみ、水にそっと入れます。おおむね消し終えたら、その水をカマドに注ぎます。その際も真ん中の火元に直接かけるのではなく、周囲から徐々にかけてゆくのがコツです。



人類が進化したのは火を取り扱うことを覚えたからと言います。「火育」イベントは、災害時だけでなく日常でも役に立つ内容だったと思いました。