一流と二流の差はちょっとしたことです(写真:mediaphotos)

3月も後半に差し掛かり、多くの会社が年度の節目を迎えるこの時期、人事異動や組織改編といった、新たな環境でのスタートを目前に控えている人も多いと思います。
環境が新しく変わるということは、仕事の内容や進め方が変わるということ。ただ、それ以上に確実に訪れる大きな変化が、「人間関係」です。新しい上司、新しい部下、新しい同僚、新しい取引先……どんな仕事も「人対人」の付き合いなくして成り立たない以上、新たな環境で新たな人間関係を築いていくことは避けては通れない道です。
『全米No.1バンカーが教える最強の気くばり』の著者、酒井レオ氏が「どんな相手にも気持ちよく過ごしてもらえる接し方」の重要性を説きます。

相手を気持ちよくさせられる人ほどチャンスに恵まれる

一流の人たちのそばにいると、概して言えるのは、雰囲気が穏やかで、周りにいる人たちがとても気持ちよく過ごせることです。「金持ち、けんかせず」とよくいわれますが、一流になればなるほど、人を不愉快にさせる場面が少ないように感じます。

それは、彼らが見えないところでさりげない「気くばり」をしているからにほかならないでしょう。気持ちよく過ごせる場所には、人も情報も自然と集まってきます。チャンスに恵まれるというわけです。

これが二流、三流の人になると、あからさまに自慢したり、強がってみせたりして、人を不愉快な気持ちにさせます。自分より立場が下の人をどなりつけたり、ちょっとしたことでトラブルを起こしたりするのも同様です。

要するに、相手に対する配慮が行き届かず、周りが不快に思っていても気がつかない。一流の人と、二流以下の人のいちばん大きな違いはそこあります。

仕事の場面でそうした違いが特に出やすいのが、「人のほめ方」です。

一流の人はきちんと相手の名前を言って、「○○さん、あなたがあそこでお客さんにこうしてあげたことがとてもよかったよ」と具体的に指摘します。しかも、その場ですぐに、です。

ほめられたほうは、まだ記憶も実感も新鮮なうちに言われるので、喜びも大きく、「またがんばろう!」と前向きな気持ちになります。

しかし二流の人は「よかったよ(Good job!)」などと、アバウトなほめ方しかしません。それも、しばらく時間がたってから思い出したように、です。そもそも、相手の名前を言うことがほとんどなく、ひどい場合には、名前を知らなかったり、忘れていたりするケースもあります。

「名前を呼ぶ」ことの効果を軽視しないほうがいい

「初対面の人でも一瞬で打ち解ける3ステップ」(3月5日配信)でも触れたように、相手を名前で呼ぶか、呼ばないかには、じつは決定的な違いがあります。名前をきちんと呼んでもらえることによって、呼ばれた側は「自分にちゃんと向き合ってくれているんだな。うれしい」という気持ちになります。それが信頼感につながるのです。

「よかったよ」の前に「○○さん、よかったよ」と名前を添えるだけ。たったそれだけで、相手の信頼感、やる気、成長速度はまったく違ってくるのです。

まずは、相手の目をしっかり見て、名前を呼び、具体的にほめることです。できれば、周りにいるほかの人にも聞こえるようにほめるともっといいでしょう。特に、相手が自分から意識してがんばっている点に気づいてほめてあげると、やる気がぐんと伸びるのがわかります。

「マイク、いつも朝、店の前を掃除してくれているね。ありがとう。おかげで毎日とても気分よくすごせるよ」

一流の人はこうしたほめ方で上手に人を伸ばすので、人から信頼され、感謝されて、ますますチャンスが回ってくるという好循環が生まれます。

話すのが苦手でもできるコミュニケーション上達の秘策

私は小さいときから、「目」を使って、周囲をよく観察する人間でした。シャイで人と目が合わせられないくせに、人に気づかれないようにしっかりと見ることは欠かさなかったのです。

私が特に注意深く見ていたのが、コミュニケーションの上手な人です。

たとえば、どこかお店に入るなり「やあ、デイビッド!」みたいな感じで、誰とでもフランクに仲良くなれる人がいると、「この人はなんでこんなに気さくに話しかけられるんだろう」と、離れた場所からでも、目をこらして観察していました。

言葉を話す前の子どもは、大人の会話を耳で聞いて言葉を頭の中に蓄えるといいます。蓄えた言葉が満杯になったとき、あふれだすように言葉を話し始めるそうです。


私の場合も、人がスムーズにコミュニケーションするやり方を子どものころから目でずっと見てきて、そのシーンを蓄えてきたのがよかったのかもしれません。

おかげで、営業の仕事を始めたときにも「そういえば、こういうときはこうすればいいのだ」というノウハウとしてよみがえり、実践に生かせる場面が幾度となくありました。

人一倍シャイだったからこそ、上手なコミュニケーションをいつも目で追い、インプットしていたことが役立ったというわけです。

コミュニケーションに自信をもてない人が、いきなり学んだことを実践するのはハードルが高いかもしれませんが、上手な人のふるまいを見て観察するだけなら今日からでもできるでしょう。

“目を肥やす”という言い方のとおり、まず目でモデルとなる人のやり方を見て、シーンをインプットしておくことが大事です。