合同説明会に向かう就活生。今年の就活で3月1日時点の内定率は9.9%に達した(撮影:今井康一)

3月1日から2週間が過ぎ、各社の会社説明会や合同企業説明会に参加する、スーツ姿の就活生をよく見掛けるようになった。


しかし、就職活動のスピードは、昨年よりも速まっている。リクルートキャリア「就職みらい研究所」によると、3月1日時点の就活生(大学院生除く)の内定率は速報値で9.9%。10人に1人がすでに内定を得ているという数字だ。前年の同時期の調査では6.2%だったので、3ポイント以上上回っていることになる。

中身を見ると、文系が8.4%(前年同期6.3%)、理系が13.3%(同5.8%)、男性12.9%(同7.6%)、女性6.5%(同4.5%)。「理系」「男性」の人材を中心に、解禁前までに、”早めの内定出し”が行われている様子がうかがえる。

これらは今年も売り手市場を背景に、優秀な人材の争奪戦がし烈になっているためだが、3月前までに実施されるインターンシップなどを通じて、採用活動がより早期に進んでいることも後押ししている。

3月1日の内定率は男性12.9%、理系13.3%

学生の活動も早い。マイナビが3月15日に発表した、「2019年卒マイナビ大学生広報活動開始前の活動調査」によると、インターンシップの参加率は78.7%で、前年の65.2%を10ポイント以上上回る。3月1日の合同企業説明会に参加していた学生に聞くと、「3社のインターンシップに参加した」(ある首都圏中堅大の学生)など、3月までにはおおむね3〜4社に参加していた。

また、同じマイナビの調査では昨年の9月以前から学内セミナーへの参加や就職情報サイトの登録など、インターンシップ以外の活動を行っているかを聞いているが、こちらも38.0%と、前年より5.8ポイント増加している。

「みん就フォーラム」などを運営する、楽天メディア事業部ライフイベントメディア事業課の福地茂樹シニアマネージャーは、「3月1日は通過点に過ぎない。学生はすでに後半戦だと考えている」と分析する。昨年の夏から活動をしていることを考えると、すでに終盤といっても過言ではないかもしれない。

さらに、「昨年は企業もゴールデンウィーク前までに内々定を出すところが多かったが、今年は3月終わりから4月くらいにかけて、内定を出すところがだいぶ増えてくるのではないか」(福地シニアマネージャー)と予想する。早く情報収集が終わって志望意欲が高い学生を早めに囲い込もうという動きが見られる。

一方で、3月から就活を始めたり、この時期に企業の存在を知った学生に対しては、「早期の選考とは別の軸で選考が進む」(同)という。企業側は、優秀な学生を取りこぼさないよう、間口を広げる作戦だ。

売り手市場のためか、学生が人気企業に向けて、より多く集まっている印象が強い。合同企業説明会を見ても、誰もが知る人気企業には、就活生が群がる景色が数多く見られた。逆に知名度が低い中小企業などでは、あえて3月中の露出を絞り、人気企業の最初の選考が終わった時期に、採用広報を強化する動きもあるという。

現大学1年生は大きく日程が変わる?

そんな中で企業の関心は早くも、2020年卒(現在の大学2年生)向けの採用に移ってきているという。例年、就職情報サイト各社は2〜3月ごろから、夏のインターンシップに向けた情報ページや説明会などの営業活動を始めている。しかし、「今年は企業側から、夏のインターンシップ向けの説明会などの情報はまだか、という問い合わせが早くもきている」(就職情報業界の関係者)という。インターンシップが有力な採用手法として認知された今、採用担当者としても早めに強化策を講じたいと思っているのだろう。

経団連は3月12日、2020年卒向けの「採用選考に関する指針」を発表。日程については、3月1日が広報活動の解禁日、6月1日が選考活動の解禁日とすることが決定した。4年連続で同じスケジュールになるが、前述の通り、企業の前のめり感は強く、今年以上の早期化・長期化となる可能性が高くなっている。

なお、2021年卒(現在の大学1年生)以降については、榊原定征・経団連会長が「2021年度以降入社対象については、引き続き検討を行い、秋ぐらいまでには1つの方向性を出したい」と発言。東京オリンピックの年で、大規模施設が使えず、合同企業説明会が通常通り行えないなどの事情も含めて、どのような形にするか検討するという。

景気動向にも左右されるが、人手不足、売り手市場はなお残りそう。いずれにしても過熱した採用活動はまだまだ続きそうだ。