「第3回 JEITAベンチャー賞」の受賞6社を発表

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は14日、「第3回 JEITAベンチャー賞」の表彰式を開催し、受賞6社を発表した。

・株式会社アスター
・株式会社ABEJA
・Hmcomm株式会社
・株式会社ZenmuTech
・PGV株式会社
・株式会社フォルテ

 2016年より創設されたJEITAベンチャー賞は、創立15年以下のベンチャー企業を対象として、「成長性・先導性」「波及性」「社会性」という3つの観点から、電子情報技術産業や経済の総合的な発展に貢献しうる企業を表彰するものだ。2016年に8社、2017年に7社と、過去15社のベンチャー企業が受賞しており、今年(2018年)は6社が受賞した。

 表彰式の冒頭、JEITAベンチャー賞審査委員会委員長である東京大学生産技術研究所教授の荒川泰彦氏により、受賞企業と受賞理由が発表された。受賞企業の事業概要と受賞理由、そして各受賞者の声は、以下にまとめたとおりだ。そして、受賞企業には、JEITA代表理事/会長であるパナソニック株式会社取締役会長の長榮周作氏より、表彰状が手渡された。

受賞企業と受賞理由を発表する、JEITAベンチャー賞審査委員会委員長の荒川泰彦氏

株式会社アスター

 独自の積層技術を用いた「アスターコイル」を実用化し、モーターコイルの大幅な高密度化を実現。

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(株式会社アスターのウェブサイトより)

受賞理由: モーターの小型化や高出力化に大きく貢献し、さまざまな分野への適用により、省エネルギー効果や産業競争力の強化が期待できると判断。

受賞者の声: 「創業9年目で、こんなに早く賞をいただけるとは思っていませんでした。当社のコイル技術は、自分たちのものとは考えていせん。多くの企業や官庁の皆様に助けていただいて今に至っているということで、みんなでシェアできるようにさまざまな策を考えています。当社のようなコイルを作っている会社は世界どこにもないので、いろいろなかたちで汎用化できると考えています。今後、さまざまな企業様と連携したいと思います。」

株式会社アスター代表取締役の本郷武延氏

株式会社ABEJA

 AIを活用したビッグデータ解析実行を特徴とし、カメラ画像分析や地理情報なども加味した店舗の業務改善サービスを提案。

株式会社ABEJAが提供する「ABEJA Platform for Retail」のウェブサイトより)">

(株式会社ABEJAが提供する「ABEJA Platform for Retail」のウェブサイトより)

受賞理由: IT専門家のいない中小店舗でもAI利活用が推進するほか、海外への事業展開も期待されると判断。

受賞者の声: 「AI運用プラットフォームの提供により、さまざまな産業構造の改革を牽引するというミッションを持っていますので、こういった賞をいただけることは大変名誉のあることと思っています。喜びとともに、真の意味での社会でのAI実装に向けて、より精進していきたいと思っています。産業界でのAI活用を促進することで、より豊かな社会を実現できるように頑張っていきたいと思います。」

株式会社ABEJA取締役CRO(最高研究責任者)の緒方貴紀氏

Hmcomm株式会社

 音声認識に特化したAIプラットフォームによるソリューションサービスを提供。

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(Hmcomm株式会社のウェブサイト)より

受賞理由: 対人業務における会話のテキスト化や無人音声受付などが実現可能で、今後、音声ビッグデータのビジネスリソースとしての利活用への貢献が期待できると判断。

受賞者の声: 「人と機械との対話、ヒューマンマシンコミュニケーションを会社の名前に込めています。我々の技術は、実際にエンタープライズボイスということを目標にしておりまして、社会、オフィスの中の電話であったり、営業や商談などのシチュエーションで音を見える化することで、効率化や社会問題を解決できる新しい技術になると思っています。受賞をきっかけに、ますます技術を磨いて、皆様に使っていただけるソリューションというかたちでお届けしたいと思います。」

Hmcomm株式会社代表取締役CEOの三本幸司氏

株式会社ZenmuTech

 暗号化技術と分散技術を組み合わせた秘密分散処理により、情報の漏えい防止を可能にするソリューションやデバイスを提供。

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(株式会社ZenmuTechのウェブサイトより)

受賞理由: 近年頻発するサイバー攻撃に対しての強い防御手段となる、シンクライアントやIoTデバイスの一層の利用普及が可能になると判断。

受賞者の声: 「オールオアナッシングの秘密分散をもとに、情報の無意味化というソリューションを提供しています。情報が無意味になることで、セキュリティが不要になり、コストが大幅に削減できるソリューションになります。最近では認証というところでも使われていて、大企業とのオープンイノベーションによって展開できています。昨今はSDKをパートナーに提供して、パートナーのソリューションの独自性や付加価値を高める商品となっています。情報の安全を当たり前と感じる社会の実現を目指して、今後ますます精進したいと思います。」

