米ヘデラが開発の分散型台帳、ブロックチェーンを超えるか?

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米スタートアップのヘデラ・ハッシュグラフはこのほど、今年下半期中に仮想通貨プラットフォームを公開する計画を明らかにした。同社はこれまでに、主に仮想通貨関連の事業に投資するデジタルカレンシーグループ(DCG)をはじめ、複数の投資家から1800万ドル(約19億円)を調達している。

「ヘデラ・ハッシュグラフ・プラットフォーム」は、大半の仮想通貨ネットワークの基盤となっているブロックチェーン上に構築されたものではなく、有向非巡回グラフ(DAG)を採用している。ビットコインの処理速度は通常、1秒当たり10件未満、イーサリアムは25件未満だが、ヘデラのマンス・ハーモン最高経営責任者(CEO)によれば、同社のプラットフォーム上では1秒に数十万件のトランザクションの処理が可能だという。

ヘデラの共同創業者であるハーモンとリーモン・ベアードは1993年から、米空軍で機械学習アルゴリズムの構築に携わる5人のメンバーの一員として、ともに働いた。ハーモンはその後、マネージャーとして米政府のミサイル防衛システムのためのソフトウェア・プログラムの開発に貢献したほか、サイバーセキュリティ関連の2社を立ち上げた。

ハーモンとベアード は2015年、大企業向けのプライベート・ブロックチェーンを構築するスワールズ(Swirlds)を共同で創業。さらに昨年秋、ヘデラ・ハッシュグラフを創設した。ヘデラのアルゴリズムを開発したのは、カーネギーメロン大学でコンピューター・サイエンスの博士課程を、3年をかけずに修了したベアードだ。

高速で多数を同時に処理

ビットコインとイーサリアムの場合、処理速度の遅さと取引手数料の高さが、決済における利用の拡大を阻んでいる。専門家らは、ライトニングネットワークなどの新技術が導入されれば処理にかかる時間は大幅に短縮されると主張しているが、今のところ、ビットコインは取引が承認されるまでに10分かかることもある。

だが、ヘデラは高速で多数の処理を同時に行うことができる。そのため、少額の送金や決済により適している。また、イーサリアムなどのネットワークの特徴であるスマートコントラクトも、ヘデラによって利用の拡大が見込めるという。

セキュリティの「ゴールドスタンダード」?

ヘデラと同様にDAGを採用するその他の仮想通貨プラットフォームには、「バイトボール(Byteball)」や「IOTA」などがある。ただ、IOTAについては昨年、研究者らがセキュリティに関する問題を発見。IOTA側との論争が続いている。

ハーモンによれば、ヘデラは取引の承認において、IOTAとは異なるアプローチを取っている。そのため、仮に利用者の中に悪意を持って攻撃を仕掛ける者がいても、ネットワークは正常に機能するという。「ビザンチン将軍問題」を克服し、セキュリティに関する”ゴールドスタンダード(究極の判断基準)”を確立したというのだ。

ただし、コーネルのエミン・ガン・シラー准教授は、ヘデラのプラットフォームがどれだけ信頼に足るものであるのか、まだ確証はないと指摘する。ヘデラのアルゴリズムが実際に使用され、実戦で試されてみるまでは、本当にゴールドスタンダードとなり得るものかどうかは分からない。判断がつくまでには、まだ時間がかかるだろう。

ヘデラが持つもう一つのユニークな側面は、企業の監視下に置かれるという点だ。ハーモンはテクノロジーから法律まで、幅広い業種に携わる38社を招き、スワールズも加わるヘデラの「グローバル・ガバニング・カウンシル」を創設。各社がヘデラの戦略的決定に平等に関与する。

このカウンシル(評議会)に参加する企業名は明らかにされていないが、「世界的な優良企業」だという。ハーモンは、カウンシルがヘデラに正当性を与え、主流化を支援していくことになるとの考えを示している。