Facebookがニュースフィード上のニュース表示を皮肉にも減らすことを決定したあと、新たなリファラーソースを探しているパブリッシャーたちはPinterest(ピンタレスト)を見直しはじめている。

リファラートラフィックに関する2017年の大きな変化は、パブリッシャーにとってトラフィック源としてのFacebookの価値が低下し、GoogleがFacebookを上回ったことだ。Pinterestはインスタグラムと並んで、規模は小さいながらも同じようにトラフィック源として成長している。シェアホロリック(Sharehololic)によると、このオンライン・スクラップブック・プラットフォームは、2017年後半にパブリッシャーのソーシャルトラフィックの約8%を占め、2016年前半の4.5%から上昇した。

2億を超える月間アクティブユーザーがいるといわれる、8年目を迎えたPinterestは、ユーザー基盤の規模をみるとFlipboard(フリップボード)とTwitterの中間あたりに位置しており、自宅のインテリアデコレーション、ファッション、メニューのアイデアなどを探している人々(多くの場合女性)に利用され、新しいオーディエンスにコンテンツを見てもらいたいライフスタイルパブリッシャーたち(そして、Pinterestの収益源であるこれらのオーディエンスにリーチしたい広告主)には使い勝手が良い。

パブリッシャーらの見方



Pinterestとのやり取りはかつて、現在ほど頻繁ではなく、それも取り立てて有益ではなかったとパブリッシャーらはいう。しかし、この数カ月で、アウトリーチ、コラボ、フィードバック要求が著しく増えたと彼らはいう。

「いまは、パブリッシャーにとってのPinterestの利用価値を発見しようとしているといったところだ」と、Facebookに続いてPinterestが2番目に大きいリファラープラットフォームになっているBuzzFeedでオペレーションバイスプレジデントを務める、マイケル・ケンプナー氏は述べた。

「我々はPinterestを非常に重視している」と、メレディスのライフスタイルジェネラルマネジャーでありデジタルオペレーションと事業開発のシニアバイスプレジデント、レジーナ・バックリー氏は述べる。同氏はメレディス(Meredith)がタイム社(Time Inc.)を買収する前、かつてのタイム社のライフスタイルブランドのために、Pinterest、Snapchat(スナップチャット)、Facebookとの提携を手がけた。「それは資材であり、リファラーソースとして成長している。もちろん、Facebookに照らしてPinterestへの関心が高まっている。Pinterestは、我々とちゃんと提携することに関心を持っており、両社の事業をともに成長させるために協業したいと思っている。こうしたことは、我々の配信元すべてにいえることではない」。

Pinterestにソーシャルトラフィックを大きく依存しているピュアワウ(PureWow)のアナ・リー成長担当バイスプレジデントは、1年前ごろからPinterestでの変化を認めた。同プラットフォームからは現在では毎週連絡が届き、プラットフォーム上でどの話題が人気なのかがわかるデータが提供される。ピュアワウのコンテンツの宣伝を助け、テストされていた機能についての情報を共有してくれると、リー氏は述べた。「もっと積極的に接触している人たちがいることは間違いない」と、彼女はいう。

Pinterestとの力関係



BuzzFeedにとってPinterestは、古い投稿や動画を再利用したり、ジョークやその他のユーモアといったほかのプラットフォームで成功しなかったコンテンツにもう一度機会を与えたりするのに最適だとケンプナー氏は語る。また、常に変化するニュースサイクルに振り回されない、安定した良いトラフィック源でもある。BuzzFeedのPinterestアクティビティの多くがBuzzFeedコンテンツをPinterestで共有する人たちが原動力となっているため、Pinterestは投稿がどれだけシェアされているのかを知るバロメータにもなっている。

メレディスのバックリー氏は、ユーザーがPinterestでスペシャルコンテンツを開くためにスキャンするQRコードに似たピンコードの事例では、Pinterestとパブリッシャーの共生的な取り組みを目にしている。Pinterestは2017年後半にピンコードの開発でタイム社と密接に協力し、彼らが試したそのタイトルのうちのひとつがリアルシンプル(Real Simple)だった。ピンコードで、Pinterestは雑誌やほかのページで露出を増やし、パブリッシャーたちは新たなユーティリティとして読者にそれを提示するようになった。

