ディーゼルエンジン 128年の歴史 後編
フィアット・クロマ(1988年)
今ではほとんど忘れかけられているが、30年前にフィアットは世界で初めて直噴ディーゼルエンジンの量産車を発売した。
その年の後半のフランクフルトモーターショーで、アウディは自社開発の直噴エンジン搭載車である100を発表した。
シトロエンXM(1989年)
マルチバルブのガソリンエンジンの歴史は長いが、ディーゼルとなると、始まりはXM Dターボだった。排気バルブは1つだけだが、吸気バルブは2つだった。
フォルクスワーゲン・ゴルフ(1990年)
ヨーロッパでは、触媒コンバータは1992年まで義務付けられていなかったが、フォルクスワーゲンは2年早く、ゴルフ・ウムヴェルト(日本語で「環境」)に搭載した。ゴルフは酸化触媒を搭載する世界初のディーゼル車となった。
1年後、フォルクスワーゲンはディーゼルと電気のハイブリッド車のプロトタイプを発表した。
アルファ・ロメオ156(1997年)
コモンレールシステムはここ数年では標準的だが、その先駆者はフィアットグループだ。
量産車として初めて搭載されたのが、このアルファ・ロメオ156である。
フィアットNZEV(2000年)
フィアットは2000年、コモンレール式可変バルブタイミング機構搭載の1.2ℓ16バルブマルチジェットエンジンの開発を発表した。
標準的な内燃機関に比べ、微粒子とNOxの排出レベルは大幅に低く抑えられるため、これらのテクノロジーはこの後のディーゼルの定番となっていくだろう。
プジョー605(2000年)
プジョーが2000年に発売した605 2.2 HDIは、標準でディーゼル微粒子フィルター(DPF)を装備する革新的なクルマだった。その後DPFの着用が義務付けられるまで、さらに9年がかかることとなる。
「ディーゼルマニア」の記事がヒット(2001年)
2001年5月、オートカーは英国でのディーゼル車の飛躍的な売り上げを特集した。
CO2排出量に基づく課税と、ハイテクによるディーゼルの性能向上を背景に人気が上がったのだが、それでもディーゼル車は新車販売の1/5程度にとどまった。
ディーゼル車のル・マン優勝(2006年)
少し前まで、ル・マンでディーゼル車が優勝するなど誰も想像していなかった。しかし、アウディR10 TDIは2006~2008年に三連覇を達成した。そして2009年にはプジョー908 TDiが、さらに2010年、2011年にはアウディR15 TDIとR18 TDIがそれぞれ優勝を成し遂げた。
立ち込める暗雲(2013年)
2013年10月、オートカーではさらに厳格化される排ガス規制が、ディーゼル車をどれほど追い詰めるかついての記事をお送りした。
1年後、フランス政府は都市部の大気浄化のために、ディーゼル車への規制を強化すると発表した。これはロンドンのボリス・ジョンソン市長が、特にディーゼル車を対象とした「超低排出ゾーン」案を発表した直後のことだった。
フォルクスワーゲンの排ガス不正問題(2015年)
フォルクスワーゲングループはディーゼルの普及に最も尽力した会社のひとつであったが、2015年にアメリカの排出ガス試験における不正が発覚した。
フォルクスワーゲンの全世界の売上高は増加したものの、このスキャンダルはすぐさま世界中に広まり、間違いなくディーゼル人気を低下させる原因となった。