港区女子が実在するか否かは別として、彼女たちを取り巻く議論を俯瞰すると……?

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◆北条かやの「炎上したくないのは、やまやまですが」【その17】

 六本木や麻布などで夜な夜なシャンパンを飲んで豪遊し、年収1000万円超えの「港区おじさん」にお会計をまかせる「港区女子」。その派手な生活ぶりは、バブル期の「アッシー、メッシー、ミツグくん」を思わせ、ネットでは批判も浴びています。

 3月15日には、人気情報番組「スッキリ」(日本テレビ系)が特集を組み、これまで港区女子を知らなかった層にもその「実態」が知れ渡ることになりました(あえて「実態」にカッコをつけたのは、彼女たちの事実など解釈の仕方でいかようにもなる相対的なものだからです)。

 ついにテレビが取り上げるほどに知名度を上げた港区女子と、彼女たちへのバッシングは何を意味するのでしょうか。

 15日の「スッキリ」では、「港区女子」というカテゴリを生み出した『東京カレンダー』編集部や、現役の港区女子4名の座談会を放送。ホテルインターコンチネンタル東京ベイに集まった女性たちは、モデルや教育関係、投資家、会社員兼タレントで、皆さん容姿端麗です。

・リムジンで移動は当たり前
・シャンパンなどを派手に飲み、お会計時には「港区おじさん」を呼び出しておねだり
・でも、将来の夫が「港区おじさん」のようなタイプだったらイヤ
・口説かれても軽くあしらう
・港区おじさんの人脈をアテに、さらなる遊びの場へとつなげる

 このような特徴は、東京カレンダーのアプリを入れて記事を熟読し、ネットニュースを日々拝読している私のようなネット民からすれば既視感のあるものでしょう。

 私にはリアル港区女子の友人は(たぶん)おりませんし、彼女たちがよく行っている「ギャラ飲み」(ハイスペック男性と数時間飲んで1〜数万円のタクシー代をもらう)の実態もほんとうのところはよく分かりません。

 何しろ引きこもりで友人が少ない上に、ブスだババアだと自虐し叩かれることにも慣れてしまったので……自分で書いていて悲しくなってきましたが、暗い暗い世界に生きているからこそ、きらびやかな港区女子を叩く人たちや妬む人たちの心もよく見える気がします。

 ネットで「スッキリ 港区女子」と検索すると、放送直後から非難轟々。中でも印象的だったのは、テレビに顔出しした港区女子の皆さんを、ブスだと罵る声がたくさんあったことです。

 映像を見ましたが、彼女たち、ぜんぜんブスではありません。

 むしろものすごく可愛らしい、美人な部類に入ると私は思うのですが、男性に奢られて勝ち組のようなキラキラ感を漂わせる彼女たちを罵る際に、まず「ブスのくせに」が出てくる発想は、「おまえのかーちゃんデベソ!」の少年時代からまったく変わっていないのではないかと切ない気持ちになりました。

 さらには「港区に住んでもいないくせに」とか、「もともと貧乏な田舎者だったんだろう、どうりで品がないわけだ」「本当の港区女子はもっと上流である、彼女たちは偽物だ」などの悪口も目立ちます。

「ホンモノのお金持ち」を持ち上げる一方、お金持ちになろうとする港区女子たちを叩く。これにはもっと暗い気持ちになりました。

◆本当に搾取してくる層には目を向けない日本社会

 どうも我々は、出る杭を打ちたがるというか、「成り上がって良い思いをしている人々」に対して異様に厳しいようです。

 アメリカでは2010年代に入ってから、富を独占する上位1%のお金持ちに対して、99%の一般市民が反旗を翻す「ウォール街を占拠せよ」運動が広がりを見せましたが、その際のスローガンは“We are the 99%”でした。

 99%のマジョリティが、上位1%のスーパーリッチ層を批判する。なぜなら彼らこそが富を独占し、社会的な格差を増大させている巨悪だから、というわけです。