意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「食品ロス」です。

無意識の習慣が食品ロスを加速させています。

まだ食べられるのに捨てられてしまうという、食品ロスの問題。日本では1年に約621万tの食べ物が廃棄されているといわれています。これは日本人1人当たり、お茶碗1杯(約136g)のご飯を毎日捨てているという計算。世界の恵まれない地域や難民のみなさんへの食料援助量が年間約320万tですから、その倍近くを廃棄しているというのは胸が痛みますね。

食品ロスが生まれる一番の問題は「3分の1ルール」です。これは、食品流通業界の商慣習で、加工食品の製造日から賞味期限までを3等分して、最初の3分の1がお店への納品期限、次の3分の1を店頭での販売期限とするというもの。その期限を過ぎると返品や破棄されます。これには、私たち消費者の責任もあります。店頭で賞味期限を見比べて、古いものから買えばいいのに、つい日付が先のものを手にとってしまいますよね。そうすると、販売期限の切れた売れ残りが出て、廃棄処分になってしまうのです。

農林水産省の統計によると、食品ロスの半分は家庭から出ており、約302万tの食料が廃棄されているそうです。また、そのなかには手付かずの食品が約2割含まれ、うち4分の1は、賞味期限内にもかかわらず捨てられているんです。

残りの半分は製造業や小売店、外食産業から出ています。政府は、売れ残りや、製造・加工・調理の際に生まれた食品廃棄物を、家畜の飼料や熱エネルギーとして再利用する取り組みを推進しています。また「フードバンク」という取り組みもNPO団体を中心に行われています。これは、食べられるけれど、印刷ミスなど規格外で流通にのらない商品、賞味期限が1か月以上ある加工食品などを預かり、児童擁護施設などの福祉施設、ホームレス支援団体の炊き出しなど、食べ物に困っている人のために使うというもの。最近では、「TABETE」という、売れ残りそうな食品を引き取るフードシェアリングサービスも実験的に開始されました。食品ロスは、私たちの意識で減らすことができます。食品を買いすぎないこと、冷蔵庫の中をまめに点検するのも無駄をなくす方法ですね。

堀潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2018年3月21日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)