「成長力があって居心地も良い中小企業」TOP10

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8位の安田不動産は、ワテラス(写真)や御茶ノ水ソラシティを運営・管理する、不動産会社だ (撮影:梅谷秀司)

2019年卒の大学生の就職活動が本格的にスタートしている。すでに大手企業を中心に、選考に望んでいる就活生も多いことだろう。一方、地方企業や中堅・中小企業の採用活動が本格化するのは、これからだ。


就職四季報シリーズのひとつ『就職四季報 優良・中堅企業版2019年版』は、企業の大きさを限らず、有力な中堅・中小企業や、全国各地の優良企業を網羅して、約5000社の企業情報を掲載している。企業の特色や近況はもちろん、採用窓口をはじめ、エントリーや選考時期についても掲載しているので、ぜひ企業研究の参考にしてほしい。

近年上場したばかりのベンチャー企業、地方の有力企業といった、採用情報を手に入れにくい企業も多数調査したので、Uターン、Iターンを志望する就活生の情報収集にも、ぴったりの一冊だ。

中小でも給与が高く働きやすい会社は多い

1月26日に配信した「『中小企業でも年収が高い会社』ランキング」でも触れたとおり、一般的に大企業と比べて待遇面で劣るイメージがある中堅・中小企業だが、実際には、大手企業とそん色のない給与や働きやすさのある企業が多数存在する。

今回は、一般的に中小企業の定義とされている従業員300人以下の中小規模の会社に絞ったうえで、企業の成長性と働きやすさに着目し、「成長力があって居心地も良い中小企業」をランキング形式でまとめた。

「成長力」を図る指標として、3期連続の黒字決算で、毎年売上高を増やしている(2期連続増収)こととし、また「居心地の良さ」(働きやすさ)を図る指標として、新卒で入社した社員の3年後離職率が20%以下で、有給休暇の消化平均が年間10日以上であることを条件としている。

対象は『就職四季報 優良・中堅企業版2019年版』掲載の4761社のうち、「3年後離職率」「有休消化平均日数」に有効回答があり、従業員数が300人以下だった2485社だ。グループ企業の従業員数を含めると1000人以上になる企業、過去3期中に決算期変更を行った会社は除外している。

その結果、83社が「成長力があって居心地も良い中小企業」に該当した。ランキングでは3年間の増収率(売上高2期前比)の高い順に並べているが、すべてがそうした企業だといえるだろう。

1位は石材メーカーのフジ大理石

1位は岐阜県の大理石、御影石を中心とした石材の加工、販売施工を手がけるフジ大理石(岐阜県、売上高2期前比245.2%)だ。株式上場しておらず、従業員54人の石材メーカーだが、世界各地の採掘場から高品質な原石を調達しており、高度な設計・加工技術を誇る。国内主要ゼネコンを取引先としており、東京国立博物館、法隆寺宝物館をはじめ、名古屋市本庁舎や豊田市美術館、梅田阪急ビルにも施工実績を持っている。まさにニッチな優良中小企業の代表格といえるだろう。

2位はジャパンマテリアル(三重県、売上高2期前比188.2%)だった。半導体・液晶工場向けの特殊ガス関連事業を中心に手がけており、2011年の上場以来、連続増益を達成している急成長企業。新卒40〜50人を採用予定としており、直近1年間の中途採用も150人と、半導体需要の活況に伴って規模拡大を進めているようだ。

そのほか、東京・神田淡路町の新ランドマークである「ワテラス」を手がけた8位の安田不動産(東京都、売上高2期前比152%)、平均年収2139万円で前述の平均年収ランキングトップに輝いた12位のGCA(東京都、同142.5%)、オンラインでデリバリー注文できる「出前館」を運営する15位の夢の街創造委員会(東京都、同135%)などがランクインした。

また、国内に3社しか存在しない短資会社のうち、2社が20位台にランクインしている(22位上田八木短資、27位東京短資)ことも、注目ポイントとして挙げられるだろう。

ほかでは類を見ないほど、さまざまな業態、地域の企業がランクインしているので、ぜひ詳細にご覧いただき、企業研究に役立ててほしい。