欧州遠征に参加する26人を発表したハリル。選手の序列を明らかにするような発言はいかがなものか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 マリ、ウクライナと対戦する欧州遠征のメンバー26人が発表されたね。
 
 吉田や香川、清武ら怪我人を除けば、ほぼ予定通りの顔ぶれじゃないかな。本田が復帰を果たしたけど、コーチの手倉森がメキシコに視察に訪れたというニュースを見た時、今回は選ばれると確信していたよ。わざわざ時間と経費をかけてメキシコに行っているんだから、落とすわけがないよ。
 
 それにしても、今回の会見でもハリルはよくしゃべったね。初招集の中島については、攻撃センスを評価する一方、「守備は要求しているレベルには到達していない」とダメ出し。
 
 約9か月ぶりに呼び戻した森重に関しては、「彼がどんな状況かを見極め、励ますためにも呼んだ」らしいけど、その選出理由はどうなんだろうね。“励ます”って、まるでクラブチームみたいだよ。
 
 また左SBについては、長友を「不可欠な選手」と位置付けたうえで、「車屋と宇賀神の戦いが始まる」らしいね。この時点で序列を明らかにするような発言もいかがなものか。選手たち本人に言うならまだしも、メディアに対して言うことじゃないと思う。
 
 海外では会見でここまで詳しくは話さないよ。それをハリルがやっているということは、どこか上から目線で、日本サッカーを見下しているのかと勘ぐってしまう。“私がいろいろと教えよう”という雰囲気を感じずにはいられない。
 
 それはいいとして、今回のメンバーでメディア的に注目しているのは、やはり本田だろうね。メキシコでコンスタントに試合に出ているとはいえ、僕の印象としては、まだまだ波があるように見える。
 
 そんな本田が久々に日の丸を背負って、どこまでできるか。「アシストを決めた!」とか普段の報道はポジティブな内容が多いけど、実際のところは分からない。メキシコリーグのレベルも高いのか低いのか判断しにくい部分があるし、ゴール数など数字的な部分を鵜呑みにはできないよ。

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 ポルトガルでそれなりに結果を出している中島はどうか。ハリルは「この合宿を通してどんな伸びを見せるのか」と話していたけど、テストするなら先発で使ってほしいね。
 
 中島は左ウイングで考えられているようで、このポジションでは乾が落選して、宇佐美が復帰した。激戦区のように思われるけど、常連の原口を除けば、熾烈な争いというより、人選のチョイスが消極的というか、どこか決め手に欠けているようにも見える。
 
 もっとも、宇佐美のようにちゃんと試合に出ている選手が選ばれるのは悪くない傾向だ。その意味では、クラブで思うように出場機会を得られていない井手口や浅野は正念場を迎えているかもしれないね。
 
 とにかく、今回の欧州遠征はハリルジャパンのイメージを回復するチャンスとも言える。今はどん底と言ってもいいくらい、周囲の関心は低いよね。
 
 何度も言っているけど、連勝は最低限のノルマ。ワールドカップに出ないマリ、ウクライナに負ければ、大変なことになる。ハリルも冷静ではいられなくなるだろうね。
 
 日本の課題は、どうやって点を取るか。CFのレギュラー候補の大迫は今季、ブンデスリーガでここまで3ゴールのみ。得点ランクのトップを走るのは、23ゴールのレバンドフスキ。ポーランド代表のエースだ。
 
 ロシアでの本大会はそういう選手がいる国と戦うわけだ。日本は今一度、足もとを見つめ直して、少しでも今後の展望を明るくするような結果を出してほしいね。