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アマゾン ウェブ サービス ジャパンは、2月13日に開設した大阪ローカルリージョンや、AWSが提供する新たなサービスなど、AWSのクラウドコンピューティングインフラストラクチャに関する説明を行った。

そのなかで、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 技術統括本部長兼技術統括責任者の岡嵜禎氏は、EC2基盤の可用性を、99.95%から99.99%に引き上げたことにも触れた。SLAの基準を引き上げたのは4年ぶりのことになるという。

現在、AWSでは、全世界で18リージョンを設置するとともに、新たに大阪にローカルリージョンを設置している。リージョンは複数のアベイラビリティゾーン(AZ)で構成されており、さらに、AZは複数のデータセンターで構成されているため、高い耐障害性を実現できるのが特徴だ。また、AZ内、AZ間、リージョン間では、高速および冗長化したネットワークで構成。グローバルネットワーク間は専用線で接続しているため、安定した高速通信が実現でるきるという。

東京リージョンでは、2018年1月に、4つめのAZを追加。さらに、5番目のエッジロケーション(Amazon Cloud Front)を開設したことで、100を超える接続ポイントがあるという。「動画などの重たいコンテンツを流したいといった際にも、高速に接続できるといったメリットがある」とした。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 技術統括本部長兼技術統括責任者の岡嵜禎氏

2月13日に新たに追加した大阪ローカルリージョンは、世界的に見ても唯一の「ローカルリージョン」に位置づけられるもので、「日本のユーザーの要望にあわせて設置したもの」(アマゾン ウェブ サービス ジャパン 技術統括本部長兼技術統括責任者の岡嵜禎氏)だという。

「東京のAZは、自然災害やデータセンター単位の障害などのビジネスに影響を与えるリスクを最小化するように、地理的にも影響を受けない形で設置しているが、金融、通信、公共などの業種においては、日本国内にデータを置いておきたいという要望とともに、日本の異なる地域にデータを置きたいという要望がある。大阪ローカルリージョンはこうした要望にあわせて設置したものである。基本的には、東京のAZでの利用を薦め、大阪ローカルリージョンの利用には事前の申し込みと審査が必要になる。提供するサービスも限定している」とした。

また、「大阪という場所を選定したのは、災害時や緊急時などにおける参集性やメインテナンス性、ネットワークの太さなどを考慮したもので、離島や過疎地などに設置した場合には、こうした点で課題がある」(アマゾン ウェブ サービス ジャパンのセキュリティ・アシュアランス本部・梅谷晃宏本部長)などと述べた。

さらに、東京には、エクイニクスに続き、アット東京に、2カ所目となるDXロケーションを設置。「建屋そのものに問題が発生した際にも冗長化できる」(アマゾン ウェブ サービス ジャパンの岡嵜技術統括本部長)とした。

また、DX接続時にオンプレミスネットワークと、AWS VPC間に位置するハブとして利用できるDirect Connect Gateway(DXGW)を発表。ひとつのDXコネクションで、複数リージョンのVPCを接続できるようにした。

そのほか、異なるリージョンのVPCを接続するインターリージョンVPCピアリングにおいて、2月20日からアジアパシフィックのリージョンを含めて14リージョンでの利用を可能としており、「日本国内のユーザーが、グローバル展開する際に、インフラ構築が容易になる」と語った。

さらに、EC2基盤の進化についても説明した。

同社では、ハードウェア障害の影響を最小化するAmazon EC2のSpread Placement Groupを発表。Spread Placement Groupを指定してインスタンスを起動すると、それぞれ別の物理サーバーに配置され、物理サーバーの障害発生時に複数のインスタンスが同時に影響を受ける確率を低減できるという。

また、新たなEC2インスタンスとして、ビッグデータアプリケーションに対応するために、シーケンシャルI/Oに最適化された磁気ストレージを搭載した「H1」、新たなNITOR System Architectureにより、CPUやネットワーク、ストレージ性能を引き出しながら、分散並列処理やビデオエンコーディング、HPCなどの分野に最適化した「C5」、同じくNITOR System Architectureを採用し、最新世代の汎用インスタンスと位置づける「M5」をそれぞれリリースしたことも紹介した。

「これまでのネットワーク処理やストレージ処理は、CPU側で実行していたが、NITOR System Architectureでは、これをハードウェア側にオフロードすることで、CPU処理に使える領域を増やすことができる、新世代のハイパーバイザーになる」とした。

