コティ(Coty)は、P2P形式(ピア・ツー・ピア:消費者が販売員となってブランドのプロダクトをプロモーションし、売上に応じてコミッション料を受け取るモデル)で化粧品を売るブランド、ユニーク(Younique)に投資をしたが、これが大成功となっている。

コティが持つカバーガール(Covergirl)といったいくつかの主要なブランドは現在、ブランド刷新の最中であり、またマスビューティ市場は全体的に弱まっている。こんな状況のなかでも、2018年第二四半期におけるコティのコンシューマービューティ部門の利益率は、19.4%も上昇している。額では1億3190万ドル(約139億円)となる。2月の収支報告ではCEOであるカミロ・ペイン氏が、この利益率の上昇の最大の貢献は、ユニークにあると述べている。

2017年1月、コティが「ソーシャルセールスブランド」であるユニークの60%の株式に対して6億ドル(約640億円)も支払ったとき、ユニークが抱える販売員の数は8万人程度だった。それが、12月の段階では23万人まで増えたとペイン氏は言う。また、この四半期の売上は、2桁成長を見せた。フランス、ドイツ、スペインなどでは、3桁成長も達成したと、彼は語った。

スピーディな成長速度



ユニークは2012年に兄妹であるデレック・マックスフィールド氏とメラニー・ハスクロフト氏によって創立された。昔からエイボン(Avon)やメアリーケイ(Mary Kay)が行ってきたネットワークビジネス、直接販売と呼ばれる形態を現在のデジタル時代に適応したものになっている。ほかの化粧品ブランドも多くがデジタルにおけるピアツーピア販売手法を取り組みはじめたが、ユニークの企業価値は2000年にローンチされたローダン・アンド・フィールズ(Rodan&Fields)と同じく10億ドル(約1000億円)となっている。

ユニークの成長は、ほかのビジネスと比べて明らかに早い。ペイン氏は、「高度にスケールできるテクノロジープラットフォーム」が、その要因であるとする。つまり、デジタルにおける販売に頼っているということだ。もちろん、ユニークが誕生してからの短いあいだですら、オンライン販売マーケットはさらに高度化した。これも成長の一要因だろう。

「ビジュアルインテリジェンスプラットフォーム」であるダッシュ・ハドソン(Dash Hudson)のファウンダー、トーマス・ランキン氏も、ユニークはタイミングよく時代の流れに乗った、と同意する。「デジタルオンリーであることの独特なメリットをユニークは持っている。彼らより先に存在していた企業は、過去に囚われて進歩できていないが、ユニークではそれが起きていない」。

オンライン中心のモデル



しかし、それだけではない。

今日のピアツーピア販売ブランドの多くは、オフラインでの販売を促進し、デジタルセールスはその補佐的な立場として機能している。しかし、ユニークはオンラインを中心に据えている。それぞれの販売員に個人のeコマースサイトをセットアップし、インスタグラム(Instagram)やFacebookでプロダクトをプロモーションするためのデジタルマーケティングのガイダンスを提供しているのだ。

彼らの機能のひとつに「パーティ」というものがある。これは特定の時間帯に人々をサイトに招待するというものだ。その時間帯における販売は通常のコミッションに加えて特別な報酬が得られたり、プロダクト購入用のクレジット、プロダクト半額提供といったボーナスが販売員に与えられる。こういったパーティはソーシャルメディア上で特別なリンクとともにプロモーションされる。最初にパーティ参加を確定した20人は直ちにプロダクトを獲得できる。

販売員としての登録もスピーディだ。すでにユニークの販売員になっている人に「スポンサー」になってもらう必要があるが、もしも直接の知り合いにユニークの販売員がいなければ、ブランド自身が近くの販売員を紹介してくれる。

