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今大会日本勢初の金!金銀銅コンプリート!

熱戦つづく平昌パラリンピック、日本のヒロインが待望の金メダル獲得です。若干21歳で日本選手団の旗手もつとめた女子大生パラリンピアン・村岡桃佳さん。「ももか」という響きに個人的にも「おっ」と前のめりになってしまう注目株は、すでに獲得していた銀・銅・銅の3個にくわえて、14日のアルペンスキー女子大回転・座位で金メダルを獲得。今大会日本勢初、冬季の日本選手として史上最年少、さらに金銀銅コンプリートという、メモリアル尽くしの金となりました。




前回ソチ大会でも5位入賞をはたした得意の種目。今大会アルペンスキーの5種目に出場する村岡さんですが、最後に残る回転の種目はそのなかでは苦手な部類ということで、金を狙って獲るならこの種目が最後のチャンスという一戦でした。

2本の試技を行ない、その合計タイムで勝負を決するアルペンスキー。タイムは純粋にスタート地点からゴール地点までの移動時間ではなく、それぞれの身体の不自由さによって係数が掛けられるという仕組みです。村岡さんは2番目に不自由さが大きいLW10-2クラスで、実際の移動時間に対して81%ほどの数値が勝負タイムとなる扱いです。

とは言え、競技を見るにおいてそこに面倒臭さなどはありません。画面表示の時点で、計算済みのタイムが表示され、その時計を見ているぶんには「リアルタイムの80%くらいのゆっくりさで時計が進んでいる」ことは案外気づかないものです。単に、座った姿勢で斜面を滑走する何らかのスポーツを見ているだけという感覚。マイナースポーツを見るときの「へー、こんな種目もあるんだな」という物珍しさ以外には何の違いもありません。

1本目、村岡さんはライン取りを丁寧に行なう滑り。どの種目でもそうですが、ラインを外れて膨らんだりすればタイムはグッと遅くなるもの。スピードの維持とスムーズなターンをいいバランスでこなしていきます。2位の選手に1秒40の差をつける滑りは、ワンミスでひっくり返るけれど、ノーミスならひっくり返らない差。「勝てそう」の気持ちのバランスを2本目でも上手く保てるか。緊張感も高まります。

決勝は1本目の結果の逆順で滑るということで、村岡さんは最終滑走となります。滑降・スーパー大回転で金、スーパー複合で銀と女子のアルペンスキー座位での「女王」といった存在のシャッフェルフーバーはタイムを伸ばせずかなり離れた順位に留まっています。技術系種目得意のクラウディア・レシュは2本目1分13秒47のタイム。1本目で2位につけたファンイムペレンも1分14秒台での滑り。村岡さんの1本目のタイム1分13秒47近辺をもう一度記録すれば、余裕を持ってトップに立てるという展開です。

できることをやればそのまま勝てる、今日勝たなくていつ勝つんだというチャンスがめぐってきました。中継の都合で試技途中からの映像となった村岡さんは、中間タイムですでに2秒以上リードするという素晴らしい滑り。1本目の自身のタイムをさらに上回る1分13秒06での滑りは、まさにウィニングランという圧勝でした!

↓1本目のリードと関係なく、2本目も攻めて、タイムを上げて勝ち取った!



銀・銅・銅ときたら金しかないからね!

もーもか!もーもか!もーもか!も・も・か!

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「自分らしく攻めて金メダルを獲るか、コケてサヨナラするか」という気持ちで臨んだという村岡さん。チカラを出し切ることができるイイ攻めの姿勢を保てたのは、自分で獲った銀・銅・銅の3つのメダルがあればこそ。自分のメダルが自分の後押しになるという好循環。旗手という責任を背負っての大活躍は、魔物にも自分にも打ち勝ってチカラを出せる「本物」ならではの快挙だったと思います。

↓これまでは笑顔・笑顔・笑顔だった村岡さんも金にはこの涙!

なお、泣いたのは立位の種目の代表の本堂杏実選手が泣きながら駆け寄ってきたので「もらい泣き」したとのこと!

本堂さん、「お前が先に泣くんかい!」のイイ仕事!

「パラリンピックをどう見るべきか」という課題、たくさんの人がその距離感を探っていることと思います。ただ、いろいろと見ていくと、距離を探る必要はないんだなと思います。世界の頂点をかけた真剣勝負の舞台には、「かわいそう」とか「大変ですね」なんて気持ちを持ち込むのは失礼だし無意味なのかなと思うのです。

もちろん大変なこともあったり、不自由も多いのでしょうが、それを超えた先にある頂上決戦に途中経過の大変さばかりを持ち込むのは失礼だと思うのです。サッカーのワールドカップに出る選手に「えー、毎試合10キロも走るんですかぁ!?大変ですね…」とか言わないわけじゃないですか。陸上の棒高跳びの選手に「その棒を運ぶの大変ですね…」「飛行機にどうやって乗せるんですか…バリアフリー社会は遠い…」「え、ひとり5本くらい持ってるんですか!?悲報!」なんて言わないわけじゃないですか。勝った負けた、やったやられた、試合は試合としてそれ以外のことは持ち込まなくていいと思うのです。

オリンピックとの違いは「階級」の差だけです。この階級はこういうルールでやる、この階級はこういうルールでやる、その違いだけ。ボクシングの重量級選手と軽量級選手がそれぞれに尊敬されるように、どの階級の勝者も同じ敬意で迎えられるようでありたい。もちろん人気によって、もらえるお金や得られる声援に差がつくことはあるでしょうが、「何かで世界一になった人」という同じ基準で受け止めたいもの。

だから、大変さや不自由さを理由にことさらに持ち上げることも必要もなく、とんでもない凡ミスがあったときにニヤニヤする気持ちを隠す必要もなく、同じでいい。そのなかで個人として「カワイイな」とか「ご近所さんだな」とか興味が出てきたら、そこからはまたもう一段深い「推し」という気持ちで見守ればいい。「推し」は階級の差や人気の差を超える強い気持ちです。そして、「推し」は「知る」ことからしか生まれない偶発的な気持ちです。

「どう見るか」なんて考えるのではなく、ただ見ればいいのです。まったく興味がない、映画を見たい、遊びに行きたい、そういう人に無理に薦めようとは思いませんが、オリンピックで盛り上がって日本人が世界一をかけて戦う模様に熱くなった人なら、余計なこと考えずにダラダラ見ればいいのにと思います。そういうのが好きなら楽しめるし、「推し」も見つかるはずです。

2020年、東京にも五輪とパラリンピックがやってきます。一生に一度の体験という人も多いでしょう。「推し」を持ってその日を迎えるのと、それをキッカケとして「知る」段階が始まるのとでは、得られる喜びは天地も違うでしょう。平昌パラリンピックは残り4日間というところですが、そこで一歩を踏み出すことが、東京をめいっぱい楽しむための大きな一歩かなと思います。

「一緒やん」

その気持ちがあれば、倍の期間楽しめる。

今その気持ちを仕込んでおけば2020年が倍楽しくなり、2022年も倍楽しくなる。たとえば今大会のヒロインを見たうえでの2022年とか普通にワクワクするじゃないですか。「前回のあの娘が」ってのは前のめりになるイイ理由でしょう。イイ機会でしょう。

仕込みの差が未来を変える、今はそのグッドタイミングだと僕は思うのです。難しいこと考えず、楽しみましょう!



最終日には村岡さんがもう1回登場!思い出を仕込んで2022年へ!