「職業別年収ランキング」トップ10

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やはり医師の年収は高い。あらゆる職業を押さえてトップに (写真:つむぎ / PIXTA)

将来なりたい職業の年収は――。

就活生や学生にとって、行きたい会社や業界のほかに、「なりたい職業」というものもあるはずだ。では職業別の給与水準の実態はどうなっているのか?


2月28日に厚生労働省から、「賃金構造基本統計調査」2017年版のデータが発表された。賃金構造基本調査とは、労働者の雇用形態や給与額、労働時間などを明らかにする調査。産業別や男女別、年代別、学歴別など、実態をより細かく把握できる統計調査である。

その中に「職種別」の現金給与支給額や労働時間をまとめた表がある。今回は最新データを基に、各職種の平均の年収額を計算。ランキング形式でまとめたのが、この「職業別年収ランキング」だ。

厚労省の最新データから年収を算出

統計では129の職業について、月収(残業代や諸手当を含む、調査は6月)と、年間賞与が記載されているが、その月収を12倍(12カ月分)し、それに年間賞与等を加えた数字を、「年収」として算出している。

なお、一般の事務職や営業職といった、129の職種に該当しない職業については、データがないことをお断りしておく。対象は、企業規模10人以上の事業所の勤務者(男女計)で、一般労働者(フルタイムで働く労働者)だ。役職者は対象外となっている。職種区分は調査表に記載してある、職種一覧表に基づいて記載した。

1位は医師で、平均年収は1232.7万円。病院に勤務する医者の給与水準なので、開業医の年収とは違う部分もあるが、いずれにしても高水準だ。月収が95.2万円と高く、残業などをのぞいた所定内給与は、うち84.9万円となっている。

2位は航空機操縦士。いわゆる飛行機のパイロットである。こちらも1192.1万円と高い。

3位は大学教授の1051.3万円だ。1、2位との違いは賞与の額で、医師とパイロットが100万円前後にとどまる一方、大学教授は年間賞与が277.9万円と、他の職業と比べても群を抜いている。大学教員では、大学准教授が6位で861.8万円、大学講師が10位で708.4万円となっている。全体的に給与水準は高く、さらに職位が高くなるにつれて、年収も高い。ただ平均年齢も、大学講師43.5歳、大学准教授47.8歳、大学教授57.6歳と連動して高くなっている。

会計士や弁護士、記者が高水準

医師もそうだが、資格が必要な職業の給料も高い。公認会計士、税理士は1042.5万円で4位、弁護士は1029.0万円で5位となっている。弁護士は39.7歳と平均年齢がやや若いことから、法律事務所などに勤めている弁護士の影響が強いと思われる。個人で開業している弁護士なども含めると、さらに平均年収は高くなるだろう。

7位は記者の822.1万円、8位不動産鑑定士の777.7万円、9位が歯科医師の757.1万円と続く。

上位は「専門的・技術的関連職業従事者」で、いわゆる専門職、技術職の職業が並ぶ。トップ10のうち9つを占め、20位以内にも一級建築士(14位、642.6万円)や、システム・エンジニア(18位、550.8万円)など、6つの職業がランクインしている。

運輸や通信に関与する職業は、航空機操縦士を筆頭に、13位電車運転士(643.2万円)、15位電車車掌(584.4万円)、19位航空機客室乗務員(544.4万円)と、上位に顔を出している。一方、タクシー運転者(105位、332.0万円)や、自家用乗用自動車運転者(111位、323.4万円)など、低水準にとどまる職業もある。

生産関連の職業は、17位の掘削・発破工(571.2万円)が最高。サービス関連は、101位の調理士(339.7万円)が最高で、すべて平均年収400万円以下となっている。

なお、役職者が含まれるため、基準は違うが、全産業の平均年収は491.2万円(平均年齢42.5歳、月収33.4万円、年間賞与90.6万円)だった。

会社は変えても、働き始めた職業をずっと続ける人はけっこう多い。業界や会社の給与水準だけでなく、こうした職種ごとの給与水準についても、頭に入れておいた方がいいだろう。