なぜ、多くのビジネスは利益を生み出せないのか?

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なぜ、あなたの会社は利益を生み出せないのか? それは、今までの会計の公式が間違っていたから。これまでの会計原則である「売上-経費=利益」に従っていてはダメ。もっと儲かる会社にしたいのなら、「売上-利益=経費」へと頭を切り替えろ―ー。世の経営者たちにそう訴えかけるのが『PROFIT FIRST お金を増やす技術』(マイク・ミカロウィッツ著、近藤 学訳、ダイヤモンド社、3月14日配本)です。著者のマイク・ミカロウィッツは米国人の起業家で、彼自身が破産寸前にまで追い込まれたことがきっかけで、この「プロフィットファースト(利益が第一)」は生まれました。一言でいえば「借金を減らし、キャッシュリッチな会社に変わるための資金管理法」です。本連載では、多くの経営者が経営改善に成功している実証済のシステムである「プロフィットファースト」の基本を、6回にわたって紹介します。

80%のビジネスは失敗する

 あなたが自らビジネスを起こしたのか、それともビジネスを管理する立場にあるのかは知りません。あなたが起業家としてどういう立場にあるのであれ、あなたが奇跡の人であることは間違いないでしょう。あなたはアイデアを現実にすることができます。

 あなたは顧客を見つけ、彼らのためにものを作り、サービスを届け、その対価を支払ってもらっています。ものやサービスを売り続け、届け続け、お金の管理を続ける。私たち起業家の誰もが本当に賢く、情熱的です。それは確かな事実。

 ただ忌まわしくも付きまとう問題は、「80%のビジネスは失敗する」ということです。

 その失敗の最大の原因は、利益性の欠如。つまり、ビジネスを継続するために必要な利益を得られないこと。バブソン・カレッジのレポートによれば、「利益性の欠如は、ビジネスが継続不可能になる理由として常に挙げられる主な原因」であるとされています。

 だが、これは驚くには値しません。これが現実なのです。

 米国の中小企業庁の若手起業家年間優秀賞の受賞者は、世界を変え、次世代の天才として褒め称えられ、そのビジネスに対する鋭い見識でフォーチュン誌の表紙を飾ることが決まっています。

 しかしその裏側では、銀行からの融資を重ね、給与の支払いに充当するためにクレジットカードの支払いが積み重なっていくものです。私自身がそうでした。どうしてそうなってしまうのか。私たちは何を間違ってしまったのか。

 たいていのことは正しくやってきたはず。正しいとは言わないまでも、それに近いことをしてきたはず。無から有を生み出しもしました。それなのになぜ、それでも多くのビジネスは利益を生み出すことができないのでしょうか?

自分の事業は、自分を苦しめる悩みの種だった

 かつての私は、自分の事業の大きさに原因があると考えていました。自分の背中を押してより多くの従業員を雇おうとし、洒落たオフィススペースに移転し、より売上を大きくしようとしました。

 しかし実際には、私がそのようなことをしていたのは、すべて言い訳だったのです。自分の事業が一度も黒字にならないという事実から目をそらしたかったのです。

 私のビジネス、そして私自身は、溺死寸前でした。何とか水面から顔を出しておくためにビジネスを大きくしようと必死でした。かつての私は、「利益なんて要らない。収支トントンでいいんだ。それなら税金を払わなくてもいいからね」。これはつまり、政府に3ドルを支払いたくないために10ドルを失うことを厭わないという意味です。

 1ヵ月、また1ヵ月と経過していく中で私はどんどん沈み続けました。それが何年も続いて、絶え間ないストレスにさらされていました。

 事実私は、事業を始めたその日から事業を売って現金化する日まで、常にぎりぎりのところを生き延びてきました。事業を売ってしまったとき、安堵すらしたのです。私にとって自分の事業は私を苦しめる悩みの種でした。それがついに清算されたのです。

 しかし、その安堵の後味は苦いものでした。自分自身が原因なのだということは分かっていました。長い間、私は自分には欠陥があり、自分の頭はいかれているのだと思っていたのです。でも、本当に自分が問題なのでしょうか?

 自分が従うように言われてきたシステムや仕組みの方に欠陥があるのではないかという疑問を持つまでには、長い時間がかかりました。

 プロフィットファーストが上手くいくのは、あなたを矯正しようとするのではないからです。あなたは一生懸命働いています。あなたのアイデアは素晴らしい。あなたは既に自分のビジネスに全力を尽くしています。

 プロフィットファーストは、今のあなたに役立つようにデザインされたシステムです。あなたが矯正される必要はありません。矯正されるべきはシステムの方なのです。

会計の公式は、昔ながらの馬鹿げたシステム

 そもそも人間にとって不自然な会計の公式に従うことは、飛び立てるまで強く羽ばたけと命令されるようなものなのです。それでは、どれだけあなたが頑張ったとしても効果が出るわけがありません。

