「自己防衛おじさん」こと占い師の鉄平さんにインタビュー

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テレビの街頭インタビューで口にした一言がきっかけで、インターネット上で一躍「時の人」となった男性がいる。

2018年3月初旬から注目を集めたこの男性は、ネットで「自己防衛の人」「自己防衛おじさん」などと呼ばれている。きっかけは、JR新橋駅のSL広場で行われた報道番組のインタビューで、年金問題について、

「お金いっぱい欲しいんだったらさぁ。年金あてにしちゃダメじゃない?自己防衛。投資。海外移住...日本脱出だよね」

などと語ったことだ。

しかし、このインタビューの模様が放送されたのは16年12月のこと。なぜか、放送から丸1年以上が経ったタイミングで大ブレーク。ツイッターには、男性を描いた二次創作イラストもあふれている。

こうした現象について、当人はどう感じているのか。J-CASTニュースが、突如としてネットの有名人になったこの男性にインタビューした。

ツイッターのフォロワーが500から3万人に

「自己防衛おじさん」の正体は、横浜市内に住む占い師・鉄平さん(37)。知人からの連絡を受けてネット上の現象を知り、自らのツイッターで「あのー、これ僕です」と名乗り出ていた。

この投稿を発見した編集部は、ツイッターを通じて鉄平さんにインタビューを依頼。18年3月16日、東京・麹町のJ-CASTオフィスを訪れてもらい、詳しい話を聞いた。

――まず、鉄平さんの発言や表情がいきなり注目された今回の現象について、率直にどう思っていますか。

「率直に言うと、時代っていうものを肌で感じています。僕としては凄く光栄ですね。だって、テレビやラジオの内容って、一昔前は時間と共に忘れ去られていくものだったはず。だから、1年以上前の街頭インタビューの内容がインターネットなどを通じて掘り起こされ、いきなり話題になる。そんなこの時代ならではの現象の当事者になれたことは、嬉しく思っています。もちろん、驚きはしましたが」

――ご自身の周りで、何か影響はありましたか。

「ツイッターのフォロワーが500人弱だったのが、3万人になりました(編注・20日時点では3万9000人以上に)。ありがたい話で、びっくりですよね。ツイッターは2012年からやっていたんですが、一瞬でここまで増えるとは。実生活では、今のところは何もないですかね」

――本業は占い師ということですが、お仕事には?

「これが面白いところで、本当に何もない。(笑)もともと、昨(17)年の12月いっぱいで、新規のお客様の受付を基本的にストップしているので。もちろん、『占って』というツイートを頂くこともありますけど、状況が状況なだけに、収拾がつかなくなる可能性もあるので、申し訳ないんですがいったん見合わせている状況です。ただ、先日この騒ぎを聞きつけた、お世話になっていた占いコーナーの担当者から連絡をいただきまして、4月頃からまた横浜ベイシェラトンの鑑定コーナーに復帰することとなりました。詳しくはツイッターでお知らせできればと思っています。」

悪意がある感じという動きではない

――ネットユーザーからは、鉄平さんについて「悪役顔」という声も多く上がっていました。こうした反応について、いかがですか。

「まあ、そういう風に思った人が多かったということで。その判断は人それぞれですからね。ただ、どこで(映像)を止めてるんだよ、勘弁してくれよとはちょっと思いましたよ。自称占い界の斎藤工と勝手に言わせてもらってるのですが、そう言われる事は皆無です。ハイ。(泣)斉藤さんのファンの方ゴメンナサイ」

――「仮面ライダー」シリーズのファンからの反響も大きかったですよね。どうやら、鉄平さんの顔は「悪役顔」でもあれば、「ライダー俳優顔」でもあるらしく...。ネットには、変身アイテムを身につけたコラ画像も沢山あります。

「実は、そこまで詳しくはなくて。だからもうビックリしちゃいました。ただ、小室哲哉さんと浅倉大介さんの手掛けた『Be The One』(仮面ライダービルドの主題歌)や、三浦大知さんのEXCITE(仮面ライダーエグゼイドの主題歌)などは普段から聞いているのでそういう意味では、全く無関係ってわけもないですね」

――ツイッター上では、鉄平さんの顔をイラスト化するユーザーも出るなど、二次創作の動きも目立っています。どう思われますか。

「全然、不快ではないです。良識的で常識のある人が多い印象で、なんか学生のノリっていうのかな。すごく悪意がある感じという動きではないですから」

――鉄平さんのツイッターでの反応や、ネットユーザーへの対応についても、「丁寧」「大人」などと称賛を集めています。

「皆さんにそう思っていただけるのはありがたいです。人柄の良さくらいしか取り柄がないのかもしれません(笑)」

「自己防衛」の意味を改めて聞く

――話題の発端となったインタビューについて、詳しくお聞きしたく思います。

「本当に突然でした。取材をOKしたら、年代によって受け取る年金の額にこれだけ差がありますって説明されて、そこでいきなり『いかが思いますか』って。だから、あのコメントも特に考えたわけではなく、僕なりの解釈を素直に話しただけです。実は3分くらい話していたんですけど、だいぶカットされてます。番組としては、『不公平だ』とか批判的なコメントが欲しかったと思うんですけど、僕の場合はそうはいかない(笑)」

――コメントの中でも、「自己防衛」という言葉が特に話題になりました。どういう意味なのか、改めて教えてください。

「だって、皆うっすら分かっていますよね。今の年金システム、この先もうダメになるって。じゃあ、我々自身が考えて、どうしたらそれだけに頼らずに生きていけるかを考えるっていうのが大事でしょ。それが、『自己防衛』です。投資もそうだし、日本脱出もあくまで手段の一つということ」

――年金問題に関して、鉄平さんは何か自己防衛をされていますか。

「年金型の積み立て貯金を7年前、30歳のときから始めました。仮に今の年金システムが崩壊したとしても、これが安心材料になります。あとは、株とか。地味ですけど、安定株をいくつか持っています」

私生活やプロフィールは?

――鉄平さんのプロフィールが気になる読者も多いと思います。いったい、どんな生活をされているんですか。

「うーん。『あなたの仕事は何ですか』と言われたときには、私は易学研究家で占術家だと胸を張って答えます。もう、占いを始めてから10年になりますし。17年12月までは、ずっと横浜のホテルで占いコーナーに出席していました。ただ、占いだけでは不安定な部分があることは確かですから、自己防衛のためにも、医療事務や大好きなコンビニなどで働いています。あと私生活で言えば、20代のときは日本にいなかったです。ロサンゼルスに10年くらい住んでいました。占いと出会ったのも、現地のアジア人コミュニティだったんですよ」

――ちなみに、ご結婚は?

「してません。ずっと1人です。おそらくこの先も。占いをやると、友達もいなくなりますから。人が嫌いになってしまうくらい、人の内面をジッと見ていく仕事ですから。そうなるとやっぱり、1人になりたい時間が欲しくなるんです」

――最後に、何かあれば。

「これからは、SNSや対面占いだけに留まらず、さまざまな形で皆さんにお目にかかれることを期待しています。それが、僕の率直な気持ちです」