「ピンコードに関するフィードバックを聞こうと彼らは我々のところにやってくる。こうした話はこれまでに聞いたことがなかった。彼らとは数えきれないほど電話でやりとりしてきた」と、バックリー氏は述べる。

しかし、その力関係がどのように進展するのかいまだ完全には明らかではない。Pinterestの関係は穏やかなものとはいい切れない。しかし、あるパブリッシャー幹部は「TwitterとFlipboardが一方に、Facebookがもう片方にあるとすれば、Pinterestはその中間だ」と表現した。いまのところPinterestは認知度向上とトラフィックの原動力として主に機能している。パブリッシャーは、当然もっと多くのことを望むだろうが、Pinterestとの関係については期待しているようだが、Facebookの経験もあり、安心はしていない。

キーパーソンの狙い



Pinterestのパブリッシャーへの関与に影響を与えているキーパーソンは、プロダクトの一部である新部門、コンテンツの責任者として10月から働いているデビッド・テンプル氏だ。テンプル氏の上司はコンシューマー製品の責任者であるローレンス・リップシャー氏。テンプル氏は25名のマーケティング、事業開発、販売、プロダクト、エンジニアリングメンバーからなるチームを監督しており、彼のもと、チームは拡大している。

SnapchatとFacebookはソーシャルネットワークとしてはじまり、のちにコンテンツを追加したのに対し、テンプル氏はPinterestとパブリッシャーの関係は互恵的な関係であると説明した。同氏によると、大半のユーザーは、パブリッシャーや個々のクリエイターによるコンテンツを発見しにPinterestを訪問する、そして質の高いコンテンツがなければ、ピナーたちが発見したり、ピンしたりするものは何も存在しないだろうと述べている。パブリッシャーはPinterest上で友達のコンテンツと競合することはない。いいね!やシェアのために最適化するFacebookとは異なり、Pinterestはパブリッシャーが現実世界で行動を起こすきっかけをつくる場所でもある。たとえば、Pinterestは、ユーザーがレシピやDIYプロジェクトにフィードバックを残せるようにチェックできる「試してみた!(tried it)」ボタンを作成した。

「私の責任は、プラットフォーム上に刺激的なコンテンツがあることを確実にすることであり、我々が手掛けなければならないもっとも大きな課題は、すでに優れたコンテンツを制作しているクリエイターたちと緊密に連携して、公開と配信、その影響力の測定を簡単にすることだ」とテンプル氏は述べた。「我々はパブリッシャーに配慮する。なぜなら、PinterestのユーザーたちがPinterestで素晴らしい経験ができるコンテンツを制作しているのは彼らだからだ。我々がどう行動するかは、我々にとって重要なのだ」。

マネタイズは初期段階



Pinterestのトップパブリッシャーであり、2017年から2018年にかけてリファラルトラフィックが10%増加した、ライフスタイルメディア企業Brit + Coの創設者兼CEOのブリット・モーラン氏は、テンプル氏の採用はパブリッシャーにとって喜ばしいことだと評価している。「我々はこれまでPinterestに注目してこなかった。しかしデビッドがやってきて、それが彼の主な仕事となった。コンテンツクリエイターからのニーズへの対応は彼が直接責任を引き受けている」と、モーラン氏は述べた。

Pinterestでコンテンツを配信し、その影響度を測定できる、もっとたくさんのツールとアナリティクスをパブリッシャーに提供することを検討しているとテンプル氏は述べた。Pinterestはブランドの動画コンテンツを配布するパブリッシャーたちとちょっとしたテストを実施しており、ほかの収益化の機会を模索しているが、詳細は明らかにできないとも語った。

理論上は聞こえがいいが、パブリッシャーにとっての大きな疑問は、Pinterestが有意なトラフィック源であることにとどまらず、実際の収益源になるかどうかということだ。これらの取り組みはまだ初期段階にあり、広告販売の機会とデータは限られている。Facebookによるひどい経験のあとで、パブリッシャーたちはプラットフォームの約束を簡単には信用しない。

「優れたアナリティクスを有するネイティブツールはあまりなく、Pinterestはパブリッシャーにとって強力なパートナーだと議論することは、Pinterestにとって絶好の機会になるだろう」と、Brit + Coのモーラン氏は語る。「それを実行する手段ならいろいろとある」。

Lucia Moses(原文 / 訳:Conyac)