パブリッシャーが、課金収益モデルへの関心を強めている。ドイツのメディアコングロマリット企業アクセル・シュプリンガー(Axel Springer)の発表によると、持続性のあるビジネスモデルを確立する狙いはもちろんのこと、デュオポリー(2社独占体制)への依存度の軽減を図りたい意図もあるという。

今回の発表はアクセル・シュプリンガーがはじめてまとめたもので、2月第2週に同社が開催した第1回国際有料コンテンツサミットを機に発表された。サブスクリプションモデルの将来について話し合うために集まり、調査に参加した33のパブリッシャーには、ガーディアン(The Guardian)、フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)、フィガロ(Le Figaro)、シブステッド(Schibsted)のほか、アクセル・シュプリンガーのビルト(Bild)とビジネスインサイダー(Business Insider)、さらにはニューヨーク・タイムズ(The New York Times)などの米国勢も名を連ねる。

発表によると、サブスクリプションモデルの将来については明るい見通しが大半を占め、パブリッシャーのほとんど(70%)が、コンテンツ課金に応じてもよいという読者の割合が、過去1年内の調査結果では着実に増えていると回答している。

「ビルト・デジタル(Bild Digital)」マネージングディレクターのシュテファン・ベツォールト氏は、シュピーゲル・オンライン(Spiegel Online)やディー・ツァイト(Die Zeit)をはじめとするドイツ、フランス、スペイン、スカンジナビアのパブリッシャーが、最近新たに有料コンテンツモデルを立ち上げているという。

「FacebookやGoogleといった大手プラットフォーマーが収益のかなりの割合を持っていってしまう広告収入型とは違い、デジタル版読者からの収入と読者と築いていく関係は、別の収入源となる可能性があり、プラットフォームへの依存度も減らすことが期待できる」。

各プラットフォームの対応



一方で、ベツォールト氏はGoogleとFacebookがパブリッシャーのサブスクリプションを支援する取り組みを行っていることも認めた。昨年10月、Googleはサブスクリプションサービスを提供するパブリッシャーに対し、コンテンツを検索結果に表示されるようにするには最低3記事の無料閲覧ができなければならないとするFCF(ファースト・クリック・フリー)ポリシーを廃止した。

Facebookも、自社プラットフォーム上でアクセル・シュプリンガー、エコノミスト(The Economist)、ワシントン・ポスト(The Washington Post)などのパブリッシャーとサブスクリプションの試験販売を実施している。ただし、これはアンドロイド端末のみを対象としており、ビルトに関してはその効果はほとんど見られていないと、ベツォールト氏はいう。

「ニュースとジャーナリズムの将来がどうあるべきで、何が必要なのかを、Facebookに理解してもらうのに2年の歳月を要した。そして、それがこれらの[サブスクリプションの]試行につながった」と、ベツォールト氏は語る。「だが、もっと本気であるところを見せてもらわなければならない。製品担当者を集め、私たちに協力して、一緒に分析を行ってほしい」。

Googleがもっとも協力的



ベツォールト氏は、Facebookがパブリッシャーやブランドコンテンツをニュースフィードから外そうとする動きは、パブリッシャーがFacebook経由でデジタルサブスクリプションのマネタイズを図ろうとしていることに直接関係しているわけではない、と付け加えた。だが、フィードのニュースが劇的に減れば、プラットフォーム上で有料コンテンツを売り込むのは難しくなるだろうとも述べた。

今回の調査に参加したパブリッシャーが、パブリッシャーとの協力関係にもっとも力を入れているとしたのは、デジタルニュースイニシアティブ(Digital News Initiative)やFCF廃止を実施したGoogle。逆に、Amazonは重要なパートナーとは評価されず、Apple NewsはGoogleとFacebookより重要性が低いとみなされている。



Source: Axel Springer

ベツォールト氏は、ビルトにとってもっとも効果的なプラットフォームはAppleだという。Apple Newsはそれほどでもないが、ビルトのニュースアプリの配信プラットフォームとしてAppleが効果を上げているそうだ。「Appleは有料コンテンツ配信の重要なパートナーだ。収益の一部を持っていかれるにしても、私たちにとってはうまく機能しているエコシステムで、Google Playよりはるかにいい」と、同氏は語る。「購読者数の増加推進という意味では、GoogleやFacebookよりAppleが上だと思う」

購読モデルの継続要素



有料コンテンツモデルを順調に継続していけるかは、さまざまな要素が関係し、絡み合っている。ユーザーフローの最適化、コンテンツ本体への投資、データに対する編集室の理解向上、解約防止。これらはすべて、本レポートの調査に参加したパブリッシャー各社が今後投資していこうと考えているものである。



Source: Axel Springer

Jessica Davies(原文 / 訳:SI Japan)