株式会社ZenmuTech代表取締役社長の田口善一氏

PGV株式会社

 微小信号処理技術とフレキシブルエレクトロニクス技術をベースに、パッチ式脳波センサーの製造、および脳情報ビッグデータを活用した脳波ビジネスを提供。

PGV株式会社のウェブサイトより)">

(PGV株式会社のウェブサイトより)

受賞理由: シート型脳波センサーによって、脳波計測を誰でも手軽に行える身近なものにして、医療、ヘルスケア分野などでの応用が大いに期待できると判断。

受賞者の声: 「日常的、簡易的に計測できるパッチ式の脳波式センサーによって、子どもからお年寄りまで脳波を計測できるデバイスを提供しています。そして、データを蓄積して、最新のAI技術を駆使しながら、脳波に対する意味づけと、脳への理解を高めていきたいと考えています。脳の翻訳機として、各自が脳のセルフケアができるように促すとともに、近い将来には各家庭に1台あるような世界を目指していきます。」

PGV株式会社代表取締役の胗澤修氏

株式会社フォルテ

 骨伝導ヘッドセットによる、騒音環境下での音声ソリューション、および位置情報ソリューションを提供するIoT端末を提供。

株式会社フォルテのウェブサイトより)">

(株式会社フォルテのウェブサイトより)

受賞理由: 青森県に拠点を置き、地域産業の振興につながるサービスの社会実装の実証に取り組んでおり、地方発のベンチャーのロールモデルとして大いに期待できると判断。

受賞者の声: 「骨伝導で聞くことで、耳の機能を維持しながら音のインターフェースを作るというところと、騒音と声を識別することで、話す、聞くということをどういった環境でもできるような、ユーザーに優しいインターフェースを作ることを目指しています。現在は、話す言葉の音声認識を向上したり、翻訳したり、ロボットに話しかけるといった、話す、聞くといったものを優しいインターフェースで作っていければと思っています。」

株式会社フォルテ代表取締役の葛西純氏

 表彰に続き、長榮氏は次のように祝辞を述べた。

 「今、日本では“Society 5.0”、超スマート社会を目指して、コネクティッドインダストリーということで活動を続けていますが、JEITAでも分科会を作って推進をしております。そして、そのためにはベンチャーと企業がともに取り組んでいく”共創”が重要だと考えています。

 JEITAベンチャー賞は今年で3回目となりますがが、過去2回で15社のベンチャー企業が受賞し、そのうち5社がJEITAの“優遇特例制度”を活用してJEITA正会員になっています。今年受賞の6社のみなさんも、この制度を活用していただき、JEITA正会員になっていただいて、我々のリソースやネットワークを活用していただいて、幅広い活動をしていただきたいと思います。

 今年も、『CEATEC JAPAN』を10月16日より開催しますが、CPS/IoT総合展として3回目の開催となります。今年はもっとベンチャーにスポットを当てていこうと思っていまして、スタートアップ、大企業、大学、投資家を結んでいこうということで、“スタートアップ&ユニバーシティエリア”を作ります。そちらでは、展示はもちろん、座談会などのイベントも開催する予定です。今回受賞されたみなさんも、それらを活用することで、今後のますますの躍進を期待します。」

JEITAベンチャー賞の発表に際し祝辞を述べる、JEITA代表理事/会長の長榮周作氏

 また、推薦団体を代表し、株式会社東京大学エッジキャピタル・パートナーの井出啓介氏が次のようにスピーチした。

 「ベンチャー企業にとってのJEITAベンチャー賞の意義は、大企業へのエクスポージャーが効率的に行えるところだと思います。ベンチャー企業にとって、大企業との協業でうれしいのは、実際に製品を使ったいただくことと思っています。大企業の皆様が、ベンチャーが作っているものをトライしていただき、使っていただくことが、ベンチャーのエコシステムを育てていく上で重要と考えています。

 日本では、長らく“ノット・インベンテッド・ヒア”というポリシーがあったと聞いていますが、それがいま、“オープンイノベーション”というかたちに変わってきています。ベンチャーキャピタルとして、ベンチャー企業をサポートして、ハンドオフする先はIPOの市場が多くなっていますが、アメリカでは9割のベンチャーが大企業にM&Aされています。これは、スポンサーがベンチャーキャピタルから大企業へと移るということで、それこをオープンイノベーションで新しいものを大企業がベンチャーから吸収することだと思います。日本でも、ベンチャーエコシステムを推進するために、まずは製品を使っていただいて、その会社や技術が良ければオープンイノベーションに加えていただければと思います。」

推薦団体を代表してスピーチを行う、株式会社東京大学エッジキャピタル・パートナーの井出啓介氏

 最後に、受賞企業に受賞の楯が手渡されるとともに、全員で記念撮影を行い、表彰式は終了した。