加えて、Amazon EC2 Bare Metalのブレビュー版の提供を開始。「AWSの各種サービスとの連携が可能で、AWSクラウドのメリットを失うことなく、OSが直接下層のハードウェアにアクセスできる。仮想化されていないワークロードや特定のハイパーバイザーを必要とするワークロードなどが利用できる」と述べた。

そのほか、NVIDIA Tesla V100GPUを最大8個搭載し、機械学習や深層学習、金融計算などに最適化したP3インスタンスでは、アジア・パシフィック(東京)でも利用を可能にしたことを紹介。Amazon EC2 スポットインスタンスでは、起動方法を改善して、オンデマンドと同様の操作での起動を可能にしたこと、スポット料金の設定方法の改善により、価格変動が緩やかになったこと、スポットインスタンスの解放時にハイバネーションするように設定ができるといった3つの改善を加えたことを説明した。

さらに、コンテナテクノロジーへの取り組みについても言及した。

Amazon ECSでは、2016年と比較して、年間アクティブユーザー数は450%以上の成長となっていること、数100万のインスタンス上で、数億コンテナが毎週起動していること、2015年のAmazon ECSのリリース以降、50以上の新機能を提供していることに触れ、「これまではメインテナンスやインスタンス管理が必要であったが、AWS Fargateによって、インスタンス管理が不要になり、簡素で、使いやすく、強力なリソース消費モデルを提供できることになる。本番環境での利用が可能になり、アプリの要件にあわせて柔軟なリソース設定が可能になる」などとした。

また、Kubernetesについては、「AWSでKubernetesを利用するユーザーが増えている。CNCFの調査によると、Kubernetesの利用者のうち、63%がAWSを利用している。2018年中には、Amazon EKS(Amazon Elastic Container Service for Kubernetes)を提供することで

、Kubernetesの利用促進を図りたい」と語った。

Amazon EKSでは、エンタープライズ企業が本番のワークロードを実行するためのプラットフォームであること、ネイティブで最新のKubernetesを体験できること、EKSユーザーが他のAWSサービスを利用する際にシームレスな連携を実現すること、そして、EKSの開発チームは、Kubernetesのプロジェクトに積極的に貢献していくことをコミットするとも述べた。

最後にセキュリティに対する取り組みについて説明し、「過去12年間に渡り、変わらずに、常に最優先事項に位置づけているのがセキュリティ。AWSでは、セキュリティやコンプライアンス上の統制を実装し、第三者監査によるセキュリティやコンプライアンスについての検証を実施し、自然災害や人為的なリスクからAWSのシステムを保護するため、継続したイノベーションに取り組んでいる」と述べた。

その実績として、米CIAが、2023年までにクラウド移行を完了させ、そのなかで、AWSを最重要パートナーと位置づけたことに触れた。

また、AWS WAFで、パートナーが提供する管理ルールを利用できるようにしたことを発表。「AWSが提供する自分たちのルールだけでなく、この分野で先行するセキュリティベンダーのルールを活用することができるようになる」とした。

さらに、Amazon Guard Dutyにより、継続したセキュリティ監視と、脅威の検知が自動で可能になることを示した。これは公開データやAWS上で生成されるデータなどをもとに機械学習を行い、見落としがちな傾向やパターン、異常を追跡し、何億ものイベントを解析。どんなセキュリティリスクがあるのかを認識し、これを確認するだけでなく、自動で対応することができるという。すべてのAWSリージョンで利用でき、数クリックだけで利用を開始でき、すぐにイベントが表示されるという。

一方、AWSの最新の実績についても説明。全世界における2017年第4四半期の売上高は前年同期比44.6%増の51億1300万ドルに達したほか、日本における顧客数は10万件を突破。「基幹システムでクラウドを本格的に利用するユーザーが増加しており、住信SBIネット銀行でも基幹システムでAWSを採用している。また、ソニー復活の象徴とされるaiboでも、AWSを採用し、デジタライゼーションでも活用する動きが加速している。新たなビジネスをクラウドで実行するといった例が増加している」とし、「クラウドを活用することで、サーバーの構築やインフラの管理か解放され、ビジネスにフォーカスできること、ソニーの事例のようにイノベーションを加速できること、セキュリティ強化やコンプライアンス要件への対応という点で、クラウドの方が最適であると判断する人が増加していることがあげられる」などと述べた。

さらに、AWSが提供するコアサービスが100を超えていること、運用コストの引き下げにより、過去12年間に渡る値下げが64回に達し、顧客へのメリットを還元していることも強調した。