報酬体系もスピーディ



新規の販売員はスターターキットとして、通常であれば347ドル(約3万7000円)の価値があるとするプロダクトセットを99ドル(約1万円)で購入しなければいけない。これには25個のビューティープロダクトに加えて、マーケティング用の素材が含まれている。比較するとローダン・アンド・フィールズの場合、スターターキットは45ドル(約4800円)で、ビジネス用名刺といった紙のマーケティング用素材しか含まれていない。

ユニークは報酬の支払いも競合他社と比べて素早い。ウェブサイト上で行われたどのようなセールスも3時間以内に支払いが行われる。ほかのブランドたちの場合、数日、もしくは1週間待たされることを考えると魅力的だ。販売員のコミッション額が50ドル(約5000円)に達すると、特別なユニーク用のデビットカードを受け取ることができる。それによって支払いプロセスがよりシームレスになる。

「これは、ユニークのオンラインポータルサイトを通して販売をすることの大きなアドバンテージのひとつだ」と、ランキン氏は言う。

販売員は皆、20%のコミッションからスタートする。トータルの売り上げが1000ドル(約10万円)を超えると、25%にコミッション料が上がる。コミッション料をさらに上げるためには、販売員はほかの販売員を加入させなければいけない。それによってユニークのビジネス全体を拡大させるアウトレットがさらに増える、という流れだ。

インフルエンサー戦略



ここにおいて、ブランドのインフルエンサー戦略を販売員が代わりに行っている構図が見える。ユニークのインスタグラムアカウントは17万7000人のフォロワー数を抱えているが、投稿は1日に1回しか行われない。このアカウントでは、インフルエンサーコンテンツやユーザーからのコンテンツは数週間に1度程度しか登場しない。こういったコンテンツを避けているわけではないようだが、プロダクトを中心に据えたユニークの画像には、顧客に自分の使用イメージやプロダクトを投稿するように促すキャプションを付けている。#BEYOUNIQUE(ユニークになれ)や#YTRENDS(Yトレンド)といったハッシュタグの使用も促されている。

もっとも大きな影響力を持っているのは、こういったコンテンツがシェアされる販売員たちのアカウントだろう。

「何でも知っているビューティの専門家が、これを買えあれを買えと指示をする。若い世代のビューティ分野の消費者たちは、これを好ましく思っていない。そもそもあらゆるプロダクトの情報は、オンライン上で自分で見つけることができるからだ。彼らはむしろ、そのプロダクトを使ったことがある家族や友人から話を聞くことを好む。その方が信頼できるからだ」と、アシュリー・ペイントシル氏は言う。ペイントシル氏は、元ファッシュインベスト(FashInvest)のエディトリアルディレクターだ。

なかには家族や友人の話を超えて、自分のユニーク販促のための専用のアカウントを作る人たちもいる。メイクアップアーティストのアレクシス・マイケル氏による3万1500人のフォロワーを抱えるアカウント(@youniquebyalexis)がその例だ。このアカウントではユニークのブランドをメイクアップチュートリアルやプロダクト紹介によってプロモーションしている。ここでの投稿は1日に3回の頻度でシェアされている。

イメージ浄化の取り組み



ピアツーピア、ネットワークビジネスといった手法は長年、「ピラミッド商法」といった悪徳商法のイメージと結びついてきた。ユニークは社会貢献という観点から、そのイメージに抵抗しているようだ。彼らが2014年に設立した慈善団体ユニーク財団(Younique Foundation)は、子ども時代に性的虐待を受けた成人女性たちをサポートしている。被害者たちに経済的なサポートをすると同時に、定期的に4日間の回復のためのワークショップを開催している。

売り上げの何%がこの財団に行くか、具体的な数字は教えてもらえなかった。しかし、公的な慈善団体であることから資金の3分の1以上は一般から得る決まりになっていると述べた。

長年使われてきたピアツーピア手法だが、「女性を昇華させ、女性に力を与え、承認を与える」というミッションを抱え、ユニークは現代社会に適したブランドモデルへと刷新した。

Jessica Schiffer (原文 / 訳:塚本 紺)