Facebookがニュースフィードでパブリッシャーコンテンツの表示を減らしていることを受けて、ソーシャルメディアを重視するパブリッシャー各社は閲覧数を維持するためにオリジナル動画に力を入れつつある。そんななか、Facebook重視のパブリッシャーであるフック(The Hook)は、コンテンツの7割がオリジナルであると喧伝しており、幸先のいいスタートを切ったといえるだろう。

フックはアンディ・フィドラー氏とゴードン・ベネル氏が2014年に共同設立したパブリッシャーだ。同社はFacebook向けにポップカルチャーやコメディ、映画に関する3分の動画を制作しており、有名人へのインタビューやマッシュアップ、スケッチなどの動画が多い。

同社の最近の代表作はスコットランドなまりについての動画や、葬式に見立てて2017年をからかい混じりに振り返る動画だ。いずれの動画も2万以上のシェア、数千のコメント、数百万の再生数を記録した。

オリジナルへのこだわり



メディア調査会社のチューブラー・ラボ(Tubular Labs)によると、今年1月のフックの動画のオーガニックな再生数は1カ月でおよそ2億となっている。これはチューブラー・ラボのランキングで最上位に位置するユニラッド(Unilad)やLADバイブル(LADbible)といったソーシャルパブリッシャー最大手には、まだ遠く及ばない数字だ。チューブラー・ラボのデータをもとに、フックは昨年12月の1動画あたりの平均エンゲージメント率(Facebookのいいね!やコメント、シェアなどで決まる)を2万7000としている。

オーディエンスは同社の動画の最後に山場を期待しながら見るため再生完了率は高い。Facebookを重視するパブリッシャーのなかには、視聴者になるべくはやく興味を持ってもらうため動画の最初に見せ場をもってくる場合も多い。フックのこの特色はブランドにとってなおさら魅力的だろう。

フィドラー氏は、フックは今後一切ライセンス契約コンテンツには関わらないと宣言しており、実際、ライセンス提供を行っているエージェンシーとの3契約を打ち切ったという。これと対照的なのがユニラッドで、4割がオリジナルコンテンツである一方、残りは集約型やライセンス契約のコンテンツとなっている。

フィドラー氏は「ライセンス契約コンテンツを当社の柱にすることを考えたことはない」としており、「追加コンテンツの配信として、これまでうまくいったこともあるが、もはや当社には不要な存在だ」と語る。

ブランドからの需要も拡大



フックは立ち上げ以降、15の動画シリーズを製作してきた。たとえば「スターウォーズ(Star Wars)」や「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」の登場人物が、WhatsApp(ワッツアップ)でチャットする様子を描いた「グループチャット(Group Chat)」もそのひとつだ。また同社は、FacebookのWatch(ウォッチ)で売り込むための6分間の動画シリーズの製作も予定している。フィドラー氏は、「ソーシャル時代ではなく、デジタル時代に誕生したパブリッシャーはユーザーの交流の仕方に抗おうとしてきたが、意味のないことだ」と指摘する。

フックは成長を続けているが、オリジナルコンテンツに魅力を感じているのはほかのエージェンシーも同じだ。Facebook上のブランデッドコンテンツを拡大するための支出は増加しつつある現状ではなおさらだろう。

フックは昨年、ブランデッドコンテンツの運用を行うフック・ラボ(The Hook Labs)を立ち上げた。フック・ラボはクリエイティブや製作、インフルエンサーマーケティングや配信を担っており、立ち上げ以降、ソニー・ピクチャーズ(Sony Pictures)、Apple Music、ライオンズゲート(Lionsgate)、セガ(SEGA)、グルーポン(Groupon) 、モバイルネットワークのギフガフ(Giffgaff)といった100のブランドから仕事を請け負ってきた。もとをたどればゲームやエンターテイメントを出発点とする同社だが、いまやその範疇を超えて成長を続けている。

「質の重要性が増している」



フックによると、ブランデッドコンテンツの最低価格は2万ポンド(約300万円)となっており、クライアントに対して同社はFacebook上で最低100万の閲覧数を保証している。これらブランデッドコンテンツのキャンペーンの95%は、フックによるコンテンツディストリビューションが行われている。

同社は飲食のコンテンツでも拡大をつづけており、イギリスの菓子であるパルマバイオレット風味のジンや菓子メーカーのキャドバリー(Cadbury)のキャラメルチョコレートといった新製品のマッシュアップ動画を配信し、オーディエンスからのコメントを集めている。

フィドラー氏は「いままではシステムをいかに上手く操れるかが重要だったが、Facebookが最近行なった変更によって、質の重要性が増している」と分析しており、「フックは長期的な視野で動いている。Facebookがパブリッシャーに求めているのは、質の高いコンテンツだ。ニュースフィードをゴミで埋め尽くすことではない」と語った。

Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)
Image courtesy of The Hook