東京エレクトロンの生産現場(同社提供)

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 米SEMI(カリフォルニア州)は、半導体ウエハーに回路を形成する前工程工場への設備投資額が、グローバルにおいて初めて4年連続で成長する調査結果を公表した。同工場の半導体製造装置への投資額は2019年に前年比5%増の約630億ドル(約6兆7000億円)になり、16年から増加する見込み。18、19年の投資額は、半導体産業の育成を進める中国がけん引すると予測している。

 製品分野別では、データセンター(DC)やパソコンに使われる3次元(3D)NAND型フラッシュメモリーが投資をリードする。18年は同3%増の160億ドル、19年も同3%増の170億ドルに達する見込み。DRAMは18年に同26%増の140億ドル、19年は同14%減の120億ドルとなると予測した。

 また半導体受託製造(ファウンドリー)会社は生産能力の拡大などに向けて、18年は同2%増の170億ドル、19年は同26%増の220億ドルを投資する見込み。

 今回の調査は、世界の半導体デバイスメーカーが公表した投資額をSEMIが収集・分析して算出した。

活況は中小企業にも
 ササキ(山梨県韮崎市、佐々木啓二社長)は、宮城県の既存工場近くに建設中だった新工場(大和町)を稼働した。工場棟の延べ床面積は6600平方メートルと既存工場の4倍規模になる。半導体製造装置向け多品種少量のワイヤハーネス(組み電線)の需要増に対応する狙い。総投資額は15億円前後。これにより、2018年3月期の売上高見込みの27億円を、21年に40億円に伸ばす計画。

 既存工場からの全面移転となる新工場は、平屋建てで敷地面積は約1万5000平方メートル。工場内作業がワイヤハーネスの組み立て主体になるため、材料の搬入から搬出までの動線を重視した吹き抜け構造を採用した。

 加工設備は既存工場から移転するほか、ケーブル加工用などの半自動機を約5000万円かけて新規導入した。延べ床面積300平方メートルのクラス1万のクリーンブースも備える。「居住性を重視し、カフェテリア風の食堂やトイレ、ロッカー室などもこだわった作り」(佐々木社長)にしている。

 新たに6人の従業員を新規採用し、総人員100人で新工場をスタート。2―3年以内に収容能力的に最大と見られる140人規模にする考え。

 現在は山梨県の本社工場でも行っている半導体装置向けワイヤハーネスの生産を宮城工場に集約していく。一方、本社工場では空いたスペースを利用し、R&D設備の充実とともに、2輪車、自動車、航空機向けなど新規分野への取り組みを強める考えだ。

 佐々木社長は「両工場の情報システムも一元化し、受注や出荷状況なども会計数字と連動してリアルタイムに見られる。基本情報には全社員がアクセス可能」としており、2工場の一体運営による生産効率向上を狙う。

 光洋金属防蝕(山口県下松市、清見原和則社長)は、九州・山口地域の無電解ニッケルメッキ需要を掘り起こす。現在は関西方面で行われている複雑・大型特殊製品の同メッキ処理を同社が山口県で請け負う。大型槽など複数の装置を導入した。今後は年間1億5000万円程度の受注に対応していく。

 導入した大型メッキ槽は深さ2・5メートル。クリーンルーム内で利用する高さ約2メートルの半導体製造装置用架台の表面処理に使う。

 鉄に無電解メッキを施すことで錆を防ぐ。ステンレス台と比べて価格が10分の1と安価なためニーズはあるが、西日本地域に大型槽がないため処理できる工場がなく、関西に送られているという。すでに40台の受注に成功した。

 一方、複雑形状の鋳物表面に発生する「巣穴」と呼ばれる凹部まで均一にメッキを施す加工プロセスも実現した。熱処理や電解洗浄、揺動装置などの工程を通じてコンプレッサーのシリンダーなどの高品質化に寄与する。

 総投資額は約1500万円で、費用の一部は2016年度「ものづくり補助金」を利用した。清見原社長は「当社にしかない製品、技術でニッチ市場に食い込んでいく」と期待する。同社の17年12月期の売上高は2億5000万円。受注増加によって18年12月期は3億円を見込む。