年金未納で困るのは自分だから、払う払わないは個人の自由」などと考えている方、後々困るのはあなただけではないようです。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、遺された家族が受け取る「遺族基礎年金」について詳しく解説しています。

国民年金から支給される遺族給付は限定的でやや支給条件が厳しい

国民年金からの遺族給付には遺族基礎年金という給付があります。この遺族基礎年金の受給者というのは正直少ないです。大体全国に11万人くらい。逆に遺族厚生年金は500万人程もいるから圧倒的に少ないことが伺えます。

それは、大前提として18歳年度末未満の子がいないと支給されないものだから。支給されても18歳年度末未満の子が居なくなると、年金は消滅します。つまり国民年金からの遺族給付は有期年金なんです。遺族厚生年金は再婚等しなければ基本的には終身。

というわけでその遺族基礎年金について今日は見ていきましょう。

1.昭和60年3月8日生まれの男性(今は33歳)

● 何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)

20歳になる平成17年3月から4年制大学を卒業する平成19年3月までの25ヶ月は学生納付猶予特例免除。この免除期間は普通の免除期間と違って将来の老齢基礎年金額には反映しないが、年金受給資格を得るための10年以上の中には組み込む。

平成19年4月から平成23年6月までの51ヶ月は厚生年金に加入した(国民年金第2号被保険者)。平成23年7月から平成26年6月までの36ヶ月は国民年金第1号被保険者として国民年金保険料を納めた。平成26年7月から平成30年10月までの52ヶ月はフリーターとなり国民年金未納。平成30年10月16日に病死。

死亡当時に生計維持していた遺族は、昭和62年7月18日生まれの妻(夫死亡時は31歳)。平成22年9月12日生まれの子(夫死亡時は8歳)が1人。昭和30年1月28日生まれの夫の母のこの3人。

さて、死亡した夫は死亡時は未納の状態でしたが、年金保険料を支払っていない状態でも20歳以上60歳未満は強制的に国民年金の被保険者である状態。よって、この夫の死亡時は国民年金加入中の死亡となり、支給されるとしたら遺族基礎年金のみ。

で、支給されるかどうかという前に夫の過去の年金保険料納付状況を見ないといけない。障害年金の「初診日」という保険事故と同じように、「死亡日」という保険事故前の夫の年金保険料納付状況を見る。

まず、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月(平成30年8月)までの直近1年間に未納が無いかどうかを見ますが、未納だからダメ。

じゃあ原則の、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までに年金保険料を納めなければならない月がある場合は、その3分の2以上(66.66%以上)が年金保険料納付済みか免除期間じゃないといけない。それを見てみると、20歳到達月の平成17年3月から平成30年8月までの162ヶ月の間に、学生免除期間25ヶ月+厚生年金期間51ヶ月+国民年金保険料納付済み期間36ヶ月=112ヶ月ある。

112ヶ月÷162ヶ月=69.13%≧66.66%だから保険料納付要件を満たす。

次に遺族基礎年金は、死亡時に生計維持していた「18歳年度末未満の子が居る配偶者」、または「18歳年度末未満の子」にしか支給されない。だから、まず夫の母は支給対象から外れる。

生計維持というのは簡単に言うと、死亡当時にその死亡者と同居していた時に、配偶者(この記事なら妻)の前年の年収が850万円未満または前年所得(前年分が確定してないなら前々年分)が655.5万円の両方を満たす場合をいう(一時所得みたいな一時的にドカンと入ってきた収入は除く)。

じゃあ、遺族基礎年金は妻と子に支給されるのかというと、この場合は優先的に妻に支給される。子も受給する権利はあるけれども、配偶者である妻が遺族基礎年金を受給する間は子への遺族基礎年金の支給は停止となる。

さて、遺族年金を平成31年1月に請求した。遺族年金は遅れて請求しても、死亡日の翌月分からの支給。だから、平成30年11月分から遡って支給される(年金の時効の都合上どんなに遅れても最大過去5年分まで)。いくら支給されるのか。

遺族基礎年金は定額です。配偶者と子1人分なので、遺族基礎年金779,300円+子の加算金224,300円=1,003,600円(月額83,633円)。これが、子が18歳年度末を迎える平成41(2029)年3月分まで支給される。2029年4月分からの年金は0円となり遺族基礎年金は消滅する。

ちなみにこの妻がそれまでに再婚等した場合はどうなるのか。例えば、平成35(2023)年7月に再婚するとする(事実婚も含む)。となるとここで妻の遺族基礎年金の権利は消滅し、2023年8月分の遺族基礎年金から消滅する(失権という)。

● 遺族年金の主な失権事由(日本年金機構)

しかし子の遺族基礎年金を貰う権利は無くならない(年金額779,300円のみ)。

母である妻が再婚し、子はその父と養子縁組をした。

※注意

もしこの再婚者である父とは母である妻が事実婚である場合は、正式な法律婚ではない父と養子縁組してしまうと直系姻族以外の者との養子縁組となって子に対する遺族基礎年金はその時点で消滅する(事実上の養子縁組も含む)。再婚と同じく、直系血族又は直系姻族以外の者の養子になると遺族年金は消滅する(失権)。

ただし、子の遺族基礎年金を貰う権利は無くならないが、同居する親がいると遺族基礎年金は停止してしまう。よって、親と同居してる状態だから支給される遺族基礎年金は無い。

※追記

この死亡した夫には国民年金第1号被保険者として国民年金保険料を納めた期間が36ヶ月以上あるから(厚生年金期間とか第三号被保険者期間は除く)、掛け捨て防止のための死亡一時金というのがあるが、遺族基礎年金を貰う遺族がいるから一時金は無し。

なお、一時金を請求できる場合は生計を同じくしている配偶者、子(18歳未満である必要は無い)、父母、孫(18歳未満である必要は無い)、祖父母、兄弟姉妹の順で最優先順位者に支給。

ちなみになぜ国民年金制度には死亡一時金という独自の制度があるかというと、今回紹介したように国民年金からの遺族基礎年金は18歳年度末未満の子が居る場合にしか発生しないから。もし子が居なければ掛け捨てになってしまうのでその防止のため。

あと、厚生年金を支払ってる期間が過去に51ヶ月ありますが、遺族厚生年金はこの事例の場合は出ない。なぜなら厚生年金加入中の死亡等ではない場合は年金保険料納付済み期間+免除期間+カラ期間≧25年が要件となる。それを満たしてないから遺族厚生年金は出ない。

平成29年8月改正により老齢の年金は年金保険料納付済み期間+免除期間+カラ期間≧10年と短縮されましたが、遺族年金の場合は25年以上が原則となるので、最低でも25年以上を満たしておくと遺族にもありがたいかも^^。

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