サンクスツアーについて記者会見で語る浅田真央

 昨年4月に現役引退したバンクーバー五輪フィギュアスケート銀メダリストの浅田真央さんが3月16日、都内で記者会見を行ない、自身がプロデュースするアイスショー「浅田真央サンクスツアー」の開催概要を発表した。

 このアイスショーは「新しい試みだし、新しい挑戦だし、新しい楽しみができたので頑張りたい」と抱負を語る真央さんがスケート人生の集大成として、これまで応援してきてくれた全国のファンに感謝を込めて贈るものだという。

真央さん自身が全国各地を回り、これまで滑ってきたプログラムの中から16曲をメドレーという形で、真央さんや姉の舞さん、そしてこの日正式に引退を発表した無良崇人さんを含めた10人のスケーターでつないでいく従来のショーとは少し趣が異なるスタイルのアイスショーになっているようだ。

「昨年4月に引退発表してから、その年の7、8月に毎年行なってきた『THE ICE』のアイスショーで現役生活を終えるんだと思って滑りました。そのショーが終わった後、『やっぱりスケートっていいな』と、スケートを滑れる喜びをもう一度感じることができました。そのショーの後、たくさんの方からお手紙やお言葉をいただいた中で、『まだ真央の滑りが見たい』や『まだ滑りを見ることができていない』というメッセージがたくさんあって、まだそう言っていただけるんだなと強く感じ入ることができました。

 そして日が経つにつれて、やはり(「THE ICE」で滑った)2カ所だけでは多くの方にお伝えできていないのかなと、改めて思うようになりました。それから2カ月後の10月頃に、もう一度、私が行ったことのない各地に行って、自分の思いを自分の滑りでお伝えできれば、それはすごくいいことだなと思い、このようなサンクスツアーというアイスショーを開催することを決めました。

 3月になり、初公演の開催まであと2カ月しかないですが、絶賛練習中なので、皆さんに楽しんでいただければ嬉しいです」


アイスショーには姉の浅田舞も出演する

 今回のアイスショーは、現役選手やプロスケーターらが出演する通常のショーとは違い、真央さん、舞さん、無良さん以外の7人(女子4人、男子3人)は、昨年秋にホームページで一般公募し、応募者からオーディションで選ばれた無名のスケーターたちだ。この10人のメンバー構成で「チーム真央」を結成。昨冬からリンクで早朝や深夜にアイスショーの振り付けや練習稽古が行なわれており、合宿も敢行しているという。

 この日の会見時に練習風景のビデオが流されたが、その中で真央さんは「本当にスケートを楽しんでやってほしいし、心から楽しんで滑ってほしい」とキャストに語っており、真央さんが演出する今回のショーを自分自身が一番楽しみ、自分の滑りをファンにしっかりプレゼントしたいという熱い思いが伝わってきた。

 今回のショーは、これまでのように大都市だけではなく、5月3、4日の新潟公演からスタートして長野、北海道、山梨、福島、福岡、広島など全国10都市のスケートリンクを回り、最後の広島公演(11月3、4日)まで約半年をかけて行なわれる。

 チケット価格は上限7500円、最低3500円以下と、アリーナ席が1万円以上するこれまでのアイスショーと比べて手ごろな値段設定にしており、「家族連れなど多くの人に見てもらいたい」という。

「初めてすべてのものを作り上げるということをしています。いままで私が出演したショーでは、多くても4回滑る感じでしたが、このサンクスツアーはほとんど出ずっぱりで、見応えたっぷりなアイスショーになっています。ですので、たくさんのいろんな方に観に来てもらいたいですし、そのためにチケットもお求めやすい価格になっているので、ご家族で来ていただけるショーになっていると思います」

 自身がプロデュースするアイスショーということもあり、真央さんが「宣伝部長」となり、チケット代金の手ごろ感をアピールして報道陣を笑わせた。

 現役引退後、これまでできなかった様々なことにチャレンジしてきた真央さん。なかでも大きな挑戦は、ハワイのホノルルで完走したフルマラソンがあった。そして、今回の「浅田真央サンクスツアー」という自身が初プロデュースするアイスショー開催も大きな挑戦となりそうだ。


この日引退を表明した無良崇人(写真右)も記者会見に登壇。このツアーの目標を語った

「このショーを開催すると決めるまでは、やはり不安もありましたが、いま、ショーが少しずつできあがってきて、楽しみな感情が出てきています。また、いままでにない滑りをこのショーでお見せするので、これは本当に新たな挑戦だなと思っています。そして、いままでの選手生活でたくさんの方に応援していただいたので、感謝の思いを込めていますし、それだけではなくて、選手生活の中でのベストを滑って、選手としてのスケート人生の最後のけじめになるんじゃないかなというショーになっています」

 今回のアイスショーを開く目的は、まだショーを見たことがない人にも見てほしいということ、フィギュアスケートの楽しさを感じてもらい、子どもたちに将来の目標や夢を与えられるようにしたいということだという。国民的アイドルの真央さんが27歳で作り上げるアイスショーがどんなショーになるのか、期待したい。

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