和田政宗オフィシャルウェブサイトより

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 昨日おこなわれた参院予算委員会の集中審議。そこで自民党の広報副本部長である和田政宗議員が言い放った「太田理財局長は民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めている。増税派だからアベノミクスを潰すために、安倍政権を貶めるために意図的にヘンな答弁をしているのではないか」という発言に批判が集まっているが、同じく昨日、和田議員が口にした話が、いま、ネトウヨを中心に盛り上がりをみせている。

 和田議員は、安倍昭恵夫人に対する証人喚問を求める世論に対して「不正の証拠はまったくない」と擁護したあと、こうつづけたのだ。

「文書に伝聞形で書かれているということで証人喚問に呼べと言うならですね。山梨のある学校法人が格安で国有地の払い下げを受けた案件はこれはどうなるんでしょうか」
「この学校の保護者の会の連合会長は野党のある国会議員です」

 そして和田議員は「まさか関与はしてないと思いますけれども、名前があるので関与をしている可能性があるから証人喚問ということになればですね、これはおかしなことになるというふうに思っております」などと述べた。

 この発言が飛び出すと、ネトウヨたちは「さすが和田さん!ぶっこんできた」「いいぞ、もっと突っ込んでくれ」と歓喜。産経新聞もさっそくこの質問について記事にし、さらにネトウヨまとめサイトでは、この「山梨の学校法人」が「学校法人日本航空学園」のことであり、同学校法人の保護者・OB会である「雄飛会」の連合会長に、民主党の大島九州男参院議員の名前があると指摘。「大問題だ」「徹底究明すべき」「なぜテレビはこの問題を取り上げないんだ」と大合唱を繰り広げているのだ。

 バカのひとつ覚えで安倍首相好みの野党批判を展開しただけで「俺たちの和田さん」と支持してもらえるのだから、ネトウヨ相手の商売とはまったく簡単なものだとつくづく呆れるが、しかし、この和田議員の発言は「特大ブーメラン」と言わざるを得ない。

 というのも、和田議員が問題にした学校法人日本航空学園の国有地払い下げは、むしろ"自民党議員の関与"が疑われている問題だからだ。

●「山梨の学校法人」元校長は前川喜平氏の授業に圧力の自民党・赤池誠章議員

 この国有地格安払い下げ問題は、山梨県内の国有地を約50年にわたって無断で使いつづけていた学校法人日本航空学園に対し、2016年5月に評価額の8分の1という格安で売却。今年1月8日にこの問題を報じた毎日新聞によると、学校法人日本航空学園が1960年代に土地を買収してパイロット養成用の滑走路を整備したとき、国有地だった農道なども無断で使用。国は67年にこの無断使用の事実を把握していたが、80年代に学園と国が協議した際は価格面で折り合わず、2012年になって会計検査院が処理促進を提言したことから交渉が再開したという。

 しかし、財務省関東財務局が土地価格を約7180万円と算定した一方で学園側は民法の「時効取得」を盾にして無償譲渡を主張。結果、16年5月に減免措置を適用して875万円で売却、使用料についても計約161万円しか徴収していないという。

 約50年間にもわたって国有地の無断使用の実態を把握しておきながら問題を放置しておいて、挙げ句に格安で払い下げる──。普通はそんな話が通るはずもないのだが、なぜか8分の1という値段で売却するとは、たしかに異常である。

 そして、毎日新聞がこの問題を報じた日、和田議員もさっそくこうツイートしていた。

〈今朝の毎日。財務省が、日本航空学園による国有地占有を放置し結局格安で払い下げ。森友もそうだが、こうした国有地売却が他にもあるのかチェックしなくてはならぬ。政治家の関与あるなし関係ないところで行われている。毎日の本質を突く記事。朝日はこうした記事を書けるか?〉

