古めかしいディスプレイ広告を、チャットボットがより効果的なものにアレンジする。

エミレーツ航空は、同社のツアー運営部門であるエミレーツ・バケーションズ(Emirates Vacations)のディスプレイ広告に組み込まれたチャットボットに、人工知能を採用している。この広告ユニットで、ユーザーは旅行に関する質問をして、すぐに回答を得られる。

しかしエミレーツ航空は、人工知能が別のアプリケーションでより高い効果を発揮すると考えている。それは検索において、さらなる運営上の摩擦案件(改善点)を分析・検出するアプリケーションとしてだ。具体的にはユーザーの質問内容、同サイトが持つコンテンツ、そしてエミレーツ・バケーションズの在庫品の3つをベースに分析し、チャットボットがおすすめの旅行先やパッケージプランを提示する。その際、たとえばエミレーツ・バケーションズがトロントのホテルを扱っていない場合に、チャットボットは同都市を提案に入れない。ただし、広告上では「ページから移動せずに、世界中を旅してみましょう」と綴っている。

エミレーツ・バケーションズのマーケティング部門シニアバイスプレジデントであり、旅行代理店のウェイブレイザー(WayBlazer)と協力してチャットボット導入を実現したアリシア・ポラード氏は、「私たちは、この取り組みではカスタマージャーニーの理解に重点を置くとともに、できる限り摩擦案件(改善点)の解消にも成果を上げたいと考えている」と語る。

チャット広告を継続予定



エミレーツ・バケーションズは、2017年12月末から30日間実施したキャンペーンでチャット広告のテストを開始。全米の主要都市においてニューヨーカー(The New Yorker)やロンリープラネット(Lonely Planet)、タイム(Time)、スミソニアン(Smithsonian)といった各雑誌のサイト上に表示された。ポラード氏によると、30日間のキャンペーンが終わるころには、従来のクリックスルー広告と比較してエンゲージメントが87%向上したという。

エミレーツ・バケーションズは新たなチャット広告について55万のインプレッションを敢行。従来からのディスプレイ広告での同数のインプレッションとの比較テストを行った。結果から、チャット広告を継続予定であるという。ただしそれ以外の、もとのディスプレイ広告のエンゲージメントに関する数値等は公表されていない。

現在チャット広告では、モルディブ、バンコク、ミラノ、セイシェルの4つの旅行先を宣伝。ユーザーが、休暇に出かけるにはどこが良いか? という質問を入力すると、チャット広告は上記の旅行先へのパッケージを勧める。またチャット広告では、同じ旅行先について書かれた記事が戦略的に配置される。たとえばPoeple.comでは、歌手のジョーダン・スパークスのモルディブ紀行の記事の隣にエミレーツ・バケーションズのチャット広告が表示された。

「従来型の広告に新たな息吹」



ポラード氏はまた、チャット広告が「従来からのディスプレイ広告に新たな息吹を与える」という。従来型のディスプレイ広告は、オンライン広告のなかでも消費者にとって長らく迷惑な存在であり、多くのブランドがより価値あるものをユーザーに提供する方法を模索している。

「トラベルブランドは、特にユーザー体験には注意を払わなければならない」というポラード氏は、「旅行はまさにそのユーザー体験次第」としたうえで、「コンシューマージャーニーのより正確な理解をもたらし、ユーザーへより的確なレスポンスを可能にする手法のひとつとして、私たちはAIを採用している」と語った。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:SI Japan)