上位企業を受けるメリットとは(写真:kokouu / iStock)

3月1日の就職情報解禁日に伴い、2019卒生の就活もいよいよ新しいステージの幕開けです。
昨年までと様変わりしている就活環境の中、本選考に応募する企業のエントリーが開始されました。同時に、大規模な合同会社説明会も各地で開催されています。
1000社を超える企業への採用活動支援、1部上場企業の採用責任者、1000人を超える学生への就活支援の実績を基にした『新卒採用基準――面接官はここを見ている』の著者・廣瀬泰幸氏が、「エントリーする企業の選び方」について解説します。

なぜ下位企業ばかりにエントリーするのか

日々就活生と接していて、1つ気になることがあります。

それは会社を選ぶ際、なぜか「業界上位企業」を避け、下位の企業にばかりエントリーする学生が思いの外多いことです。

「上位企業には魅力を感じない」などの理由もあるのだと思いますが、どうも「受かる自信がなく、落ちたら傷つくから」という学生も少なくないのではと感じています。

そんなとき私は、「かならず業界上位企業も受けてみよう」とすすめています。なぜなら業界上位企業の採用試験を受けることには、合否以上の「5つのメリット」があるからです。

今回は、「なぜ業界上位企業を受けるべきなのか」について、解説してみたいと思います。

業界上位企業を受けてみることの最大のメリットは、業界上位企業について知ると業界全体がよくわかることです。

業界に詳しくなるには「上位企業」がいちばん

1.業界の方向性がわかる

就職先企業を選定する際にまず大切なのは、業界を選定することです。なぜなら同一業界は、マーケット(お客様)も仕事内容も、おおむね同じことが多いからです。

業界をリードしているのが業界上位企業です。業界上位企業は、常に社会や業界の先行きをウォッチし、自社の新戦略や新しい商品・サービスを考えています。

そのため、業界上位企業の会社説明会に参加すると、今後の業界の展望を聞けることが多いものです。また、新たに生み出されようとしている商品やサービスに対する取り組みについての情報を入手できることも少なくありません。その情報は、自分が就職先の優先順位を決めるうえでとても役立ちます

こうした情報はまた、大きなマーケットに対してアプローチしている企業より、セグメントされたニッチなマーケットで事業を展開している企業に入社したいと考えている学生にとっても、有益な情報となります。なぜなら「ニッチマーケット」とは、そもそも業界をリードしている企業と比べて小さいマーケットだからです。

こうした理由から、業界上位企業への説明会参加は、マーケットや業界の方向性を知るうえで、非常に重要なのです。

2.同一マーケットで仕事ができる人のレベルがわかる

一般的に業界上位企業ほど、熾烈な競争に晒されています。また、同一業界を志望する多くの人から選び抜かれた精鋭が働いているため、仕事ができる人が多いものです。そのため、説明会に参加すれば、その業界で働くうえで必要な能力の水準を体感することができます。

業界上位企業で働く人の能力を体感することで「自分が目指すべき姿」が明確になります。その業界上位企業に入れなくてもいいのです。その業界の「トップ人材」を知っていることはその後の会社選びの参考になりますし、社会人になった後の糧にもなります。

3.金銭的コストはゼロ

業界上位企業ほど、当然ながら入社難易度は高いものです。そのため、中には「無駄足になる」と敬遠する学生もいます。

しかし、企業への応募は大学受験と違って「無料」です。つまり、説明会に参加したり受験したりしても、交通費(人により宿泊費)以外の費用を心配することはありません。また、たとえ内定がとれなかったとしても、失うものは自分のプライド以外には見当たりません

逆に、落ちたことから得られるものは多いはずです。自分の至らなかった点を顧みて、次の選考の糧にしてしまいましょう。

就活が自らの成長に繋がる

4.入社を決めた企業で働くモチベーションに繋がる

私は、「業界上位企業へ応募すること」と「入社後のモチベーション」には、深い繋がりがあると考えています。

業界上位企業に内定すれば、多くの人の中から選ばれたという想いが、入社後に遭遇するであろうさまざまな難題や困難を乗り越えるためのモチベーションに繋がります。

一方、業界上位企業の選考に落ちた学生でも、自分を受け入れてくれた企業に対する感謝の気持ちが生まれたり、その会社に「縁」があることを強く認識できるものです。こうした想いもまた、入社後の大切なモチベーションに繋がります。

こうした理由から、業界上位企業への応募はどんな人にとっても意味があることなのです。

5.就活する中でレベルが向上する

今から本格的に就活を開始する学生にとって、最終的な入社先企業を決めるまでには、およそ100日間の時間があります。この期間は、物理的にはどんな学生にとっても同じ長さですが、人によってその密度が異なります

大学受験では、最後の3カ月にラストスパートをかけたことによって、思ってもみなかった大学に合格できたという経験を持つ人も少なくないのではないでしょうか。

企業への応募も同じです。密度の濃い就活をする学生は、この期間に大きく成長するのです。実際に私が支援している学生のうち、およそ7割は想定どおりの企業に内定していますが、3割の学生は、当初は想定していなかった「上位企業」に内定しています。

就活はご縁があるかないか、ある意味で「水物」の部分がありますので、「たまたま」受かったのかもしれません。しかし私は、上位企業から逃げないで熱心に取り組んだその過程で、学生が成長したのだと思っています。

「上位企業に入ろう」ではない

就職先を選定する際に何を重視するかは、あくまでも「個人の価値観」によります。


そのため、「業界上位企業に応募しよう!」という話には、違和感や反発を覚える方もいるかもしれません。

しかし、私はべつに「業界上位企業に入ろう!」と言っているわけではありません。上位企業の内定を得た後、自分の価値観に従ってより下位の会社に入るのは、その人の自由です。私が支援をしている学生の中にも、実際にそういった選択をした人もいます。

しかし、上位企業を受けることには、「学習の機会」「成長の機会」が溢れています。それを、「落ちたら傷つくから」といった理由で逃してしまうのは、率直に言って「もったいない」ことです。

落ちたところで、失うものなど何もありません。大きな気持ちで、ぜひチャレンジしてみてください。