 和田議員はこの時点では〈政治家の関与あるなし関係ないところで〉などと書き、そのことで日本航空学園の問題によって森友も政治家案件ではないと印象付けようとしていたのである。ところが、日本航空学園について調べてみたら、先述したように大島九州男議員が保護者・OB会の連合会長だとわかり、またも森友問題から目をそらせるためにテレビ中継入りの予算委でぶつけた......。そんなところだろう。

 だが、じつはこの日本航空学園には、保護者・OB会などという程度ではなく、もっと深くかかわっていた自民党議員がいる。

 本サイトでは毎日新聞の報道が出た1月8日に記事にしているが、この日本航空学園グループの専門学校で、自民党の赤池誠章議員が学校長を務めていたのだ。そう。いま、大問題となっている、前川喜平・前文部科学事務次官の授業をおこなった中学校に教育委員会を通じて文科省から圧力をかけさせていたことが判明した、あの議員だ。

 そもそも赤池議員は、2005年に自民党公認で初当選するまでは、日本航空総合専門学校(06年に日本航空大学校山梨に改称)の学校長を務め、社団法人山梨県専修学校各種学校協会会長にも就任。そうした経歴もあり、いまは自民党文部科学部会の部会長を務めているのだ。

 今回の問題でも明らかになったように、赤池議員は前川氏に圧力をかけるべく教育委員会に照会するほどの"熱心さ"の持ち主。過去に世話になった学校に恩返しするべく、国有地問題でも何らかの働きかけをおこなったのではないかと疑念の目で見られても仕方がないだろう。

●日本航空学園は安倍の盟友・米田建三が理事で、理事長は「チャンネル桜」発起人

 しかも、同学校法人にかかわる自民党関係者は赤池議員だけではない。安倍首相と同期のタカ派議員で、拉致問題や歴史教科書問題、ジェンダーフリー攻撃などで志をともにしてきた"安倍首相の盟友"的存在である米田建三・元内閣府副大臣は、なんとこの日本航空学園で理事・教育顧問を務めていることを、同学園の梅沢重雄理事長自らブログで綴っているのだ。

 さらに、もうひとつ付け足しておくと、日本航空学園の梅沢理事長は、「日本文化チャンネル桜」の設立発起人に名を連ね、『日本航空学園アワー』なる番組が放送されていたほどのゴリゴリの極右。元谷外志雄・アパグループ代表が塾長・最高顧問を務める「勝兵塾」に参加した際には「憲法についてのくだらない議論よりも教育勅語を教えることが必要」「我が国の伝統文化を教えれば10年後にはスムーズに憲法改正ができる」「国体をしっかり守りさえすれば憲法なんてどうでもいい」などと語っており、安倍自民党との親和性が非常に高い学校法人なのだ。

 保護者・OB会の連合理事という立場の野党議員と、政権与党議員である元学校長や、安倍首相の盟友的存在である自民党副大臣経験者ならば、どちらが役所に影響力を誇るか。誰にだってわかる話だろう。

 しかし、和田議員もネトウヨも、この肝心の事実を無視する。和田議員にいたっては、大島議員が保護者・OB会の連合会長だと知っていたくらいなのだから、赤池議員や元自民党の米田氏が深くかかわっている学校であることなど、調べはついていたはずだ。だが、「不当な国有地払い下げに野党議員がかかわっている」ということを強調したかった和田議員は、意図的にこの部分を無視して質疑に盛り込んだのだろう。だからこそ、問題を俎上に載せながらも「こっちの問題も追及しろ」とは言わず、「名前があるので関与をしている可能性があるから証人喚問ということになるのはおかしい」などと、昭恵夫人擁護のためにこの話題をもち出したのだ。

 無論、この国有地払い下げについても不正がなかったのかを徹底究明するべきだし、和田議員もそれをしっかり訴えればいい。もし、和田議員がそれをできないということであれば、結局は、国会の質疑をネトウヨ受けのためのアピールタイムに使った恥知らず議員ということだ。
(編集部)