クルマの色はさまざまですが、白と黒は世界共通で人気です。しかし、特に黒は「汚れや傷が目立つ」「手入れが大変」といった声も。黒いクルマにはどのような魅力があるのでしょうか、洗車の専門家に聞きました。

黒は最も傷が目立つ色

 クルマにはさまざまな車体色が設定されていますが、人気があるのはどのような色でしょうか。


光沢感のある黒いクルマ。写真はイメージ(画像:Bhakpong Rattanasaroj/123RF)。

 アメリカの塗料メーカー、アクサルタコーティングシステムズが1953(昭和28)年から毎年作成している「自動車人気色調査報告書」2017年版によると、日本で最も人気の車体色は白(35%)、次いで黒(22%)。世界全体でもこの傾向は共通で、1位が白(39%)、次いで黒(16%)だそうです。ある中古車量販店チェーンのオークション担当も以前の取材時、日本の中古車市場では「パールホワイト」と「パールブラック」の2色が人気で、それ以外の色は価格が下がる傾向だと話していました。

 一方で、特に黒いクルマは傷や汚れが目立ち、手入れが大変ともいわれます。

 たとえばホンダウェブサイト内「クルマ購入体験記 クルマ家族会議」で、「フィット」の車体色選びに迷っている人への一般読者からの投稿を見てみると、「プレミアムホワイト・パールをオススメします。私は黒のフィットに乗っていましたが、汚れや傷が目立つし、とにかく手入れが大変でした。今はインサイトのプレミアムホワイト・パールに乗っていますが、意外に傷や汚れが目立ちませんよ」「以前ブラックに乗ってましたが、確かにホコリ等汚れ目立ちますがせっせと洗車し、愛着が倍増しました」などといった書き込みが見られます。

 実際にはどうなのでしょうか。洗車に関する技能や知識などについての資格「洗車ソムリエ」の検定試験を行う日本洗車ソムリエ協会に話を聞きました。

――白いクルマと黒いクルマは、手入れの面でどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?

 白は傷が見えにくいですが、黒は最も傷が目立つ色です。ただそれだけであって、手入れの条件などは変わりません。

――黒は手入れが大変ともいわれますが、なぜ人気なのでしょうか?

 黒いクルマに乗る人は、こまめに洗車して、きれいにしておくという意識のある人が多いかもしれません。手がかかるぶん、それに勝るかっこよさ、白では出せない深みや高級感があるのが魅力だと思います。要人の公用車などが黒ばかりなのは、そうした点ではないでしょうか。

黒いクルマ、どう手入れすれば?

――黒いクルマはどのように洗えばよいのでしょうか。

 まず水洗いでボディの砂を落とすことが大切です。たとえば、いきなり洗車機に入るとボディーを傷める原因になります。この砂が傷の原因になるので、定期的に洗車し、それを極力付着させないことが重要になってきます。砂がついているところに雨が降れば、砂団子ができるように固まってシミになります。こうなると厄介で、除去しようとしてごしごし拭くので、余計に線傷ができ、それが乱反射するため、光沢感がなくなってくるのです。

――ほかに、黒い車の手入れで気を付けるべきポイントはありますでしょうか?

 黒い塗料の上にクリア塗料が載っているパール塗装やメタリック塗装の場合は、いくぶん傷が見えづらいのですが、このようなコーティングがない単色のソリッド塗装では余計傷が目立ちます。ボディーコーティングをしておけば、砂も乗りにくく、水とともに流れやすくなります。

 また、駐車環境によっても大きく変わってきます。砂ぼこりや雨風にあたる環境でボディーにシミができやすいのはもちろんですが、たとえ屋根付きでも、昼間についた砂が夜露に濡れ、固まってシミになることもあります。夜露にあたらない環境に置いたほうがよいでしょう。

※ ※ ※

 黒いクルマは傷が目立ちやすいぶん、ふだんからの手入れが特に重要であるようです。ただ、同じことはもちろん白いクルマでも起きているとのこと。日本洗車ソムリエ協会は、「白いクルマも黒と同じように手をかければ、深みのある光沢を保つことができますよ」と話します。

【図】国や地域ごとの「人気車体色」内訳


「自動車人気色調査報告書」2017年度版より、国や地域ごとの人気車体色。白の1位は全世界共通。2位は、黒のほかシルバーやグレーになるこも(画像:アクサルタコーティングシステムズ。一部加工)。