営業に対する上司のやり方や考え方に賛同できません…(写真:よっしー / PIXTA)

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はじめまして、いつも安井さんの記事を興味深く拝見しております。私の相談は上司がまったく機能していないということです。
私が所属している会社は社員数100人程度のITベンチャーで、私は営業のチームに所属しております。上司は2人おり、いわゆる営業マネジャーという役職なのですが、機能していないという理由は、現在の営業が抱える明らかな営業課題を理解できない、戦術を立てるという概念が彼らの頭に存在しないの2点です。
弊社はITベンチャーでありながら7〜8年前にリリースしたサービスがヒットし、いわゆる知る人ぞ知るというポジションを確立しております。まだ根強いニーズはありますが、リリースから8年も経つと、いわゆるアーリーマジョリティは獲得しおえ、現在は成長ステージでは踊り場にいるイメージです。
上司は2人ともそのイケイケのときに入社しております。そのため、いまだに待っていれば顧客からの引き合いがあり、なんとかなると考えております。彼らの日々の業務はミーティングと営業同行の繰り返しです。ミーティングはメールで済む内容をわざわざ対面で行ったり、営業先に連れて行くと新卒レベルでマナーがなってなかったりします。
何度か現状の課題と打つ手を話し合う場を設けたのですが、理解できないのか現実から目を背けたいのか、まったく話が先に進みませんでした。個人レベルで改善できることも限られており、さらなる成長を見込むためにはもはや彼らはブレーキになっているだけだと感じています。ちなみに上司のさらに上の役職者の認識も大差ないレベルです。
とはいえ商品や会社の環境自体はとても気に入っており、できれば転職はしたくないです。出世するというのも現状は営業は誰一人目標を達成していないので難しい状況です。このような状況で転職を視野に入れない場合は、現状の不満に目をつぶり粛々と日々の業務をこなすしかないのでしょうか?
会社員 馬場

上司の考え方は、簡単に変わるものではない

このような場合の対応策は、自分自身のやり方で実績を出して、会社に新たな付加価値を提供する。ずばりこれにつきます。


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上司と親は選べないという言葉もありますが、なるほど馬場さんが日々ストレスを抱えている状況が伝わってきますね。馬場さんの情報だけでは何とも判断はしかねますが、それなりに成長を遂げてきたベンチャー企業ではよくある話なのかと、自分自身の経験を含めてそう思います。

ベンチャー立ち上げ期や勢いがあったころの仕事のやり方や求められることと、その後では、求められるスキルも経験も異なってきますから、実際はその両方のステージで活躍しようとなると、かなりの努力を強いられます。

同時に、ベンチャー立ち上げ期に入社したメンバーとそれなりに会社が成長したステージで入社した社員では、仕事に対するスタンスや考えが異なるのもごく自然なことです。

営業に対する上司のやり方や考え方に馬場さんが賛同できないということですが、まさにそのような状況は往々にして起こりうることなのです。

転職せずが前提でもありますから、そのような中で馬場さんにできることは、変えようとしても変えられないことに注力するのではなく、自分で変えられる部分を変えて会社の内部で変化を起こしていくことです。

上司の考え方は、彼らがベンチャー成長期を通じて学んできた彼らなりの常識ですから、簡単に変わるものではありません。

「自己否定」を自ら課して成長につなげられる人もいますが、多くの人はそうではありません。それだけ「成功体験」というのは個々人の中で強烈な歴史となっているのです。であるからこそ、そう簡単には変えられない可能性が高い。

会社にとっての新しい常識を創り上げる

反対に、馬場さんにとって自分自身を変えることは容易なはずです。上司の営業方法や部署運営方法が間違っていると考えているのであれば、論より証拠です。

馬場さん自身が、現状の会社にとってふさわしい営業スタイルを立案し、自ら営業成績を上げることによって、会社にとっての新しい常識を創り上げるべきなのです。

そうすることによって初めて周りも過去の成功体験をベースとする常識を否定でき、それをもって会社が変わるきっかけにもなりうるでしょう。

現状の不満に目をつぶるべきか、と書かれていますが、本来仕事は苦行ではありませんし、せっかく馬場さんは会社と製品を好きなわけですから、それではもったいない。

ご自身が変わることによって周りを変えるリーダーシップを取り、自分自身のストレスの解消にもつながればそれが理想です。

上司を含めベンチャー立ち上げ期にいたメンバーは、誰からも教わることなく、試行錯誤しながら営業手法なりを編み出していったはずです。現在の会社はそういった努力の軌跡の基に成り立っているのです。

であれば、後発メンバーである馬場さんは新たなやり方による、既存メンバーにはない新たな付加価値を会社に提供することが、できうる最大限の貢献です。

上司や会社が変わらないからとあきらめ、自分自身が変わることを忘れてしまっては、どんな会社においても通用しません。営業目標を達成できないのはなぜか、既存のユーザーはなぜ自社の製品を選び使っているのか、当時と環境はどう変わっているのか、考えるべきことはたくさんあるはずです。

現時点であるべき営業手法を編み出すにあたって、ぜひ上司の話も聞きながら馬場さんなりのシナリオを組み立てていくとよいでしょう。

参考にならない成功体験はありません。どんな話も否定するのではなく、学ぶ姿勢でいないと、馬場さんも将来同じように周りから思われてしまう可能性がありますよ。

馬場さんが自らの努力によって会社に新たな付加価値を提供し、会社がよりよい場所になるための変革の要となることを応援しております。