 昔から私たちが使い続けている利益を示す公式は、馬鹿げたものです。なるほど確かに、数学的に考えれば理に適ったものなのかもしれません。

 しかし人間の感性には合わないのです。従来の会計処理方法を用いることで利益性を向上させようとするのは、崖から飛び降り、腕を羽ばたかせて鳥のように空を飛べと言うのと同じようなものです。

 もし、あなたが利益を上げられていないというのなら、通常であればあなたのビジネスの成長率が十分でないということになります。

 でも、あなたは全く悪くない。あなたが変わる必要などないのです。利益を上げるために、これまで用いられてきた利益を計算する公式の方が間違っているのです。変わるべきはそちらの方というのが私の考えです。

まず利益を第一に考えよう

 ここで私が言う利益を計算する公式とは、「売上ー経費=利益」というものです。

 この公式は、一見するとそれらしく見えます。できるだけたくさん売り、必要な経費を支払い、残るものが利益。確かに正しそうです。

 でも、問題なのは「残るもの」など存在しないということ。この古い公式は、ビジネスにおける化け物を作り出してしまいます。金を食い尽くす化け物です。

 解決方法は1つ。まず利益を第一に考えること。そう、それだけでいいのです。

 あなたがこれから学ぶことは非常にシンプルで効果的です。あなたは頭を打ちつけながら、「どうしてもっと早くこれをやらなかったんだ!」と悔やむかもしれません。

 しかし、実際に行動することが簡単とは限らないでしょう。これまでに経験がないことを実行するのは、あなたにとって困難になるかもしれません。

 プロフィットファーストの実行が困難なのは、ビジネスに関する考え方を根本的に変えなくてはならないからです。変化は恐怖を伴います。ほとんどの人は新しいことを試すのが苦手です。プロフィットファーストを試してみようと思ったとしても、これまでのやり方を続ける方がずっと簡単だと思うことでしょう。

 たとえそれが、ゆっくりと、しかし確実にあなたとあなたの事業を脅かすことになるとしても。

 そこで、実際に始める前に、勇気を出してプロフィットファーストを試した先人たちの話をしましょう。今の段階で、128名の会計士や経理の専門家、そしてコーチが、私と提携して働き、プロフィットファーストの導入について起業家を指導しています。もちろん、プロフィットファーストを導入するのは、あなた自身でもできるので安心してください。

 この128名のプロフィットファーストのプロフェッショナルたち(プロフィットファーストプロフェッショナル)には、平均で1人につき10の企業が割り当てられています。つまり、プロフィットファーストを用いて、私たちは1280もの企業を成功に導いているということになります。

 これまでのプロフィットファーストの読者は、私の単なる推測ですが、プロフィットファーストを自分自身で導入しているようです。

 私のところには、毎日、平均して5通ほどのメールが届きます。プロフィットファーストを取り入れて、それをビジネスの変革に用いているという起業家たちからのメールです。2年という月日の中で、プロフィットファーストを新たに取り入れたという内容で届いたメールは3650通です。

 しかしおそらくは、より多くの人が私の本を読み、何も言わずそれを実行していることでしょう。私が見積もったところでは、3万社以上の企業がプロフィットファーストを導入しているはずです。

 ただ、仮に3万社という数字が正しかったとしても、決して多いということはありません。3万社はそれ単体で見ればなかなかの数ですが、1億2500万という小企業が世界に存在していることを考えれば、我々はまだスタートラインにも立てていません。この幼いシステムを広めていかなくてはならないのです。

 さあ、あなたも一緒に始めましょう。

[著者]
マイク・ミカロウィッツ(Mike Michalowicz)
米国人のアントレプレナー。2社の1億円超企業を創業し売却。また、プロフィットファーストプロフェッショナルズの共同創業者として、同メソッドを伝える会計士、コーチを組織化する。元ウォールストリートジャーナルのコラムニストで講演家としても著名。TEDxなどでビジネスや起業家精神についてのスピーチを行っている。
他の著書に、『THE PUMPUKIN PLAN』(日本未完)、『トイレットペーパーの起業家』等がある。
[訳者]
近藤 学(こんどう・まなぶ)
日本人初のプロフィットファーストプロフェッショナル。
京都府で税理士事務所を開業。ネットベンチャー企業のCFOとして創業に参加。
中小企業の家庭に育ち両親の資金繰りの苦労を目の当たりにしてきた経験をもとに、自らキャッシュフロー改善のソフトウエアを開発し、現在約150名の税理士等に会員制サービス(こがねむしクラブ)を通して提供している。
訳書に『あなたの中の起業家を呼び起こせ』(マイケル・E・ガーバー著、エレファントパブリッシング)。著書に『一番楽しい!会計の本』(ダイヤモンド社)、『「儲からない」と嘆く前に読む会計の本』(大和書房)などがある。