子どもが反抗期を迎えて手におえません(写真: parinyabinsuk / PIXTA)

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反抗期の小5男の子を持つ、母です。極度の面倒くさがりで、興味対象が少なく、諦めが早いです。日常、宿題→やりたくない→寝転がる→そのまま1〜2時間ダラダラ→「やりたくない」「できない」と泣き出す。寝転がる→私が注意する→キレる→悪態をつく→うるさいこと言われたからやりたくない→物を投げる→泣き叫ぶ……という感じです。そのあと、落ち着いて宿題をやると、15分もしないで終わります。「お母さん、終わった、明日からはちゃんとやる」と言いますが、次の日も同じことの繰り返しなのです。
プライドが高く、完璧主義ですが、努力はしません。なので、勉強することよりも、間違いを直すこと、覚えるために字を書くことが嫌いです。
私も、手をかえ品をかえするのですが、やはり、最終的に息子の態度に怒ってしまいます。反省してはいるのですが、やはり、リモコンを投げつけられたり、棒を振り回されたりすると、捕まえて手を上げてしまうことも……。本当に一筋縄ではいかないのですが、どうしたら、逃げ出さない、壁に向き合うことを理解させられますか?
(仮名:伊藤さん)

不正解を避け、様々な方法を試す

かなり大変な毎日のようですね。お子さんを何とかして、「理想的状態にしたい!」という気持ちがよく感じられます。その親の愛情を受けて育つ子は幸せです。しかし、アプローチを間違えると日々、親子共々つらいだけになってしまいます。


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子育て・家庭教育の方法に絶対唯一の正解はありませんが、不正解はあります。つまり、適切な子育てのアプローチは多種多様ですが、一方でこれはやってはいけないといういくつかの不正解はあるのです。その不正解さえ避けておけばあとは、様々な方法を試してみるといいでしょう。

ではその不正解とは何か? それは、「今やっている方法」です。

今現在の方法が間違っていないのであれば、そのままやるといいでしょう。しかし、うまくいかないのに、なぜか続けてしまうという摩訶不思議。

では、伊藤さんの「逃げ出さない、壁に向き合うことを理解させるにはどうすればいいか」というご質問にズバリとお答えしましょう。

「それはできません」

これが回答です。つまり、「そのようにすることはできないので諦めてください」という意味です。「え?」と思われることでしょう。もう一度言います。「諦めてください。逃げ出さない、壁に向き合う子にすることを一切諦めるといいでしょう」

「なんということを言うのだ!」と思われるかもしれません。しかし、それが解決方法なのです。

親の感情の問題が解決しないと何も変わらない

お気づきになっているかもしれませんが、今、直面している問題というのは、お子さんの問題ではなく、親の問題なのです。親の感情の問題なのです。親が自分の感情をコントロールできないために発生している問題なのです。目の前の子どもの状態を見て、「カッ」ときて、あれこれ言ってみたり、あれこれ手をだしてみたりするのです。

この感情の問題が解決しないと、現状は何も変わりません。「落ち着いてお子さんの気持ちになってください」とか「もっと子どもに寄り添ってあげてください」というレベルのアドバイスでは、解決しないのです。感情の問題というのは、そう簡単に解決できません。

ではどうすればいいでしょうか。それが「諦める」なのです。一切、子どもに「こうなってもらいたい」という期待を捨てましょう。「期待」と「絶望」はセットでやってくるのです。ですから今のケースでいうと、粘り強い子になってもらいたい、チャレンジする子になってもらいたい、きちんとした子になってもらいたいという「期待」を捨てるのです。

現在の伊藤さんが置かれている親子関係はかなり深刻な状態であるため、このようなアドバイスをしています。そうでなければ「諦める」という言葉は使いません。しかし、伊藤さんのような状況には、「諦める」は効果てきめんなのです。

「諦める」とどうなると思いますか。もっとひどいことになると思われるかもしれませんが、そうはなりません。逆の現象が起こり始めます。

実は、こうしたケースをそれこそ数多くみてきました。親が何とかして子どもを勉強に向かわせたい、不登校で早く学校に行ってもらいたい、宿題をきちんとやる子になってもらいたい、と親が強く思えば思うほど、それとは逆の現象が起こるというものです。

笑い話のようですが、実話で次のようなことがありました。

押し付けると反発し、引くと寄ってくる

毎日毎日子どもに勉強することを強制し、やっているかどうか管理しているママさんがいました。そのママさんの口癖は「この子は言わないとやらないので、私が管理しないといけないのです」と。

やがて、子どもが大きくなり中学生になって思春期・反抗期に入りました。すると、親の強制に反発していきます。それでもそのママさん、“頑張り”ました。そして頑張れば頑張るほどお互いつらくなっていきます。そのうち親も疲れ果てて、子どもを自分の枠に入れることを諦めたのです。すると、子どもは自主的にやるようになっていったのです。不思議ですよね。押し付けると反発するし、引くと寄ってくる。人間関係も物理学の力学の法則と同じようなことが起こります。

もしどうしても「諦めることができない」というのであれば、今後もこの“格闘”がずっと続くことを覚悟するしかありません。

でも、少しでも「諦める」ことができるなら、ぜひ試してみてください。もちろんやるからには、本気で諦めなければなりません。表面的に諦めているだけなら、すぐに元に戻ってしまいますから。

ただし、この「諦める」というのは、親が今子どもにかけている過剰な期待を諦めるのであって、子育てを諦めるとは異なります。そこは間違えないようにしましょう。

日常は子どもと楽しく会話をして、信頼関係を作ってください。子どもの変化に驚くことになるでしょう。