小池百合子・東京都知事(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

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“天下取り”に向けた国政進出の可能性を、自らの「排除発言」で潰した小池百合子・東京都知事。あれから5カ月。メディアも小池氏の動向を追うことが少なくなり、すっかり影が薄くなった。「都政に専念」と言うものの、その都政でもすっかり迷走気味だ。

 小池氏は2月17日に築地市場を視察。市場業者と非公開で懇談したが、その場で小池氏は「築地に市場をつくる考えはない」と発言し、ニュースでも報じられ騒ぎになった。小池氏は昨年の都議選直前、築地・豊洲両市場を併用する基本方針を発表。「築地は守る、豊洲は生かす」と明言し、豊洲に中央卸売市場の機能を移転させる一方、築地には「競り」など一部の市場機能を残して再開発する考えを表明していた。

 翌18日、小池氏は大慌てで前日の発言を訂正。「築地に中央卸売市場はつくらないということだ。私の説明に丁寧さがなかった」と弁明したが、もともと「併存方針は都議選向け。追い詰められて本音を言った」と揶揄する声もある。

●局長車廃止で変節

 昨秋から都議会で議員公用車の見直しが議論され始めたことを受け、都側も副知事らが局長専用車の見直しを水面下で検討。小池氏も了承し、今年1月、局長専用車の全廃を決定。庁内の政策連絡会で局長に報告した。

 ところが、災害時の緊急利用が必要などと異論が噴出。局長らへの根回し不足から混乱し、結局、小池氏は決定を覆し、条例局長と公営企業局の専用車が残ることになった。廃止は青少年・治安対策本部長、病院経営本部長、中央卸売市場長、会計管理局長、外務長の5人だけとなった。知事のリーダーシップと決断力のなさを露呈した。

 また、2020年の東京五輪・パラリンピックの開催計画などをめぐって、これまで“天敵”とされてきた東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長の森喜朗元首相に、バレンタインデーのチョコを渡していたことが発覚。都議会で自民党議員の質問に答えるかたちで明らかにしたのだが、「私費で買った」「都民ではないので大丈夫だと思っていたが、厳密には駄目だということで正していきたい」と弁明。自民党は、「選挙区内にある者」は住民票がなくても選挙区にいる者も含むと指摘。「発言の通りならば、知事の寄付は公選法違反」と批判した。

 このように「都政に専念」と啖呵を切ったものの、現状は散々。都知事再選どころか、東京五輪を自らの手で開催できるのかどうかも怪しい。都知事の任期は20年7月30日まで。通常であれば都知事選は五輪前に実施される。再選されるか、もしくは都知事の任期を特例法で五輪後まで延長されなければ、五輪期間中(7月24日〜8月9日、パラリンピックは8月26日〜9月6日)に任期が切れてしまう。

●公明党頼み

 そこで、頼みの綱は公明党。小池氏は2月に突如、平昌パラリンピックの閉会式に出席することを決め、2月23日の定例会見で発表。3月17日から視察に向け出発した。これには裏がある。都政関係者がこう話す。

「公明党東京都本部の女性局が東京パラリンピックをきっかけに、東京をバリアフリー先進都市にしようという方針を打ち出した。世間は五輪で騒いでいるけれど、福祉の公明党はむしろパラリンピックを大事にしている、というメッセージです。党にとってこれは来年の統一地方選対策でもあるが、東京都のバリアフリー推進ということで都知事との共同歩調が重要。小池知事もそれに応えるかたちでパラリンピックの視察に行くということなのでしょう」

 小池氏が昨年の衆院選で希望の党を突然立ち上げ国政進出したことで、都議会公明党は小池氏との蜜月関係に終止符を打ち、「知事与党」の関係を解消した。しかし、都民ファーストの会だけでは過半数に足りない以上、嫌われても公明党頼みの都政運営しか小池氏に残された道はない。

 東京都の来年度予算案で公明党は「要望が幅広く反映された」と好意的な受け止めをしている。裏を返せば、小池氏が公明党の要望を目いっぱい、のんだということだ。20年に向けた福祉都市づくりでも、公明党は都知事と共同歩調で実現を目指す。小池にとっても、東京パラリンピック向けのバリアフリー対策で公明党をつなぎとめられる。両者の思惑が一致した。「保身に汲々とする小池氏は、都知事になって何がしたかったのか」という都民の声が、今の小池氏の現状を物語る。
(文=編集部)