旭山動物園/丸まって寝ているホッキョクギツネ/(C)旭川市旭山動物園

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レッサーパンダといえば、もふもふの毛に太い尻尾、短めの手足がまた愛くるしい動物園の人気者。旭山動物園でも、頭上の吊り橋を渡ったり放飼場を駆け回ったりと、来園者の心をぐっとつかんで離しません。そんなレッサーパンダ舎の左手側にあるのが、ホッキョクギツネ舎。

旭山動物園/雪に同化するホッキョクギツネ/(C)旭川市旭山動物園

何かしら動いているレッサーパンダに比べ、こちらはまったくと言っていいほど動きません。レッサーパンダは暑いのが苦手なので、夏になると木の陰や枝に寝そべったりしてじっとしていますが、ホッキョクギツネは冬が苦手なわけじゃありません。なんせ、「ホッキョク」ギツネですから。

しかも放飼場に積もった雪と白っぽい毛の色が同化し、どこにいるかも分からなくなります。動く、動かない以前の話で、そもそも見つけられない、という事態に。

じゃあ、なぜこんなにも動かないのか? それは、無駄なエネルギー消費を避けるため、なんです。名前の通り、北極周辺のツンドラ地帯や海岸地域が主な生息地。こういった極地に住む動物たちはお腹がいっぱいのときはなるべく動かず、体力温存のためじっとしているそう(冬は夏に比べ消費カロリーが高いので、より動かない)。そしてお腹が空いたら、エサを捕りに行くため行動を開始する、というわけです。

旭山動物園のホッキョクギツネも、エサがもらえる夕方近くになると動き出します(野生のホッキョクギツネは1日のどんな時間帯でも活動します)。私は「いつ見ても動かないのがホッキョクギツネ」と信じていたので、初めて動く姿に遭遇したとき、「これはホッキョクギツネではないんじゃないか?」と思ったほどです。

また、寒冷地に住む動物の特徴として、「体の突出部が小さくなる」という特徴も。キタキツネと比べてみると、ホッキョクギツネのほうが鼻づらが短く、耳も小さいのが分かりますね。また、足の裏にも毛が生えていて防寒と滑り止め、両方の役割も持っています。これは、ホッキョクグマも同じなんです。

そして、一番分かりやすいのが毛。夏は岩や地面に似た灰褐色をしていますが、冬は雪に同化できるよう白っぽく変化。強風に耐えられるよう外側は硬くて長い毛、保温性を高めるため内側は柔らかく短い毛に変わります。なんと、マイナス70度ほどまで耐えられるというから驚きです。

完全耐寒仕様の体をしたホッキョクギツネ、動かないのも「耐寒」ゆえなんですね。「動く姿を見れたらラッキー!」くらいの気持ちで、夕方近くになったらふらっと覗いてみてください。

もしかしたら放飼場の掘に下りていたり、ハシゴを上っていたり、なんともアグレッシブな様子に出会えるかも知れませんよ。相も変わらず寝ていたら、雪に残った足跡だけでも見て「動いていた姿」を想像してみましょうか。

※写真提供:旭川市旭山動物園

旭川市旭山動物園 ■開園期間:冬期開園11月11日(土)〜2018年4月8日(日)※12月30日(土)〜2018年1月1日(祝)は休園 ■時間:冬期開園10:30〜15:30※入園は〜15:00 ■住所:旭川市東旭川町倉沼 ■電話:0166・36・1104 ■料金:大人820円、中学生以下無料(北海道ウォーカー)