Facebookは、ミッドロール広告を挿入できる、Watch(ウォッチ)番組の収益化に苦労している。これからはさらに、ミッドロール広告で利益を出せるWatchの動画番組(自社が資金提供しているもの以外)はどれか、厳しく精査するようになるだろう。

Facebookは2017年8月にWatchをローンチし、 Attnやマッシャブル(Mashable)、リファイナリー29(Refinery29)などのコンテンツパートナーからのオリジナル番組の提供を開始した。Watchには誰でも動画シリーズをアップロードできるようにする計画で、ときが経つにつれて、大多数のWatch動画番組はFacebookが資金を出さなくても成立すると目論んでいた。Facebookは、Watchを優先するなかで、短編より長編の動画に好んで資金を出すようになっていった。

Facebookは現在、Watchセクションに掲載する番組の審査方法を再評価し、ミッドロール広告を収益につなげられるのはどれかを見極めようとしている。これは、Facebookに番組を販売し、独立したWatchページも用意した経験のある、3つのパブリッシャーからの情報だ。これらの情報筋によると、こうなった背景には、クリエイターたちはFacebookにせかされて番組作りをしたが、Facebookは完成したWatch向け番組の多くの全体的な品質に失望した経緯があるという。低品質の番組や限られた視聴者、ブランドセーフティの問題により、Facebookには中途半端な広告需要だけが残った。

「収益化には時間がかかる」



あるパブリッシング系の情報筋はこう語る。「これはFacebookが最初に言っていたことの真逆の行為だ。Watchが登場したとき、(Facebookが言っていたことは)『いくつの番組ページを回せるでしょうか? そしてどれくらいのスピードでそれができるでしょうか? 我々は番組ページを必要としています』だった。我々はミッドロール広告を流せるというのがインセンティブだったし、Facebookはより長い動画を好んだので、配信の増加もあるはずだった」。

Facebookは2017年12月、ミッドロール広告を流すのに動画の長さは最低3分必要、その挿入位置も動画の冒頭から1分以降でなければならないと決めた。情報を提供したパブリッシャーのひとつによると、Facebookはいま、新しいWatch番組ページの作成を控えるよう勧告し、その新しいページと広告収益化の承認は、Facebookのエンターテインメント・パートナーシップ・チームによって厳しく吟味されているという。もうひとつのパブリッシャーは、独立した既存のWatch番組にも収益化のルールが当てはめられるのかとFacebookに問い合わせたところ、「収益化にはまだ時間がかかるだろう」と言われたそうだ。

本件に関してFacebookからのコメントは得られていない。

すでに番組は低俗化



要するに、質のよい広告インベントリー(在庫)とブランドセーフティをめぐる問題のようだ。そして、Facebookはまだ十分な数の人間に視聴されていないし、ミッドロール広告を完成させてもいないというのが現実だ。Facebookはこれまで、新しい審査方式は「コンテンツの質」を保証するための取り組みだとメディアパートナーに向かって説明してきた、と最初の情報筋はいう。

Watch内に誰が番組を出すか、Facebookの管理力を弱めれば弱めるほど、プロが作った番組を提供するプレミアムなテレビ風の環境というWatchのコンセプトに合わない、安っぽい作品が流れるプラットフォームになってしまう可能性は高くなる。

「すでに番組の低俗化を目にしはじめている」と2つ目の情報筋は話す。「実際には番組ではないコンテンツを含む番組ページを作っている企業もいくつかある。そこにあるものは、単に3分続く悪ふざけ動画だ」。

背後にある本当の力学



WatchがFacebookにとっての最優先事項であることには変わりがなく、アルゴリズムとミッドロール広告プログラムの両方で優遇されている。2017年12月、Facebookのフィジー・シモ氏は、広告ブレイクを拡大させるなかで、番組内のミッドロール広告に焦点を絞ることになると表明した。2018年1月にFacebookは、ニュースフィードからメディアコンテンツを締め出し、それ以来、Facebookのアルゴリズムはニュースフィード内にあるWatch動画を優遇している。4つ目の情報筋は、Facebookのメインページを通じてWatch動画のひとつを共有すると、その動画は決まって通常のニュースフィード動画の3倍のリーチを獲得すると話す。

そうは言っても、ほとんどのパブリッシャーにとって、ミッドロール広告は収入源としてはわずかでしかない。あるアドバイヤーによると、Facebookのミッドロール広告のインプレッション単価(CPM)は、2018年3月2日現在でオークションでは20ドル、視聴が完了するまでに3セントのコストがかかるという。

「背後にある本当の力学は、Facebookは絶対に認めようとはしないが、この製品に対する(広告の)需要はそれほどないということだ。だから彼らは、希少価値をもっと作り出さなければならない」と1つ目の情報筋はいう。

悲観的なパブリッシャー



そのための確実な方法のひとつが、どのWatch番組が収益につながりうるかをより厳しく吟味することだ。そして、Facebookが大きな予算を投じた長編動画を作ることに傾倒するにつれて、番組内で提供される広告にもより大きな価値を持たせようとするだろう。

さらに最近では、「ブランドにとって安全だとFacebook自身が考えるもの」に対して高額な広告購入をするよう、Facebookは広告業者に働きかけている。これが前兆となって、広告業者にFacebook自身のWatch広告インベントリーを購入させるようになる可能性もある。

パブリッシャー側はおおむね、ミッドロール広告プログラムが彼らにとって意味のある売上をもたらす可能性について悲観的だ。承認プロセスを経る必要のない、Facebookが制作資金を出したWatch番組でさえ、Facebookが制作費を回収してはじめてメディアパートナーは広告売上を手にできる仕組みになっている。さらに、Facebookのミッドロール広告の売上はわずかなので、Facebookが製品を立て直すという望みは失われつつある。

1つ目の情報筋はいう。「メディアパートナーや広告クライアントがこれを実行できるようにするために彼らが作り出そうとしていたエコシステムは、広告製品のリリースの成功につながると予想されていたが、そうなっていないことは明らかだ」。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)
Tim Peterson contributed reporting.