スルガ銀行(「wikipedia」より)

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 シェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナーは、破産者続出の危機に瀕している。そのため、オーナー向けの融資をほぼ独占してきたスルガ銀行の株価が、不良債権発生の懸念から大きく下落した。

 かぼちゃの馬車のオーナーは、融資を受けて物件を購入し、それを一括して賃貸に出して継続的に家賃収入を得るという「サブリース」方式で運営されてきた。このサブリースというビジネスモデルは、そもそも成功する見込みが少ないと関係者は証言する。

 かぼちゃの馬車は、不動産会社のスマートデイズが運営している。シェアハウスとは、主に若い人が共同で生活する賃貸住宅だ。積極的な広告宣伝戦略を立て、安い初期費用(敷金や礼金)をセールスポイントに入居者を募集する。

 スマートデイズが管理する総部屋数は1万室を超えるといわれている。オーナーが銀行ローンを組んでハウスを保有し、スマートデイズが家賃を保証する仕組み。「8%」という高い投資利回りに釣られてオーナーになった人の多くは一般の会社員で、そのオーナーに融資しているのがスルガ銀行だ。

 スマートデイズは「入居者の就労斡旋もしており、紹介料での収益もあるので、仮に入居率が低くてもオーナーの収入はきちんと確保される」と説明してきたという。しかし、物件の多くは立地などの魅力に欠け、入居率は5割を下回る低水準にとどまっていた。そもそも、就労斡旋がビジネスとして成り立つかどうかも不透明だった。

 窮地に陥ったスマートデイズは、オーナーとの約束を反古にして、ついに今年1月に賃貸料の支払いをストップした。このため、銀行への融資の返済ができずに、破綻に追い込まれるオーナーが続出するかもしれないという事態に発展した。

 かぼちゃの馬車のオーナーへの融資のほとんどを行ってきたスルガ銀行も、ダメージは避けられない。貸し倒れによる不良債権がどのくらい出るのか懸念されている。金融庁の幹部は森信親長官を筆頭に、スルガ銀行を「地方銀行の優等生」と高く評価してきた。だが、高い収益の源泉となってきた個人ローンの伸びは鈍化せざるを得なくなる。すでに株価は安値の更新が続いている。昨年来安値は3月15日の1601円で、昨年来高値の2810円(昨年7月10日)から43%も下落した。

 かぼちゃの馬車の事態をより深刻にさせているのは、「まだ募集を掛けていない物件が多く残っている」(不動産業者)といわれているからだ。また、「4割とされている実際の入居率は、もっと低いはず」(同)との見方が広がっている。スマートデイズの支払い停止によって切羽詰まった複数のオーナーが、新築物件の投げ売りを始めたという情報もある。

 スマートデイズの経営は重大局面を迎えている。オーナーらで構成する「スマートデイズ被害者の会」は、スルガ銀行に対し集団訴訟も辞さない構えだと報じられている。投資を勧誘するセミナー会場にスルガ銀行横浜東口支店が使われていたというオーナーの証言もある。スマートデイズとスルガ銀行は、いわば一心同体だったという主張だ。

 これに対し、ある法曹関係者は「これは詐欺とはいえない。あくまで投資。『口車に乗せられた』と言いたいオーナーの気持ちはわかるが、投資である以上、リスクは常に伴う」と突き放した見方をする。すなわち、スマートデイズとスルガ銀行だけを悪者にはできないとの指摘だ。

 かぼちゃの馬車問題が表面化して以降、複数のアナリストがスルガ銀行の投資判断を引き下げた。さらに「今後、どんな悪材料が出てくるかわからない」(大手証券のアナリスト)と厳しい目を向ける。金融庁が「地銀最強のビジネスモデル」と高く評価してきたスルガ銀行の個人ローン。その闇の部分に光が当たるのはこれからだ。
(文=編集部)