ミツイワが構築したロボットシステム

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 高度なロボット利活用社会の実現に向け、システムインテグレーター(SIer)の必要性が高まっている。大抵のロボットは単体で機能せず、SIerなどによるシステム構築作業が欠かせない。だが近年、国内外でSIerの不足が続く。各社の企業規模は総じて小さく、拡大するロボット需要に応え切れていないのが実情だ。政府も支援に動く中、ロボット革命の担い手としてSIer産業の飛躍が求められている。

ロボット産業“縁の下の力持ち”
 「SIerとの連携強化が必要だ」。ファナック、安川電機、川崎重工業など世界を席巻する日本のロボットメーカー―。各社の幹部はまるで申し合わせたように、SIerの重要性を口にする。ロボットはFA(工場自動化)システムの1要素にすぎず、システム全体を作る作業を経なければ力を発揮できない。

 システム構築を担うSIerは、ロボット産業において“縁の下の力持ち”と呼べる存在だ。「我々の役割はロボットに対して命を吹き込み、少し知性を与えること」と、あるSIerの技術者は表現する。

 そのSIerが今、足りていない。一因が需要の急拡大だ。労働力減少などを背景に製造業の自動化が加速、新たにロボットを導入する工場が増え、結果としてシステム構築の担い手が強く求められている。

 日本ロボット工業会が2018年の受注額目標を過去最高の1兆1000億円に設定するなど、需要拡大はとどまることを知らない。これに対し、国内のSIerは自動車メーカーなどからシステム構築を請け負う中小企業が中心で、供給力は限定的。企業数も十分ではなく、「ロボット産業のボトルネックになっている」(業界関係者)のが実態だ。

 ロボット革命を掲げる政府がSIer支援を拡充するのも、このためだ。「ロボットの利用領域を広げるには、SIerがもっと活躍しないといけない」と経済産業省の小林寛ロボット政策室技術総括係長は言い切る。

 このため経産省は、SIerの投資や開発を資金面で後押しする「ロボット導入促進のためのシステムインテグレータ育成事業」を2017年に実施した。全国各地の企業から申請を受け、計78件を採択。「非常に好評だった」と小林技術総括係長はほほえむ。

 補助事業だけではない。同じく2017年、経産省はSIerのレベルや得意領域を見える化する「スキル標準」と、取引の指針「プロセス標準(RIPS)」を策定した。前者はユーザーがSIerを選ぶためのガイドの位置づけ。

 また、RIPSでは下請け型受注の多いSIer業界の商習慣を変えるべく、取引の“あるべき姿”を明文化した。SIerとユーザーの良好な関係構築を促し、業界の持続的発展につなげることが狙いだ。

ロボットSIer業界は新たな段階に
 需要拡大や国の支援などにより、新たにロボットSIerとなる新規参入組も増えている。その中の一つが、ケイズベルテックだ。2017年、食品業界向けのFAシステム事業を強化するため、ロボットの取り扱いを本格的に開始。経産省の補助事業を活用し、システム構築用の新工場兼展示場も2018年に開設した。「(ロボットを使えば)半自動だったシステムを、完全自動に近い状態にできる」と里薗勝成社長は新たな挑戦の理由を明かす。

 同社以外でも、ミツイワ、日本電技、グローリーなどがここ数年でロボットSIer分野に参入。いまだ供給不足の感はあるものの、一つの産業として徐々に活気づいているのは確かだ。

 そして2018年、ロボットSIer業界は新たな段階に入る。SIerによる初の業界団体設立が計画されているからだ。経産省と日本ロボット工業会が旗を振り、2017年11月に設立に向けた準備会議を発足。ロボットやFAのシステムを手がける企業に声を掛け、年内の立ち上げを目指し着々と準備を進めている。

団体創設を飛躍の契機に
 目立たないながらも、長年モノづくりを支えてきたロボットSIer。待望の団体創設を、飛躍の契機にしたいところだ。「取引先を紹介し合うなど、会員同士が協力することで商機が広がる」と小林係長は新団体を介した企業間連携に期待する。また前述のRIPSの普及、そして取引慣行の是正に向けても業界団体の果たすべき役割は大きい。需要の拡大が続く中、新たな成長産業として注目したい。
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