9カ月ぶりに代表復帰の宇佐美【写真:Getty Images】

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9カ月ぶりの日本代表復帰、「やっぱ楽しいし魅力的な場所」を再確認

 ドイツ2部デュッセルドルフのFW宇佐美貴史は、3月シリーズ(23日マリ戦、27日ウクライナ戦)で9カ月ぶりとなる代表復帰を果たした。

 6月のロシア・ワールドカップ(W杯)に向けたラストチャンスと捉え、「生きるか死ぬか、自分の居場所を守れるか守れないかという競争はし慣れている」と生き残りに自信を覗かせている。

 宇佐美はバヒド・ハリルホジッチ監督の初陣となった2015年3月のチュニジア戦から13試合連続で出場するなど、“秘蔵っ子”として継続的に招集されてきた。だが、2016年に加入したアウクスブルクで出番が減少。出場機会を求めて昨夏に移籍したドイツ2部デュッセルドルフでも当初はレギュラー定着になかなか至らなかった。

 今冬にFW原口元気がデュッセルドルフへ加入した時期から徐々に復調の兆しを見せ、2月中旬からリーグ戦4試合連続ゴールをマーク。その間、2試合連続アシストもマークするなどチーム内で圧倒的な存在感を放ち、代表復帰を果たした。

 宇佐美にとって代表は「やっぱ楽しいし魅力的な場所」だという。ハリル監督の下、コンスタントに出場していた時期から一転、9カ月間未招集という苦しみを味わった。「日の丸を背負って戦える喜びっていうのは、計り知れないなと改めて思います」と代表復帰の意味を再確認した一方、熾烈なポジション争いに向けて自信を漲らせる。


気負いなき天才…「普段通り」で覚醒へ

 これまで日本代表では左ウイングを主戦場としていた宇佐美だが、所属するデュッセルドルフでは右サイドで好プレーを連発。代表でも久保裕也、本田圭佑らが揃う右ウイングでの起用も想定される。

 もっとも、宇佐美は定位置争いについて「今に始まったことじゃない」と泰然自若。「より高いレベルの競争は、ドイツでもあります。なかなかそういう競争に勝てずにいましたけど、競争自体にはすごく慣れている」と語る。さらに宇佐美節は続き、「生きるか死ぬか、自分の居場所を守れるか守れないかという競争はし慣れている。勝ち慣れてはいないですけど」と競争を歓迎した。

 今の宇佐美は自然体だ。それは最近の好調ぶりと無関係ではないだろう。「改めて代表に来て、こういう部分を出そうと気負っている部分はない」と断言。「普段通りやれていることを試合で出していきたい」というコメントは、自信の裏返しとも言える。ドイツでも「天才」と報じられた宇佐美だが、気負いなきアタッカーは代表でも覚醒の時を迎えつつあるようだ。


(大木 勇(Football ZONE web編集部) / Isamu Oki)