無印良品が驚きの売場を導入! そのライバルはスーパーマーケット!?

写真拡大

 3月20日に大阪に開店する無印良品の大型店が話題を呼んでいる。

 世界最大級の4,317屬箸いη箴賁明僂盒辰であるが、一番驚かされるのが「生鮮食品売場の導入」。しかも、青果、精肉、鮮魚の生鮮3品をフルラインで導入するという。

 「食」にこだわった無印良品。果たして、それは一体どのような店舗になるのだろうか。

◆日本最大の無印良品が大阪・堺に! 目玉は「生鮮品売場」

 日本最大の無印良品が開業するのは、大阪府堺市北区にある「イオンモール堺北花田」の1階。ここにはかつてモールの準核テナントであった大手百貨店があり、主にデパートの食品売場となっていたフロアだ。無印良品は以前からこのモール内に出店していたが、これまでの売場面積は400屬如⊆造11倍の増床となる。

 無印良品が生鮮3品全てを取り扱うのは史上初めてのこと。鮮魚売場には鳥取県の境港などから朝どれ鮮魚を直送、野菜売場には「門真れんこん」などの地野菜を導入するなど、無印良品らしい「こだわりの売場」になるという。店内には食の販売専門員「フードコンシェルジュ」を配置、料理教室なども実施される予定だ。

 店内にはそのほか、一般の無印良品で取り扱うアパレル、生活雑貨、家具などをフルラインナップ。さらにイベントスペース「Open MUJI(オープンムジ)」、カフェ「Café & Meal MUJI(カフェ アンド ミール ムジ)」やフードコートも設けられ、まるで無印良品自体が1つの「ショッピングセンター」であるといっても過言ではない。

 しかし、もともとデパート時代に食品を中心に販売していたフロアといえども「無印良品」と「生鮮食品」はなかなかイメージが結びつくものではない。そこで、まずは都内のとある無印良品へと足を運んでみることにした。

◆「野菜を売る無印」は東京にも

 やってきたのは東京・有楽町駅前。実は生鮮食品売場を導入している無印良品は都内にもある。それがこの「無印良品有楽町店」だ。

 この店舗が生鮮食品の取り扱いを開始したのは2017年7月のこと。取り扱いは野菜・果物など青果類のみであるが、無印良品初、そして堺北花田店の開業までは唯一の生鮮食品取り扱い店舗となっていた。

 青果売場に入ると目立つのが、白木の箱やパレットで作られた陳列棚だ。一見すると簡易陳列のようにも見えるが、それがかえって「無印良品らしさ」を感じさせてくれる。

 販売される野菜や果物は生産者や生産団体から直接仕入れるといういわゆる産直形式で、東京都多摩地区、神奈川県、千葉県、茨城県など近郊地域のものが中心。「地産地消」「減農薬栽培」「有機栽培」など、その安全性をアピールするものも多く、なかには横須賀産の「ロマネスコ」、青梅産の「バターナッツ」や「カーリーケール」などといった珍しい野菜や地野菜も品揃えされている。肝心の価格も普通のスーパーマーケットとそれほど変わらないものが多く、なかには「お値打ち価格」のものまであり、取材時にも多くの客が訪れていた。こうした有機野菜や地野菜の販売は大阪・堺北花田店でも実施される予定だ。

 もう1つ、有楽町店の特徴として挙げられるのが、直営のカフェ「Café & Meal MUJI」においても旬の野菜を使ったメニューが提供されていることだ。このほか、売場には無料の試食コーナーも設けられており、実際に手に取って、そして味わって購入できる野菜も少なくない。「Café & Meal MUJI」は堺北花田店にも導入される予定で、生鮮3品をフルラインナップする同店では更に多彩なカフェメニューが提供されることになるかも知れない。

 実は、この無印良品有楽町店が出店する有楽町インフォスとその周辺地域は近く再開発が行われる予定で、同店は数年以内に閉店する。そのため、同店の青果売場はそうした再開発までの実験店的要素が強いものだと思われていた。

 しかし、新設から1年経たずに大阪・堺に本格的な生鮮食品売場を導入した店舗を出店するということは、こうした「食」にこだわった新業態店舗が全国へと拡大する可能性も高い。

◆「食強化」の無印、店舗立地も変化

 無印良品はもともと西武セゾングループ傘下(当時)のスーパーマーケット「西友」のプライベートブランドとして誕生したもので、同社の子会社として「良品計画」が設立されたのは1989年のことだ。その後は西武セゾングループの勢いに乗るかたちで店舗を全国、そして世界へと拡大。セゾングループの崩壊後は一時赤字転落したものの、事業の見直しなどを進め、近年は順調に店舗数を伸ばしている。

 「アパレル」や「生活雑貨」のイメージが強い無印良品であるが、以前より菓子やレトルト食品も根強い人気があり、とくに「アパレル不況」の近年は、店舗改装時にそうした「食」の売場が拡大される店舗や、直営のカフェ「Café & Meal MUJI」を導入する店舗も増えてきた。

 そうした「食強化」の姿勢は、店舗立地の変化にも現れている。

 これまで百貨店やファッションビルの無印良品といえばアパレルや雑貨を販売する高層階への出店が多かったが、近年は最初から下層階に出店する例や、店舗の改装に合わせて1階や地階の一等地へとわざわざ移転する例が少なくないのだ。そうした店舗立地ともなれば食品売場から無印良品へと回遊する客も多くなり、自然に「食」を強化した売場づくりへと変わることとなる。

 また、駅ナカなどを中心に、食品と化粧品・小型雑貨などに特化した小型店「MUJI.com」業態の店舗も増えており、そうした店舗では電車に乗る前に菓子などを買うサラリーマンやOLの姿を多くみかける。

 このように食強化の動きを強める無印良品であるが、その一方である無印良品の店員は「生鮮品の導入はよほどの大型店ではないと難しい」と話す。生鮮品をフルラインで導入するとなれば、新たに大規模な冷蔵設備などを導入しなければならず、当然、それだけの面積を確保できる店舗は限られてくる。

 とはいえ、生鮮食品は管理が難しく経費もかかるが日常的な来客を大きく増やす働きを持つ分野でもある。

 今回の生鮮3品の取り扱い開始により、無印良品は一般的な総合スーパーで扱う商材のほぼ全てをカバーすることになる。近い将来、無印良品が「デパートやスーパーマーケットのテナント」から「デパートやスーパーマーケットのライバル」となる日が来るかも知れない。

<取材・文/若杉優貴 撮影/佐藤(ともに都市商業研究所)>
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」