私たちは日頃、頭の中で何万回という思考を行なっています。そのうちの多くは、明日のことだったり、昨日のことだったりします。明日の仕事どうしようとか、さっきあんなこと言ったけど大丈夫かな、とか。「今起きていること」ではないこと、いわば今考えても仕方のない未来のことや過去のことがぐるぐる頭をめぐっているのです。

その思考を寝るときまでつづけてしまうと当然、ストレスになって睡眠を妨げます。翌朝スッキリ起きられず、疲れが残る。すると日中のパフォーマンスが落ち、ストレスがたまり、ますます眠れないという負のスパイラルに陥ってしまいます。

心配事も考え事も強制的に止める方法

心配事や強いストレスを抱えている場合、寝る前に、その思考を強制的にストップさせることが有効です。特に女性の場合、心配事や過ぎたこと、後悔の念などマイナスの思考を引きずりやすい傾向があります。20代、30代の女性にも言えることです。ですから、強制的にストップさせる必要があるのです。

心配事をストップするのにもっとも有効な方法として、マインドフルネス瞑想をおすすめします。マインドフルネス瞑想とは「今、ここだけ」に集中する瞑想方法です。

やり方は一般的な瞑想法と同じです。静かな部屋に座って目を閉じます。呼吸は腹式で行います。静かにゆっくり息を吸い、同じくゆっくり吐き出します。「今、ここだけ」に集中するので、自分の呼吸に集中します。私は寝る前に10分、行なっています。はじめは5分でもいいと思います。

マインドフルネス瞑想とラベリングの術

はじめのうちは目をつぶっていても、いろいろと考えが浮かんできます。それはやはり明日のことだったり、今日もう終わったことだったりします。そのとき有効なのは「ラベリング」です。

たとえば、「明日の仕事、どうしよう?」という考えがふと浮かびます。それに「雑念」というラベルを貼って、貼ったら受け流して、また自分の呼吸に集中します。外でクルマの走る音がするな、と思ったら、それは音に気が行ってしまっている証拠なので、「音」というラベルを貼って受け流す。ちょっと膝がかゆいと思ったら、「かゆみ」というラベルを貼って受け流す。このようにラベルを貼って受け流したら、自分の呼吸に戻ってくる。これが「ラベリング」です。

何も考えないというのは、かなり難しいことです。何も考えないようにしようと思うと、「考えない」ということを考えてしまいます。ですから、無理に考えないようにするのではなく、考えが浮かんでしまったらラベリングして受け流すのです。

こうして、自分の意識が外に向いてしまったことを意識することも大事です。意識して、戻す。これを繰り返すことで呼吸に集中するトレーニングになります。「今、ここだけ」に集中することで、ネガティブ思考のスパイラルをシャットアウトできるようになります。

マインドフルネスの考え方が身についてくると、日中もラクになってきます。自分で意識してストレスをコントロールできるようになるからです。今、心配しても仕方がないことを心配しない。雑念をラベリングして受け止め、受け流すことで、ストレスもコントロールできるようになるのです。

日中のストレスが減ると、夜は眠りやすくなります。よく眠れれば、日中も元気に過ごせますし、パフォーマンスが上がるでしょう。ストレスが減って、ますます眠りやすくなる、という好循環が生まれます。

心配事で夜眠れない、その悩みは深刻でつらいものです。心配事を今すぐなくす、というわけにもいかないでしょう。ですから、心配事を強制的にシャットダウンすることが必要なのです。ぜひ、マインドフルネス瞑想を試してみてくださいね。

今ここだけに集中マインドフルネス。雑念が浮かんできたら「ラベリング」して受け流す。



■賢人のまとめ
心配事がストレスになって眠れない。そんな場合は「心配事」を強制的にストップさせる必要があります。有効なのは「今、ここだけ」に集中するマインドフルネス瞑想です。これによって明日のことや過ぎたこと、心配事をストップさせることができます。寝る前に10分、スリーピングセレモニーとして取り入れてみてください。

■プロフィール

睡眠の賢人 友野なお

睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。
科学でわかるねむりの環境・空間ラボ主宰。著書に『やすみかたの教科書』(主婦の友社)など。