『レディ・プレイヤー1』でも大活躍のデロリアン!

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 現地時間3月11日、アメリカ・テキサス州オースティンで開催されているサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)と呼ばれる映画、音楽、インタラクティブメディアの複合フェスティバルで、スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作『レディ・プレイヤー1』が世界最速でプレミア上映された。

 『レディ・プレイヤー1』はアーネスト・クラインのベストセラー小説の映画化作品。劣悪な社会環境に苦しむ多くの人たちが、VR(バーチャル・リアリティ)の世界に現実逃避する2045年のオハイオを舞台に、若い主人公たちが、その世界の利権を狙う企業に立ち向かうというSFアドベンチャー。予告編で、デロリアンやアイアン・ジャイアントが登場するように、映画全体を通して、音楽や人気キャラクターなど1980年代のポップカルチャーがふんだんに散りばめられている。その数の多さは一度見ただけでは追いきれないほど。

 スピルバーグ監督でなければ、これほどの離れ業はまずやれなかっただろう。ネタバレになるので詳しくは記せないが、予告編でちらっと目にするアニメ『AKIRA』(1988)の赤いバイク以外にも、日本からアッと驚く大物キャラがいくつか大事な場面で登場し、観客を大いに沸かせた。

 また、上映前の舞台あいさつには、キャスト、原作者、脚本家以外に、スピルバーグ監督もサプライズで登壇。観客から大歓声が上がったのは言うまでもない。初めて観客と本作を見たスピルバーグは、上映後、「映画を監督する時、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』のような歴史物では、僕がほとんど作品をコントロールすることができる。(でも)僕が、観客席のあなたたちの横に座って一緒に映画を作ると決めたら、それはあなたたちのために映画を作ることを意味している。だから、皆さんの反応が全てなんだ」と熱狂的な反応にとても満足そうな表情だった。

 映画には謎解きの要素があり、ゲーム感覚にあふれているが、スピルバーグ家督は、映画を楽しむのに、ゲーマーである必要も、80年代のポップカルチャーに詳しい必要もないと付け加えた。「僕はこの作品を、全ての人たちに向けて作った。(車に例えると)横の窓を見たらポップカルチャーの要素が目に入るけど、フロントグガラスを見たら、ちゃんとストーリーを追うことができるんだよ」

 また、SXSWの期間中、テキサス州オースティンのダウンタウンには、『レディ・プレイヤー1』の世界観を体験できる「レディ・プレイヤー1・エクスペリエンス」という無料のアトラクションが設置され、多くの映画ファンたちの間で連日大盛況となっていた。エクスペリエンスの参加者は、まずタイ・シェリダン演じる主人公ウェイドが、劇中でVRを体験している、狭いバンに乗り込む。ユーザーは、そこから光のトンネルを通って、VRの世界であるオアシスの中に入るという流れになっている。

 80年代のヒット曲が響き渡るメインフロアに入ると、巨大なアイアン・ジャイアントの上半身像や、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』バージョンのデロリアン、「スペースインベーダー」のアーケードゲーム、バーテンがディーヴォの格好をしたバー、自分のアバターをデザイン出来るコーナー、映画のシーンをいくつかVR体験出来るコーナーなど、映画のプロモーションのために一時的に作ったとは思えない実に凝った内容になっており、驚かされた。昨年大ヒットした『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』も80年代を舞台にしていたが、ハリウッドは今ちょっとした80年代ブームなのかもしれない。(取材・文・写真:細谷佳史)

映画『レディ・プレイヤー1』は4月20日より全国公開